吉井監督 対話重視のチーム作り。積極的に意見が飛び交う環境作りに尽力した一年。

千葉ロッテマリーンズ
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千葉ロッテマリーンズ 吉井理人監督 【千葉ロッテマリーンズ提供】

  マリーンズの監督に就任して間もない昨年10月31日のことだった。吉井理人監督は宮崎にいた。秋季教育リーグ(みやざきフェニックス・リーグ)最終日。最後に何を話すか。一晩考え抜いた。そして試合後の選手たちによるミーティングが終わると吉井理人監督が選手たちの輪の真ん中に立った。

 「今の気持ちを忘れないで欲しい。君たちは凄い可能性を持っている。これから、突き抜ける活躍が出来る選手たち。自分の可能性に大いに期待してこのオフシーズン、なにをしたらいいか。色々あると思うけど、しっかりと優先順位を決めて、自分たちで考えて行って欲しい。頼みます」

 優しい表情で若い選手たちの目を見つめながら、話をした。監督就任が発表されたのは昨年10月7日。すると2日後には宮崎に飛んだ。フェニックス・リーグに参加をしているのはこれからの活躍が期待できる若い選手ばかり。一日も早く若い選手たちと直に触れ、会話を重ねたかったからだ。

 最初に出した指示はプレーではなくミーティング。これまではコーチたちが試合の総評を行い、問題点などを選手たちに指摘していたが、これを変更。プレーをした選手が、その日、気が付いたこと、思ったことを話し、お互いで指摘し合いながら進める形とした。最初はまだ硬さがあったが、日を重ねるごとに徐々に活発に意見交換が行われるようになった。若い選手が遠慮することなく年上の選手に判断ミスなどを指摘する場面もあった。選手たちには自分で考える力を身につけて成長をして欲しい。明確なメッセージだった。

 「今回、フェニックス・リーグでみんなに話をしてもらって、振り返ってもらった。コーチに言われる反省と自分で考える反省とでは違いがあったと思う。なにかを感じていると思う。これからも、こういう風に自分で色々な事を振り返って、考えて欲しい。プレーをしている時の気持ちまで振り返って欲しい。そうすれば色々な事に気が付くと思うし、コーチが言っている色々な事も耳に入ってくると思う。自分一人でも出来ると思うのでシーズン中も続けて欲しい」

 手ごたえを感じた指揮官は考える力の大切さを力説しミーティングを締めた。吉井マリーンズが掲げるのは対話。そこには監督、コーチと選手という日本独特の格差は排除していきたいと考える。首脳陣から指示されて動く一方的な形ではなく、自分たちで考えてよりよい形を目指して欲しいと願う。そして出来る限り対等の立場で話し合い、物事を進めていこうと考える。だからつねにフェニックス・リーグ期間中は若い選手たちと会話を重ねた。プレーの話もあれば、たわいもない話もあった。そのすべてに耳を傾け、時には笑い、一緒になって盛り上がった。

 かくして新生マリーンズがスタートした。5位からの巻き返し。まずは対話がしやすい環境作りを整備する作業から始めた。指揮官の想いは確実にチームに浸透した。選手同士でプレーを振り返る機会が増えた。共に食事をしながら、「勝ちたい」という想いを共有し前に進んだ。仙台でのシーズン最終戦。勝てば2位、負ければ4位という乾坤一擲の戦いを制し、2位となった。ZOZOマリンスタジアムで行われたクライマックスシリーズファーストステージ。勝てばファイナルステージ進出。負ければ敗退というゲームは延長十回に3点を奪われ絶体絶命の状況から巻き返し、前へと進んだ。その日々の中には選手たちの会話があった。みんなでコミニケーションを重ね、勝利への想いを共有し戦った。みんな、気持ちは一つだった。それが新しいマリーンズの形となった。指揮官の思い描くチーム像が完成しつつある。

千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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