オランダからマラソン映画の秀作が上陸 臨場感抜群の『人生はマラソンだ!』

岡大

【(C)2012 Eyeworks Film & TV Drama B.V.】

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 もはやマラソンはブームを通り越して、すっかり日本でも文化として根付いた感がある。早朝や夕方に市民ランナーの姿を見かけない日はないし、東京マラソンの抽選に落ちたという話もそこかしこから聞く。「Do(やる)スポーツ」をコンセプトにしている本サイトの読者がいちばん多く“Do”しているのも、サッカーやゴルフではなく、マラソンやジョギングかもしれない。

 しかし、映画というジャンルにおいては、マラソンを描いたものはそれほど多くはない。有名どころでは『長距離ランナーの孤独』(1962)や『風は強く吹いている』(2009)など(しかもどちらもフルマラソンではない)。そのままズバリ『マラソン』(2005)というタイトルの韓国映画もあったが、公開されたのはもう9年も前の話だ。そういう意味では、久しぶりにマラソンを扱った映画が上陸する。オランダでロングランヒットした『人生はマラソンだ!』(2012)である。

『フル・モンティ』のマラソン版!?

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 自動車修理工場を営むギーア(52歳)、従業員のレオ(48歳)、キース(45歳)、ニコ(35歳)のオヤジ4人が、工場存続をかけてロッテルダム・マラソンの完走を目指す……という物語。メタボでぐうたらなオヤジたちがマラソンという新たな一歩を踏み出すことによって、それぞれに問題や悩みを抱えていた人生が変化していくことを描いている。リストラされた男たちがストリップを始めるイギリス映画『フル・モンティ』(1997)のマラソン版というわけだ。

本物のロッテルダム・マラソンで撮影を敢行!

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 マラソン経験者であれば、“まずは形から”のシューズ&ウェア選び、練習初日は数分でギブアップ、“30キロの壁”などの“マラソンあるある”に笑わされ、最後のロッテルダム・マラソンのシーンで感動させられるだろう。

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 特に、実際のロッテルダム・マラソンに8台のカメラを投入して撮影したというクライマックスシーンの臨場感は必見! もちろん、2万人以上のランナーと10万人以上の観覧者が集うロッテルダム・マラソンの迫力は未経験者にも十分伝わるはずだ。走り始めるのにお金はかからないし、特別な技術だっていらない。必要なのは、決意と根気だけ。本作を観れば、きっとあなたも走ってみたくなるはずだ。

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やっぱり、人生はマラソンだ!

 少し前に、「人生はマラソンだ……でも、本当にそうか?」と疑問を投げ掛けるテレビCMが話題となった。ゴールもコースも人それぞれなのだから人生はマラソンではない、という主旨であって、それは正論に思えた。

たしかに人生は必ずしも競争ではないかもしれないが、ゴールに向かって長い道のりを走るという意味では、やっぱりマラソンと言えるのではないだろうか。DNF(Do Not Finish=途中棄権)することも含めて……。本作のギーアの“フィニッシュ”シーンを観ながら、つくづくそう思った。

人生はマラソンだ!

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自動車工場を営むギーアは、ニコ、レオ、キースの従業員3人に税金の督促状を見つけられる。工場で働く移民のユースがかつてマラソン選手だったことを知った4人は、自分たちがロッテルダム・マラソンに出場して完走することで借金を肩代わりしてくれるスポンサーを探し始め……。口コミで動員を増やし続け、ロッグランヒットを記録したオランダ映画。配給:ザジフィルムズ。6月21日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー!
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映画『人生はマラソンだ!』予告編 - YouTube
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著者プロフィール

1974年生まれ。エディター&ライター。男性誌『メンズクラブ』編集部、映画雑誌『プレミア日本版』編集部を経てフリーランスに。映画パンフレット、映画誌、カルチャー誌、ファッション誌などで編集・取材・執筆を行っている。幼少期に映画にハマって以来、心は常に文科系映画オタクだが、それに似つかわしくないほど体は体育会系で、高校時代には陸上短距離で県大会2位になったこともある(その時の1位はインターハイでも優勝)

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