オススメの女性スポーツ映画 「松原渓のスポーツ百景」
サッカー『ベッカムに恋して』
【松原渓】
物語のヒロインは、サッカーとベッカムを愛し、公園でストリートサッカーに興じる日々を送っていたインド系の少女ジェス(バーミンダ・ナーグラ)。その公園を通りかかり、彼女の才能をすぐに見抜いたのは、地元女子サッカーチームのエースストライカーであるジュールズ(キーラ・ナイトレイ)だった。生まれも育ちもまったく異なる2人の出会いと成長が物語をドラマチックに展開させていく。
ジェスの一家はインド系移民で、敬虔なシーク教徒。人前で肌を出してスポーツをすることは宗教的にもタブーで、家族の反対は根強い。しかし、「一生夢を隠して生きることはできないわ」という彼女の強い情熱が、周囲を動かしていく。
ストーリーにひねりがあるわけではないけれど(失礼!)、友情や恋愛のエピソードも含め、青春を王道でいく爽やかさこそ、この作品の魅力だと思う。民族差別や、宗教的な恋愛観の違いなど、考えさせられるところもある。
私がこの映画を最初に見たのは中学生の時だ。あらためて見直して、ヒロインたちが見せる真っ直ぐに夢を追いかける姿勢は、年齢を重ねても持ち続けたいと感じる。
この作品の舞台となったイギリスは、「サッカー誕生の地」。世界中のスター選手が集うプレミアリーグは、ベッカムなど数多くのスター選手を輩出してきたけれど、女子サッカーの世界は働きながらプレーするアマチュア選手も多い現実も描かれる。ヒロインたちがアメリカの華やかな女子プロリーグに憧れる場面や、練習場の様子なども、02年当時の現実に近いものと思われる。
原題は、『Bend it like Beckham』。直訳すると、「ベッカムのようにカーブをかける」。本物の選手と思われる脇役やエキストラたちに劣らない主役2人のテクニックにも注目したい。地元チームのエース、ジュールズを演じるキーラ・ナイトレイは、この作品を出世作として、今や『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどで活躍するスター女優となった。作品のラストには、ベッカム&ヴィクトリア夫妻の特別出演も!
ボクシング『百円の恋』
2015年は筋肉質な身体を目指します! 【松原渓】
それまでは、周りに対してもワガママ放題で、何を言われても自分を正当化してきた一子。そんなヒロインがボクシングを通じて自分と真っすぐ向き合うようになる心境の変化は、スポーツの醍醐味(だいごみ)とも言えそうだ。
ボクシングのトレーニングをこなすヒロインの体型の変化は見応えがある。最初はゆるーいスウェットから背中のお肉がはみ出すぐらいだったのが、どんどん引き締まって筋肉質になっていく過程は圧巻だ。
仮想の相手をイメージしながら行うシャドーボクシングは、軽快なフットワークと「シュッ!」と風を切る音が聞こえるまでにキレを増す。目つきもどんどん変わっていき、どんよりとしていた目に光が宿るようになる。
スポーツには人を変える力がある。その理由の1つは、数字や勝敗という「結果」を突きつけられるからだと思う。結果を出すためには、自分が変わらなければならず、自分の弱さと向き合わなければ成長できない。
近年、ボクササイズやキックボクシングなどがダイエットでも注目を集めているけれど、「こんなパンチが打てて、こんな体型になれるならやってみたい!」と思った。
(14年/日/出演:安藤サクラ、新井浩文)
『宮古島トライアスロン』
長編ドキュメンタリー映画「宮古島トライアスロン」予告編 - YouTube