ラグビー入替戦で同志社に屈した大阪体育大学。「事故で急逝した先輩のために」~ヘラクレス達の思いかなわず
ラグビー入替戦で同志社に屈した大阪体育大学。「事故で急逝した先輩のために」~ヘラクレス達の思いかなわず
大阪体育大学ラグビー部は12月9日、奈良県天理市の天理親里ラグビー場でAリーグ最下位の同志社大学との入替戦に臨み、21―62(前半0―38、後半21―24)で敗退。交通事故で急逝した先輩への恩返しとして全員で誓った5年ぶりのAリーグ昇格は、果たせなかった。
◆名門VS古豪、注目の一戦
この入替戦は、関西学生リーグ制覇48回、日本一4回を誇る名門の同志社大学が初のBリーグ降格の危機を迎え、全国学生選手権4強の実績を持つ古豪の大阪体育大学との対戦となって注目を集め、会場を観客席の少ない花園第Ⅱグラウンドから急きょ変更。スタンドは両大学の卒業生ら約1400人で埋まった。
◆前半、相手の圧力で想定外の事態
大阪体育大学は、前半からFW、BKとも1対1でのコンタクトの圧力で劣勢に回った。想定外の事態に反則を重ね、前半10分、パスをインターセプトされてピンチを招き、先制トライを許す。生駒創大郎主将は「Bリーグで経験したことのない雰囲気で固くなり、最初の2度のミスから気持ちを切り替えられなかった」という。勝負をかけたスクラムでも反則をとられ、反則から相手ボールのラインアウトを招きモールを押し込まれてトライを許す場面も多く、前半は0-38と圧倒された。
◆後半、自分たちのラグビーで互角に
ハーフタイム。生駒主将は「失うものは何もない。前に突き進むだけだ」と仲間を励ました。ラグビー部は、ヘラクレス軍団の愛称で2006年の全国大学選手権4強など、名将・坂田好弘元監督のもとで同志社大学ともに関西の大学ラグビーをけん引した時代もあったが、2014年の初のBリーグ降格後は低迷。失うものはない。チームは、ハーフタイムでキックを使わずボールをつなぐ「自分たちのラグビー」に徹することで意思統一した。
後半5分、大体大が反撃する。相手反則から得たラインアウトからモールを組んで押し込み、堀田凌永選手(体育3年)がトライし初得点。12分には林哲大選手(体育2年)、21分にはシオネ・マウ選手(体育3年)がトライした。3トライとも生駒主将、林駿太選手(体育4年)がゴール成功。試合は21―62と大差がついたが、後半だけなら21―24と互角に渡り合い、生駒主将は試合後の記者会見で「後半は自分たちのラグビーで勝負でき、同志社大学相手にも通用することが分かって、うれしかった」と胸を張った。
◆先輩の急逝
入替戦7日前の12月2日(土)、島津製作所ラグビー部のスタンドオフ(SO)で、昨年3月に卒業した越智幸久さんが京都市内で車にはねられ、死去した。中井監督は「チームの中心的なプレーヤーで、まじめで一生懸命。口数は多くないが、姿でチームを引っ張る選手」だったと語る。越智先輩とともに練習した3、4年生は6日(水)、葬儀に参列し、選手たちは「入替戦での勝利を報告することが一番の恩返しになる」と誓った。
入替戦当日の試合前、越智さんの父で、本学ラグビー部OBの良久さんが遺影を持ってグラウンドに来て、「勝ってくれ」と選手に声をかけた。同じSOでもある生駒主将は「1年生の時から一番お世話になった先輩で、自分自身、卒業後も越智さんと一緒にラグビーをすることを楽しみにしていた。越智さんの分まで、勝つつもりで試合に臨んだ」と話した。
◆多くの人の思いを背負い
ラグビー部は出場選手以外の多くの人の思いも胸に、入替戦に臨んだ。生駒選手とともに共同主将を務める原透和選手(体育4年)は11月26日のBリーグ決勝直前にあごを骨折し、入院。Bリーグ決勝は病床でユーチューブのライブ中継を見てLINEでプレーの修正点を連絡。後半の逆転勝利に寄与した。入替戦では退院を早め、試合前練習の補助や試合中のウオーターボーイ役としてチームをサポートした。
長年ラグビー部を応援いただいている比叡山大阿闍梨の光永覚道(かくどう)、光永圓道(えんどう)両氏も激励に駆け付けた。スタンドでは浪商学園の野田賢治理事長、原田宗彦学長や理事らも学生といっしょに声援を送った。
チームのスタッフは、今季2年目の中井監督に加え、今季から、元近鉄ライナーズで日本代表の和田哲元氏がヘッドコーチに就任。本学卒業後にマツダでプレーし、大学事務局長だった長崎正巳氏は今季、ゼネラルマネジャーに転身した。悲願のA昇格に向けて、体制の整備も進む。
座席が足らず立ち見も出るほど混雑した記者会見で、中井監督は「同志社大学にいいゲームをしていただき感謝したい」と頭を下げた後、「後半は、自分たちのラグビーで得点できるという感触を持ってプレーできた。最後まで大阪体育大学の誇りを胸にプレーした選手に感謝したい」と話した。
名門に挑み、跳ね返された一戦が、ヘラクレス軍団復活に向けてどう作用していくのか、来季に注目したい。(広報室)
◆名門VS古豪、注目の一戦
この入替戦は、関西学生リーグ制覇48回、日本一4回を誇る名門の同志社大学が初のBリーグ降格の危機を迎え、全国学生選手権4強の実績を持つ古豪の大阪体育大学との対戦となって注目を集め、会場を観客席の少ない花園第Ⅱグラウンドから急きょ変更。スタンドは両大学の卒業生ら約1400人で埋まった。
◆前半、相手の圧力で想定外の事態
大阪体育大学は、前半からFW、BKとも1対1でのコンタクトの圧力で劣勢に回った。想定外の事態に反則を重ね、前半10分、パスをインターセプトされてピンチを招き、先制トライを許す。生駒創大郎主将は「Bリーグで経験したことのない雰囲気で固くなり、最初の2度のミスから気持ちを切り替えられなかった」という。勝負をかけたスクラムでも反則をとられ、反則から相手ボールのラインアウトを招きモールを押し込まれてトライを許す場面も多く、前半は0-38と圧倒された。
◆後半、自分たちのラグビーで互角に
ハーフタイム。生駒主将は「失うものは何もない。前に突き進むだけだ」と仲間を励ました。ラグビー部は、ヘラクレス軍団の愛称で2006年の全国大学選手権4強など、名将・坂田好弘元監督のもとで同志社大学ともに関西の大学ラグビーをけん引した時代もあったが、2014年の初のBリーグ降格後は低迷。失うものはない。チームは、ハーフタイムでキックを使わずボールをつなぐ「自分たちのラグビー」に徹することで意思統一した。
後半5分、大体大が反撃する。相手反則から得たラインアウトからモールを組んで押し込み、堀田凌永選手(体育3年)がトライし初得点。12分には林哲大選手(体育2年)、21分にはシオネ・マウ選手(体育3年)がトライした。3トライとも生駒主将、林駿太選手(体育4年)がゴール成功。試合は21―62と大差がついたが、後半だけなら21―24と互角に渡り合い、生駒主将は試合後の記者会見で「後半は自分たちのラグビーで勝負でき、同志社大学相手にも通用することが分かって、うれしかった」と胸を張った。
◆先輩の急逝
入替戦7日前の12月2日(土)、島津製作所ラグビー部のスタンドオフ(SO)で、昨年3月に卒業した越智幸久さんが京都市内で車にはねられ、死去した。中井監督は「チームの中心的なプレーヤーで、まじめで一生懸命。口数は多くないが、姿でチームを引っ張る選手」だったと語る。越智先輩とともに練習した3、4年生は6日(水)、葬儀に参列し、選手たちは「入替戦での勝利を報告することが一番の恩返しになる」と誓った。
入替戦当日の試合前、越智さんの父で、本学ラグビー部OBの良久さんが遺影を持ってグラウンドに来て、「勝ってくれ」と選手に声をかけた。同じSOでもある生駒主将は「1年生の時から一番お世話になった先輩で、自分自身、卒業後も越智さんと一緒にラグビーをすることを楽しみにしていた。越智さんの分まで、勝つつもりで試合に臨んだ」と話した。
◆多くの人の思いを背負い
ラグビー部は出場選手以外の多くの人の思いも胸に、入替戦に臨んだ。生駒選手とともに共同主将を務める原透和選手(体育4年)は11月26日のBリーグ決勝直前にあごを骨折し、入院。Bリーグ決勝は病床でユーチューブのライブ中継を見てLINEでプレーの修正点を連絡。後半の逆転勝利に寄与した。入替戦では退院を早め、試合前練習の補助や試合中のウオーターボーイ役としてチームをサポートした。
長年ラグビー部を応援いただいている比叡山大阿闍梨の光永覚道(かくどう)、光永圓道(えんどう)両氏も激励に駆け付けた。スタンドでは浪商学園の野田賢治理事長、原田宗彦学長や理事らも学生といっしょに声援を送った。
チームのスタッフは、今季2年目の中井監督に加え、今季から、元近鉄ライナーズで日本代表の和田哲元氏がヘッドコーチに就任。本学卒業後にマツダでプレーし、大学事務局長だった長崎正巳氏は今季、ゼネラルマネジャーに転身した。悲願のA昇格に向けて、体制の整備も進む。
座席が足らず立ち見も出るほど混雑した記者会見で、中井監督は「同志社大学にいいゲームをしていただき感謝したい」と頭を下げた後、「後半は、自分たちのラグビーで得点できるという感触を持ってプレーできた。最後まで大阪体育大学の誇りを胸にプレーした選手に感謝したい」と話した。
名門に挑み、跳ね返された一戦が、ヘラクレス軍団復活に向けてどう作用していくのか、来季に注目したい。(広報室)
OBら観衆1400人が見守った入替戦 【大阪体育大学】
「ヘラクレス軍団」復活に向けた苦闘が続く 【大阪体育大学】
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