【柏レイソル】天皇杯勝ち上がりがもたらす機運「2023Reysol Report Vol.17」

柏レイソル
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 水曜日の天皇杯準々決勝は、先週末のサンフレッチェ広島戦から中3日の連戦ということ、さらにその試合を終えると中2日で今節の横浜F・マリノス戦を控えている過密日程を踏まえ、リーグ戦からは8人の選手を入れ替えて臨んだ。もちろん、そのほとんどの選手がレギュラークラスであり、実力のある選手であることは十分理解している。ただ、彼らからは勝って天皇杯のベスト4に駒を進めるというモチベーション以外にも、間違いなく個人的に今置かれている序列を変えるために、ピッチの上で目に見えた結果を残すという強い意志があったと思われる。

8/30、天皇杯準々決勝はリザーブ組の奮闘で勝ち上がった 【©️KASHIWA REYSOL】

 センターバックに入った田中隼人は「ワンくん(犬飼)が来てから、僕も(立田)悠悟くんも、なかなかJリーグでは出場機会がないので、ここで勝って、ゼロで抑えないと評価はされないという話をして、それをしようと90分戦っていました」と試合後には、その懸ける意気込みを述べていた。90分を通じてヒヤリとしたのは、序盤に前田直輝の突破を許してシュートを打たれたシーンぐらい。後方からのロングボールに背後を取られかけたときもあったが、それでも守備が決壊することはなく、立田と田中は非常に安定したプレーを見せてクリーンシートに貢献した。

リーグ戦での悔しさを天皇杯での完封勝利で晴らした立田悠悟 【©️KASHIWA REYSOL】

 出場機会を得られないと、中には不貞腐れたり、諦めたり、試合に出られないことを誰かの責任にするなど、チームにネガティブなエネルギーを与えてしまう選手も珍しくはない中で、出場機会を得られずとも準備を続け、こうしてチャンスをもらったときに結果を残した立田と田中の姿勢を含めて、グランパス戦での彼らのパフォーマンスを大いに評価したい。中でも田中は、天皇杯4回戦の北海道コンサドーレ札幌戦以来の出場である。つまり、彼にとっては出場した2試合はともにクリーンシートでの連勝だ。かつて、「田中隼人が出ていれば勝てるという印象を与えたい」と彼自身が言っていたとおり、周囲にはポジティブな印象を与えた。
 リーグ戦ではスタメンで出続けている古賀太陽と犬飼は、スタメンという立ち位置に甘んじて気を緩めるような性格ではない。センターバック間の熾烈かつ健全な競争意識は、確実にチーム力の向上を促す。

2年目のDF田中隼人、落ち着いた守備対応で成長を見せた 【©️KASHIWA REYSOL】

 また、こうした状況はセンターバックだけではない。グランパス戦ではボランチでスタメン出場した仙頭啓矢は、リーグ戦では途中出場で流れを変える役割を担ってはいるが、今シーズンの序盤戦はインサイドハーフとして常時スタメンで出ていた。当初の攻撃的なポジションから、井原正巳監督体制後に主戦場をボランチへ移した。グランパス戦では、田中と三丸拡の間のゾーンに頻繁に顔を出して、パスを引き出し、ビルドアップに流れを生み出した。存在感は格別だった。

古巣相手に燃えた仙頭啓矢、巧みなゲームメイクで勝利に導いた 【©️KASHIWA REYSOL】

 さらにその仙頭と近い関係を保ち、高い位置での守備だけでなく、攻撃面でも光るものを見せたのが岩下航だ。柏にはサイドバックとして加入したが、昨年はケガもあって思うような活躍ができず、今季も出場機会が限られていた。ただ、井原監督との話し合いを通じてサイドハーフへチャレンジすることを決意。もともと高校・大学時代に経験したポジションであり、ビルドアップの環境下で育った岩下は、天皇杯でその片鱗を見せた。

 チーム力の向上と選手の成長に欠かせないもの、それは競争である。8月の公式戦無敗という結果の背景には、様々な要因が挙げられると思うが、今、チーム内に起きている健全な競争意識もまた、その結果を生み出した一因ではないだろうか。そう感じさせるグランパス戦の勝利だった。

【文】柏レイソルオフィシャルライター:鈴木潤

熊本から加入して2年目の岩下航、1列前のポジションで新境地を拓きつつある 【©️KASHIWA REYSOL】

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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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