心で感じる自然との出会いこそ 四角友里さんの山歩きの醍醐味

カラダにいい100のこと。

【カラダにいい100のこと。】

 自身の趣味として始めた山歩きがきっかけとなり、山スカートの先駆者、そして機能的かつ女性らしいスタイルの提案にと活躍する、アウトドアスタイル・クリエイターの四角友里さん。

 もともとは会社員をしていた彼女だが、週末だけの趣味としてアウトドアを楽しむのではなく、自然と触れ合うことを生き方にしたいと思うようになったことが、今の生活や仕事を始めるきっかけとなった。

「自然と一緒に、自然とともに、自然の一部として生きていくと言う感覚」

 それが、今の彼女の基盤になっている。

 今では少なくても月に一度は山歩きに訪れる四角さんだが、子供の頃から運動は苦手だったそう。

「昔から運動は嫌いでした。山歩きを始める前、スポーツジムを契約したことがあるんですけど、家族に怒られるから行ったフリをするために水着を干したりしていましたね(笑)。それくらい嫌だし、今でもスポーツは苦手という意識があります」

 そんな彼女が山歩きにのめり込んだきっかけが、2003年。観光で訪れた上高地で散策路を歩いたときに、その魅力に取り憑かれた。

「山の間から川が流れていて、その水を触った時に、夏なのに何秒も触っていられないくらい冷たかったんです。この水はどこからくるんだろうって思ったら、山の上に雪が残っていることに気が付きました。そうやって自然に包まれたときに、もっと山の奥のほうに行ってみたいなっていう気持ちが生まれたんです」

 四角さんにとって、山歩きはスポーツではなく趣味でありライフワークの一つ。どれくらいのペースで山歩きをすると体にいいという決まりはなく、一番良い季節に自分が行きたいところに行くというのが鉄則だ。

「山歩きは自然が相手だし、スポーツのように人と比べたりする必要もない。だから、自分なりのペースで十年以上続けることができているんだと思います。頻度はその時々で変わって行くだろうけれど、これから先も一生続けて行けるものに出会えたなと思っています」

 最後に今後どんな山を歩いてみたいかについて伺った。

「大きな山もいいけれど、地元の人たちに愛されている地方の山を歩きたいです。山歩きは、一期一会の出会い。自然の表情であったり、空の色や雲の動き、そういったものを“心で感じる”ことの延長に、体を動かすことがある。だから、この山に登りたいっていうよりは、歩いている中で得ることができる感動を、取りこぼすことなく存分に味わいたいという思いが強いですね。そのためにも体力をつけて、これからもたくさんの山を歩きたいと思います」

 一見ハードルが高そうに感じられる山歩き。でも、水芭蕉が咲いたら尾瀬に行く、紅葉を見に高尾山に行く。そんな沸き上がる気持ちを大切に、最初の一歩を踏み出すことが、山歩きを長く楽しむコツになるんだろう。

(写真/石渡朋 文章/戸塚真琴)

■四角友里さん よすみ・ゆり
1979年生まれ。大学を卒業後、株式会社サンリオで商品企画プランナーとして活躍後、退社。その後、和装着付師免許を取得し、着付け教室を開校する傍ら、アウトドアスタイル・クリエイターとしての活動を開始する。現在は、女性向けのアウトドアスタイルの提案や開発プロデュースなどを行っている。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

雑誌『BRUTUS』が編集するオンラインメディアです。現代を生きる人々の生活の中に、美と健康とカラタづくりのヒントをお届けしていきます。

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント