ジョコビッチに挑戦するナダルとフェデラーの元王者=全豪オープンテニス展望

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“無敵の王者”に対する元王者2人の戦いに注目

左肩を痛めているナダルは全豪テニスへ向けて、調整不足が不安 【Getty Images】

 テニスのグランドスラム今季初戦、全豪オープンが16日にオーストラリアのメルボルンで開幕する。真冬の空の下から南半球に思いを馳せ、テニスファンにはワクワクする季節がやってきた。しかし、オフの短いトッププレーヤーには特に調整の難しい大会と言われるのがこの全豪オープンだ。今年も有力選手の“ケガ”は大会の展望を占う上で重要になっている。

 中でも気がかりなのは昨年終盤から左肩を痛めているラファエル・ナダル(スペイン)で、全豪オープン後に数週間の休養をとることを発表している。昨年はデビスカップ優勝で1年を締めくくったものの、その後ラケットを重く変えたこともあり、開幕からの戦いぶりを見てもコンディションのピークはまだ遠い。肩が完治しないなか、さらなるパワーアップを目指して踏み切ったラケット変更には今季の覚悟がうかがえるが、その賭けがどう出るか。

 また、昨年終盤は絶好調だったロジャー・フェデラー(スイス)も前哨戦のカタールオープンでは背中のケガのため準決勝を棄権。棄権はしないというポリシーを強く持ってきたフェデラーも30歳、多少の方針転換は無理もなく、「大事をとった」とも考えられるが、アブダビのエキシビションでもノバック・ジョコビッチ(セルビア)にわずか44分で敗れるなど、2年ぶりのグランドスラム優勝への期待が徐々に薄らいでいる。

 そんな二人の元王者を尻目に、「開幕の状態としては去年よりいい」と万全のコンディションをアピールしているのが、昨年“無敵の王者”の称号を手にしたジョコビッチ。終盤に背中のケガや疲れで失速したが、オフのリフレッシュには成功したようだ。幸い故障も深刻なものではなく、“肩ならし”のアブダビでは先述のようにフェデラーを圧倒したほかダビド・フェレール(スペイン)らトップ5をやすやすと連破して優勝してみせた。

錦織を筆頭に日本勢にも期待

全豪オープンの前哨戦で格上のツォンガとロディックを破った錦織圭 【Getty Images】

「ビッグ4」のもう一人はアンディ・マレー(英国)で、元王者イワン・レンドル氏をコーチにつけて話題を呼んでいるが、開幕戦のブリスベン国際で優勝するなどいいスタートを切った。過去2年決勝に進出している全豪オープンだけに、強い思い入れで臨むだろう。

 昨年ベスト4入りしたフェレールは「上の4人とそれ以外の力の差は大きい」と言うが、全豪オープンでは“下克上”ムードも高まる。そのフェレール本人をはじめ、ドーハを制したジョー・ウィルフリード・ツォンガ(フランス)、完全復活が期待されるフアンマルティン・デルポトロ(アルゼンチン)などがビッグ4に割り込むか。ツォンガは08年に準優勝するなど全豪オープンのサーフェスとの相性も良く、デルポトロは、05年の全仏オープン以降、ジョコビッチとナダルとフェデラーのビッグ3以外でグランドスラムを制した唯一の選手でもある。

 そしてなんといっても楽しみなのが日本勢。昨年終盤にはジョコビッチやツォンガも破る活躍で世界ランクを24位まで上げ、グランドスラムでは初めてシードがつく錦織圭(フリー)とともに、主催者推薦で出場する伊藤竜馬(北日本物産)はブリスベン国際で予選突破し2回戦に進んでおり、今大会の活躍に期待が膨らむ。

 世界の「錦織世代」としては、エアセル・チェンナイ・オープンを制した若手ナンバーワンの弾丸サーバー、21歳のマイロス・ラオニッチ(カナダ)や、昨年ウィンブルドンでベスト8入りも果たした19歳バーナード・トミッチ(オーストラリア)にも要注目だ。

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