オススメの女性スポーツ映画 「松原渓のスポーツ百景」

松原渓

【Getty Images】

 遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
 今年も私の「スポーツ百景」にお付き合いくださると嬉しいです。

 お正月はどこも人でいっぱいだったので、映画を観に行ったり、家でDVDを見て過ごした。

 スポーツを題材にした名作はたくさんある。スポーツを通じて描かれる人間ドラマや波乱の人生は心を揺さぶり、体験したことのない競技の面白さを追体験させてくれるとあらためて思った。

 今回は、女性が主役のスポーツをテーマにした作品を3本紹介したい(※文中の写真はイメージ)。

野球『プリティリーグ』

【Getty Images】

 第二次世界大戦中の1943年に発足した全米女子プロ野球リーグをテーマにした作品。登場人物が皆とにかく個性的かつ魅力的で、心に刺さる名ゼリフも多く、20年以上も前の映画ながら、何ひとつ色褪せていない。

 才能あふれるドティ(ジーナ・デイビス)や負けん気の強い妹のキット(ロリ・ペティ)、セクシーで姉御肌のメイ(マドンナ)など、個性的な顔ぶれを率いるのは、元名選手で、口が悪く、現在は酒浸りの監督(トム・ハンクス)。それぞれにキャラクターが際立ち、テンポの良い会話にはコメディの要素もたっぷり散りばめられている。

 女子野球というスポーツを通じて、当時の社会の風潮を描いている点も面白い。戦時中のラジオで、ある女性問題評論家がこんな主張をする。「高等教育と職場への進出は女性の男性化につながります。家庭にとっても子どもにとっても、ひいては国家にとっても危険な結果を招きます。〜中略〜そのような性の混乱に拍車をかけているのが女子野球です」

 女性がスポーツをすることに対して強い偏見がある時代を背景に、逆境や試練を乗り越え、選手たちは力強く夢を追いかけていく。「ビジネスにならなきゃ意味がない」と、リーグの上層部は選手たちにさまざまな試練を課すのだが、映画の中ではその「試練」もユーモラスに描かれる。

 たとえば、ユニフォームは半袖と丈の短いスカートでセクシーに仕立てられている。「チャームスクール」ではティータイムの作法や、笑顔の作り方、ヘアスタイルから眉毛の形に至るまで、細かく指導が入る。才色兼備であることをメディアを通じてアピールするために、馬鹿馬鹿しく思えるパフォーマンスを求められるのだ。しかし、それも鮮やかにこなす選手たちのひたむきさには拍手を送りたくなる。

 もちろん、野球というスポーツが持つドラマ性も楽しめる大好きな作品だ。

(1992年/米/出演:トム・ハンクス、ジーナ・デイビス、マドンナ)

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著者プロフィール

サッカー番組のアシスタントMCを経て、現在はBSフジにて『INAC TV』オフィシャルキャスターを務める。2008年より、スポーツライターとしての活動もスタート。日テレ・ベレーザの下部組織であるメニーナのセレクションを受けたことがある。『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一先生が監督を務める女子芸能人フットサルチーム「南葛シューターズ」にて現在もプレー。父親の影響で、幼少時から登山、クロスカントリー、サイクリングなど、アウトドア体験が豊富。「Yahoo!ニュース個人」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/matsubarakei/)でも連載中

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