森がパワーをくれる!篠栗八十八箇所巡り 「松原渓のスポーツ百景」

松原渓

【松原渓】

人気の「お遍路巡り」

篠栗八十八箇所巡りへ。弘照院では手書きの葉書がもらえる 【松原渓】

 日本各地の札所や霊場を巡る「お遍路巡り」が注目を集めている。ご年配の方から若者や外国人まで、その層は幅広く、カラフルなウエアを着こなして歩く「お遍路ガール」も増えているとか。

 このお遍路巡りは、弘法大師(空海)の 足跡をたどり、八十八箇所の霊場を巡拝することが本来の目的と言われる。しかし、最近では信仰の他、自己鍛錬、健康維持、ストレス解消など、その目的が多様化していることも若者の参加を促しているようだ。

「歩く」というシンプルな行為を通して自分を見つめ直し、同じ道のりを歩いた先人の知恵や教えに学ぶ。自然の恵みや厳しさとも向き合う中で、心身ともに鍛えられる。私も機会があればぜひ体験してみたいと思っていた。

 四国の八十八箇所巡りで有名なお遍路だが、実は、本場四国の霊場とは別に“日本三大新四国”と呼ばれる霊場がある。その1つが、福岡県糟屋郡にある、篠栗(ささぐり)という町の篠栗四国八十八箇所霊場だ。

再び篠栗へ足を伸ばす

博多駅から急行で20分足らずで篠栗へ 【松原渓】

 出掛けようと思ったきっかけは、ラジオでご一緒している精神科医の名越康文先生の強いススメ。それを受けて、今年の年始に1泊2日の行程で初めて篠栗のお遍路を体験した。そして、私は、その奥深さにハマってしまった。

 体が芯から凍えそうなほどに寒い時期だった。お寺の中では、護摩焚きが行われていた。お香のような独特の匂いが心を落ち着かせる。ご住職が唱えるお経を聞くと、感覚が研ぎ澄まされるようだ。お寺や地元の方のおもてなしを受けて、人の温かさがじんわりと染みた。お遍路の道すがら、お地蔵さまが色とりどりの毛糸の帽子を被っていたのも可愛らしかったなぁ……。そんなことを思い出していたら、また無性に行きたくなった。そして先日、また篠栗に足を伸ばしてきた。

 8月中旬の篠栗は、冬に訪れた時とは景色、匂い、音、すべてが違っていた。生き生きと枝を空に伸ばした木は、葉を豊かに茂らせていた。強烈な日差しを浴び、蝉の大合唱を聞きながらお遍路巡りをスタート。

 篠栗は博多駅からJRで20分足らずという都市圏にありながら、豊かな自然に恵まれている。全長約50キロの遍路には、お寺だけでなく数多くのパワースポットが点在している。3泊4日もあればすべての行程を歩いて制覇することができるけれど、何回かに分けて訪れたり、車で巡る「車遍路」や「徒歩+車」など、体力・日程に合わせた移動手段で参拝する人も多いそうだ。バスツアーも組まれている。

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著者プロフィール

サッカー番組のアシスタントMCを経て、現在はBSフジにて『INAC TV』オフィシャルキャスターを務める。2008年より、スポーツライターとしての活動もスタート。日テレ・ベレーザの下部組織であるメニーナのセレクションを受けたことがある。『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一先生が監督を務める女子芸能人フットサルチーム「南葛シューターズ」にて現在もプレー。父親の影響で、幼少時から登山、クロスカントリー、サイクリングなど、アウトドア体験が豊富。「Yahoo!ニュース個人」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/matsubarakei/)でも連載中

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