あなたのサービスがすぐに変わる!? 世界トッププレーヤーのテニスを参考に

坂井利彰

【Getty Images】

最先端のプレーから学ぼう

 錦織圭選手(日清食品)がATPワールドツアー・ファイナルで準決勝進出を果たすなど、いままでにない盛り上がりを見せるテニス界。小さな身体で2メートルに迫る大男たちを相手に果敢なプレーを披露する錦織選手を見て、「あんなふうにプレーできたら楽しいだろうなあ」と思った人も多いのでは? 

「錦織選手に限らず、世界のトッププレーヤーのテニスを参考にすれば、あなたのテニス観自体が大きく変わって、テニスがもっと楽しくなるはずです」

 今年の全日本学生チャンピオンを輩出した慶應義塾大学庭球部の坂井利彰監督は、自身もプロテニスプレーヤーとしてツアーを回り、世界を経験している数少ない日本人指導者。日頃から学生に「世界の最先端のプレーから学ぼう」と指導しているそうです。

 一見すると「普通の人には絶対無理!」というスーパーショットも、その意図や使われている技術を見ていくと、どのレベルのプレーヤーにとっても参考になるエッセンスが散りばめられているのだとか。 

「見方を変えるとテニスが180度変わる。ちょっとしたことで、今までできなかったプレーができるようになります」

 現在も積極的に“世界のテニス”に触れ、最先端のテニスにこだわる坂井監督に、トッププレーヤーのテクニックからその技術を身につけるためのトレーニング法まで、“明日から使える”アマチュアプレーヤーのための打ち方・戦い方を教えてもらいました。

ライバルに差をつける重いボールの打ち方

 時速200kmを軽く超えるサービスは、テニスの花形。プロとまではいかなくても豪速球サービスは上級者の証しと言っていいかもしれません。しかし、世界のトッププレーヤーたちはサービスにしてもショットにしても速い“だけ”のボールを打っているわけではありません。

 坂井監督は「速さにとらわれている考えに“重さ”という概念を加えると、プレーが変わってくる」と言います。

 重いボール――。確かにテレビで目にするトッププロのボールは速いだけでなく重そうです。でも、ボール自体の重さは変わらないはず。ではどうしたらボールに重さを出すことができるのでしょうか?

「錦織選手やランキング上位の選手のサービスやショットを見てもらえば分かるように、彼らの打つボールには強烈なスピンがかかっています。例えばサービスで速さだけを追い求めるならフラットサービスばかりということになりますが、急速のあるサービスでもボールが軽いと相手は難なくリターンできるものです。そこで、スライスサービス、スピンサービスなどでボールに回転を与えて重さを生み出しているのです」

 ボールにスピンがかかればリターナーはそのボールを「重い」と感じます。さらに変化球サービスでバウンド後に自分に迫ってくるようなボール、コートの外に逃げていくようなボールを打たれると、リターンの準備が遅れてさらにボールの重さを実感することになります。

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著者プロフィール

慶應義塾大学専任講師。1974年生まれ、慶應義塾大学法学部卒業、慶應義塾大学大学院政策メディア研究科後期博士課程修了。高校時代はU18日本代表、高校日本代表に選出。大学時代は全日本学生シングルス優勝、ユニバーシアード日本代表、ナショナルチームメンバーに選出。プロ転向後は世界ツアーを転戦し、全豪オープンシングルス出場。世界ランキング最高468位、日本ランキング最高7位(ともにシングルス)。引退後は慶應義塾大学庭球部監督に就任。ATP(世界男子プロテニス協会)公認プロフェッショナルコース修了、ATP公認プロフェッショナルコーチ、日本テニス協会公認S級エリートコーチ、日本プロテニス協会理事を務める

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