理想的なフォームの日本人ランナーとは? 青山剛のランニングナビ
歴代ナンバーワン「アフリカ選手のような」渡辺康幸
【写真:山田真市/アフロ】
1973年6月8日、千葉県千葉市生まれ。市船橋高時代に全国高校駅伝で2年連続区間賞を獲得した後、早大でもエースとして箱根駅伝等で活躍。またトラックでもユニバーシアードの1万mでメダル獲得したほか、当時の日本学生記録を樹立したスピードランナー。
<フォームのポイント>
同じ千葉出身で一つ上の学年だった渡辺選手に憧れ、私も高校時代はとにかくそのフォームをマネばかりしていました。
何がすごかったかと言えば、瀬古選手が日本人の骨格として究極の走りだとしたら、渡辺選手は「これまでの日本選手が誰もできなかった走り方」だったのです。分かりやすく言えば「アフリカ選手に近い走り」です。
高校時代に同じレースに出場したことがあったのですが、私はあっという間に周回遅れにされました。そのときの渡辺選手が風のように、そして宙を舞うように、軽やかなフォームで抜いていった姿はいまだに忘れません。
日本人ランナーの「集大成」のような大迫傑
【写真:築田純/アフロスポーツ】
1991年5月23日、東京都町田市生まれ。全国高校駅伝で区間賞の活躍を見せ、佐久長聖高の初優勝に貢献。早大でも1年生から箱根駅伝で区間賞を獲得するなど活躍。トラックでも実績を残し、日本代表として2013年のモスクワ世界選手権1万mに出場を果たしている。
<フォームのポイント>
早大卒業後に一度は実業団チームに入ったものの、昨年から世界のトップランナー数名しか入れないアメリカ・オレゴン州にある「ナイキ・オレゴンプロジェクト」へ日本人初の加入を果たし、トレーニングを積んでいる大迫選手。
このチームは打倒アフリカ勢を掲げ、大迫選手は五輪メダリストらにもまれているそうです。彼はこれまでの日本人ランナーの「集大成」のような素晴らしいフォームをしています。たとえるなら「渡辺康幸選手が、より進化した走り方」です。
腰も高く、バネもあり、骨格バランスも素晴らしいので、私が見る限り現役最高のフォームです。そんな素質を持つ大迫選手が、世界のトップランナーが集まるチームに加入してこれまでの日本のやり方ではないトレーニング方法を積んでいるわけですから、記録的にもおそらく日本記録をすべて破るような活躍をしてくれると思っています。
以上の3人が、私が独断で選ぶ「理想的なフォームの日本人ランナー」だったわけですが、彼らに共通しているフォームのポイントは、
(1)腰高で、体の無駄な上下動、左右のブレがほとんどない
(2)腕がしっかり下で後ろに引けていて、上体がほどよく前傾している
(3)体幹を使って、カラダ全体をバネのようにはずませて走る
となります。
誰でもこのようなフォームになれるわけではなりませんが、これまでの連載でも紹介してきたように、「正しいランニングフォームの追及」は同じであるわけですから、たとえレベルの違いはあっても一般ランナーも目指すべき方向は一緒です。
ぜひ、お手本となるフォームを見て、イメージトレーニングも行っていきましょう!
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