昨季MVPやオーストラリア代表を補強 新生スサマジは「爆発力」で魅了する

島根スサノオマジック
チーム・協会

【島根スサノオマジック】

金丸晃輔を獲得した“相乗効果”

 (取材・文:中島大輔)

 まもなく開幕するBリーグの新シーズンに向けて、「最も補強を成功させたクラブの一つ」と言われるのが島根スサノオマジックだ。
 
 昨季MVPの金丸晃輔、アルバルク東京を司令塔として牽引してきた安藤誓哉、オーストラリア代表のニック・ケイを獲得。さらに、ニュージーランド代表を2年間率いた経歴を誇るポール・ヘナレがヘッドコーチに就任した。

記者会見で開幕に向けて抱負を語ったポール・ヘナレ ヘッドコーチ 【島根スサノオマジック】

 チャンピオンシップ出場を目指し、ニュージーランド人指揮官が掲げるのは「エキサイティングで質の高いバスケットボール」だ。
「今までこのチームがやっていなかったようなことも導入している。爆発力とテンポ、スペーシングをうまく組み立てていく中で、攻撃が機能してくると思う。特に重要なのはスペーシングだ。チームにそろった武器を最大限生かすために、私たちは考え抜いている。選手たちが楽しんでプレーすることで、見ている側もエキサイティングな気持ちになれると思う」
 
 昨季の島根は3ポイントシュートの成功率を課題としていた。クラブはその弱点をカバーすべく、目玉として補強したのが金丸だ。「日本のバスケットボール史上でも類を見ないくらいレベルの高いシューター」と評価するヘナレHCは、金丸が加入する意味をこう語る。
「スペシャルなシューターがいることで、相手のディフェンスのシステムを混乱させられる。金丸がマークされることで、彼以外のところが空いてくるからチームの動きやシステムの中でいろいろなオプションが生まれる。金丸が来て単純にチームの数字が良くなることに加え、全体の底上げにつながると思う」

9/16で実施したプレシーズンマッチ広島戦で活躍した金丸選手 【島根スサノオマジック】

新加入3人がもたらす「勝者」の経験

 そうした意味では、安藤の加入も相乗効果が大きい。3ポイントを狙うだけでなく、ドライブを仕掛けることもできる。2人のスペシャルな選手がいることで、チーム全体の爆発力が高まるのだ。
「チームとしてエナジーあふれる早い展開のバスケットボールを目指している。自分がボールをプッシュしていきたい」

 安藤がそう話した一方、金丸は自身の特長が島根でより生きると考えている。
「チームは3ポイントを多く狙うスタイルで、攻守の切り替えが早い。自分は持ち味の3ポイントを積極的に狙っていきながら、ドライブなどいろいろ試していきたい」
 
 2人の日本代表クラスの加入は、プレー面以外でもスサノオマジックに多くをもたらせるはずだ。ヘナレHCはそう期待を寄せている。
「彼らは所属していたクラブで“勝ってきた経験”がある。その経験こそ今のチームに最も必要なものだ。そのエッセンスを周りがどれだけ吸収し、クラブの成功につなげていけるかが大きなポイントになる」
 
 もう一人の新加入選手、ニック・ケイの獲得も心強い。ヘナレHCが続ける。
「ニックはどのチームに所属しても、基本的に『成功』と言われる成績を収めてきた。彼は典型的なスーパースターのように1人で派手な活躍をして目立つタイプではないが、逆にチームを機能させるスーパースターだと言える。チームへの順応、求められることへの実行力の高さは類を見ない。だからこそ彼は勝者であり、ロールプレイヤーであり続けている」
 
 母国オーストラリアやスペインでパワーフォワード、センターとして活躍し、29歳となった今年、スサノオマジックに加わった。国際経験豊かな身長206センチのビッグマンは、自身に求められる役割をこう考えている。
「ヘナレHCは選手のためにすべての力を注いでくれ、人格者でもある。必要とされるのはハードなディフェンスに強い意識を持ち、チームのために全力を尽くすことができる選手だ。自分はリバウンドと全力守備を40分間続けることに加え、コート外でも手本になる姿勢を見せていきたい」

「継続性×新戦力」で飛躍へ

 ヘナレHCが目指すディフェンスは、高い位置からしっかりプレッシャーをかけ、簡単に展開させないことが土台にある。その上で相手のストロングポイントを潰し、得点確率の低いシュートセレクションに持っていかせる。こうしたディフェンスも、「エキサイティングで質の高いバスケットボール」を構成する要素だ。
 
 スサノオマジックは昨季の西地区5位から飛躍を見据える上で、補強選手以外にも強みを持っている。多くの選手が残留したことだ。新チームにとって、彼らこそベースになるとヘナレHCは語る。
「昨季をしっかり戦い抜いてくれた選手の多くが残ってくれた。世界を見渡しても、継続的にチームビルディングをできているチームが成績的に成功しているので、島根スサノオマジック にとって非常に大きな強みになる。チームが新しくなるなか、彼らの特徴をもう1度洗い直し、新しく来た選手とミックスしていく。昨季から成長することはチームにとって重要で、そこがあって初めて次のレベルに向かえると思う」
 
 2021-22シーズンに向けて就任を要請された際、フロント陣からヘナレHCが言われたのは「チームは成長途中であり、できるだけ近いうちに優勝に導いてほしい」という言葉だった。その目標は今季達成されるのか、あるいは近い将来の実現に向けて礎を築く1年になるのか。
 
 エナジーあふれる新生スサノオマジックは、10月2日、本拠地で新シーズンの船出を迎える。

【島根スサノオマジック】

  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

島根スサノオマジックは島根県を拠点として、「地域の活性化」、「青少年の健全育成」、「バスケットボールの競技力向上」という理念のもと、2010年に創設いたしました。2018-19シーズンにおいてB1 再昇格を決め、2020-21シーズンの最後にチーム最多連勝数8連勝を決めるなど、シーズンごとに成長しているチームです。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント