なぜホークスは球界初のVTuberを作ったのか?「エンタメ企業」としての狙いと未来

福岡ソフトバンクホークス
チーム・協会

【(C)SoftBank HAWKS】

福岡ソフトバンクホークスに球団公式バーチャルYouTuber(以下VTuber)がいるのはご存知だろうか? 「鷹観音海(たかみね・うみ)」と「有鷹ひな(ありたか・ひな)」の2人。2020年シーズンの終盤にデビューし、YouTubeチャンネル「うみひな【ばーちゃるホークスちゃんねる】」での動画配信や試合の応援生配信を行うなど活動している。

 なぜ、プロ野球の球団であるホークスがVTuberなるものを生み出したのか? “生みの親”である福岡ソフトバンクホークスIT本部IT戦略部の岩瀬史明さんが「うみひな」誕生の狙いと経緯を明かした。

 12球団で初めてとなるVTuberの誕生には、まずホークスという球団の“企業風土”が大きく関係している。近年、ホークスは「プロ野球球団」という枠組みを飛び越え「エンタメ企業」として様々な事業を展開。音楽フェスを開催したり、海上アトラクションを作ったり、本拠地PayPayドームの隣に「BOSS E・ZO FUKUOKA」というエンターテインメントビルを建設したり、と野球以外でも“魅力”を創出しようとしている。

球界初の球団公式バーチャルYouTuber うみひな 【(C)SoftBank HAWKS】

 ホークスの球団内には社員なら誰でも応募できる「新規事業提案制度」というものがある。年に1度、新しい事業のアイデアを募り、経営陣らにプレゼンを行うことができ、そのアイデアは野球に関係なくとも構わない。最優秀賞に輝くなど、社内で評価されたアイデアに関しては、実際に事業化が検討される。

 この「新規事業提案制度」からVTuberも生まれた。「当時、『アイドルマスター』とか『ラブライブ』といったデジタルアイドル系のコンテンツが流行っていました。ホークスにはマスコットキャラクターはいるけれど、アイドルみたいな存在は野球界にいないよな、と。それならば、ホークスがやればいいんじゃないか」と考えた岩瀬さんがアイデアを提案。プレゼンの末に最優秀賞に輝き、事業化へと動き出した。

 「鷹観音海」と「有鷹ひな」の2人の「魂の選定」(バーチャルコンテンツ業界ではこう呼ぶらしい)はどう行われたのか。「大前提として野球にどれだけ詳しいか、好きか好きじゃないかは最重要視しました。やはり我々のコンテンツの軸にはなっていくので。あとはこの組み合わせだと、何か面白いものができそうだなとか、声や性格、キャラクターなども含めて判断しました」と岩瀬さん。その結果、野球に詳しい「鷹観音海」と“ライト”な野球ファンの「有鷹ひな」が生まれた。

球団公式ならではの球場裏側への潜入動画も配信 【(C)SoftBank HAWKS】

 デジタルコンテンツの世界には馴染みがない人も多いはずだ。そんな中で、なぜホークスはVTuberを作ったのか。岩瀬さんは「デジタルコンテンツを好きな人たちに“うみひな”を知ってもらい、そこからホークス、野球にも興味を持ってもらいたいというのも想いとしてあります」と言う。もちろん、既存のファンにも新たな楽しみ方を提供するのも1つの目指す姿。それと同時に「うみひな」が新たなファンの“窓口”となることを期待している。

 現在は応援生配信や選手へのインタビューを行いつつ、他のバーチャルYouTuberたちとコラボするなど、活動の幅を広げている。YouTubeチャンネルの登録者数も徐々に伸びて8000人を突破。将来的には「例えば、色々なVTuberのイベントやフェスに出るとか、PayPayドームでVTuberを集めてライブをするぐらいに育てることが夢です」(岩瀬さん)と思い描いている。

選手インタビューでは、素の姿を引き出すエピソードトークを展開 【(C)SoftBank HAWKS】

 「うみひな」の立ち位置は、ファンの1人だとも岩瀬氏は言う。「ファンの方々も『興味がないから』と思わず、自分たちと同じファンの1人として一緒に楽しんでほしいですね。一緒に応援していくというスタンスなので、VTuberという枠を超えて見ていただくと、魅力だったり、楽しさを感じてもらえるかなと思います」。誕生からもうすぐ1年になるホークスのバーチャルYouTuber。野球観戦の1つの新たな形として、楽しんでみてはいかがだろうか?
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