WBO世界フライ級王座決定戦 田中vs.田口

3/16 16:00 岐阜メモリアルセンター で愛ドーム

田中が判定の末、初防衛に成功

ゲームスコア

大会名
WBO世界フライ級王座決定戦

[王者]田中恒成

3判定0

[同級4位]田口良一

判定詳細:117-111、117-111、119-109
※田中が初防衛に成功

総括

田口との打ち合いを制し、初防衛に成功した田中(左)【Getty Images】

 プロボクシングのWBO世界フライ級王座決定戦が16日に「岐阜メモリアルセンター で愛ドーム」で行われ、王者の田中恒成(畑中)が判定3-0(117-111、117-111、119-109)で同級4位の挑戦者・田口良一(ワタナベ)を破り、初防衛に成功した。

 序盤から接近戦が展開される中、3ラウンドに田口の右ショートストレートを受けた田中が腰を落とす場面もあったが、その後は田中が左のボディフックでダメージを与えて挽回。その後は7ラウンドに右ストレートで相手の顔を跳ね上げるなど、終始試合をリードした。しかし、打ち合いに固執した田中は、狙い過ぎて手数が減ったり、大ぶりになったりと仕留め切れず、粘る田口を攻略しきれないまま終盤戦に突入。最終ラウンドは足を止めた打ち合いでKOを狙ったが、倒し切れなかった。

 試合後、田中は「一つの試合として見たら、いきなり年間最高試合の候補に挙げていいんじゃないかという、いい試合になったと思う。田口選手は自分の想像を超えてくるくらい、気持ちがすごかった。自分も逃げたくない、相手の気持ちに応えたい、オレも打ち合いたいという気持ちになった」と注目された日本人対決で観衆が臨んでいた打ち合いを展開できたことについては手ごたえを示した。

 一方で、自身の試合内容については厳しく評価。3ラウンドに腰を落とした場面は、後に残るものではなかったと言いつつも「一瞬、ダメージがあった」と被弾を認め、相手のパンチを受け過ぎたことを反省した。また、攻撃面についても「ボディが効いているのは分かっていたけれど、相手が警戒しているところに追撃を決めるコンビネーションを打てず、一発狙いになってしまった」と改善点を挙げた。2試合連続で日本人対決を制して戦績を13勝7KO無敗とした田中は、試合直後で「正直、今回は、次に目指す明確なものは、あまりない」と話したが、今後も同タイトルの防衛戦を続けていく意向だ。

ラウンド詳細

  • 試合前

    先に青コーナーから挑戦者の田口が入場。穏やかな表情を見せ、花道を作るファンとグローブタッチをしながらリングへ向かった。続いて、赤コーナーから王者の田中が、QUEENの「I Was Born To Love You」に乗って登場。真っすぐリングを見据えて花道を進んだ。

  • 1R

    開始と同時に両者がリング中央へ進むと、いきなり接近戦を展開。田中が鋭いジャブを連打すると、田口は頭をつけての近距離戦でボディ、アッパーを繰り出して応戦した。

  • 2R

    このラウンドもいきなり距離を詰めて打ち合いの展開となった。ともにコンビネーションで打開を狙う。中距離でスピードに勝る田中がワンツーや左フックで先手を奪うことが多いが、距離が詰まると田口が連打で反撃する。

  • 3R

    開始と同時に先手を奪った田口がショートストレートをヒット。田中は一瞬、腰を落としたが、こらえた。田中は少しフットワークを使って中近距離で出入りの動きを増やして、冷静にラウンドを進め、左ボディフックで2度クリーンヒットを奪って反撃。田口は思うように距離を詰められず、追撃はできなかった。

  • 4R

    田中はジャブを増やして距離をコントロール。相手の打ち終わりに左ボディフックを狙う。田口も序盤に左フックをヒットし、容易には試合のペースを譲らない。しかし、ラウンド中盤から田中の攻勢が目立ち始める。田口はボディが効いているのか、なかなか押し返せない。それでも終盤は手数を増やして応戦。粘りを見せる。

  • 5R

    ジャブ、ストレートの刺し合いでスタート。田中は前に出て仕留めにかかるが、田口は負けじと打ち返す。しかし、田中はギアを上げて強打を連発。左のダブルでボディをたたき、中間距離では右ストレートをヒット。後手の田口は、やや苦しい展開だが、相手の手が止まると近距離の細かいコンビネーション。終盤は、大ぶりになった田中のパンチをかわして反撃した。

  • 6R

    フットワークでサークリングする田中が、的確にジャブをヒット。しかし、田口もジャブを返す。近距離ではクリンチ際で田中が体の位置を変えながら、アッパーをヒット。しかし、様子をうかがうと、田口がすかさず連打で反撃。終盤、田中が左ボディフックを当てると、田口は苦しそうな表情を見せたが、こらえた。

  • 7R

    田中がいきなり強烈なワンツーで強襲するが、田口はブロック。むしろ、手数を増やして相手に先手を与えない展開を狙う。しかし、田中は右ストレートで相手の顔を跳ね上げる。さらに前へ出て、中間距離で相手のパンチをダッキングでかわしてカウンターを狙うなど、田口を追い詰めていく。

  • 8R

    ペースを挽回したい田口が手数を増やし、先手を奪いに行く。田中はステップで中間距離を保ちながら、フィニッシュワークへつながるヒットを狙うが、手数はやや少なくなった。田口はじりじりと距離を詰め、ボディ打ち。手数を止めず、相手に狙うチャンスを与えない。

  • 9R

    田中がサークリングから左のアッパー、ボディをヒット。それでも田口は足を止めずに前進し、ブロックとショートコンビネーションで相手を追い返す。田中は少し下がりながら相手を誘い込むが、クリーンヒットは奪えない。

  • 10R

    田中が中間距離から力強いワンツー。明らかに手数を増やし、攻略にかかる。少し大ぶりになると、田口がクリンチ際から細かいワンツー、ショートアッパーで応戦。しかし、田中は構わずパワーで押し込みにいく。田中が攻勢だが、ヒットをなかなか奪えないままラウンドは終了。

  • 11R

    どちらも前に出て、距離を詰めた打ち合いからスタート。試合の終盤を迎え、会場の応援が白熱する。田中はコンビネーションのスピードを上げて、左ボディフックを狙う。田口は右ストレートを打ちつけて距離を詰め、ショートアッパーへつなげていく。ともに倒しに行くタフな打ち合いを展開。

  • 12R

    互いに譲らないまま最終ラウンドへ突入。いきなり、リング中央で壮絶な連打戦。田中が右をヒットさせるが、田口は怯まない。中距離では田中、近距離では田口が手数を増やす。両者への応援が響く中、打ち合いが最後まで続いたが、ともにダウンは奪えず、大歓声の中、終了のゴングが鳴らされた。

    判定は、3-0(117-111、117-111、119-109)で田中の勝利。初防衛に成功した。

  • 田中の試合後コメント

    大差の判定勝ちで初防衛に成功した田中は、リング上インタビューで「思っていた通り、年間最高試合、いきなりですか? いい試合ができて、田口選手に感謝です。めちゃくちゃ強かったです。初防衛ができたので、次も防衛できるように頑張ります。岐阜で試合をやったのに田口選手の応援がすごくて、ハンパなかった」とリスペクトする先輩ボクサーとの試合を振り返りつつ、さらに連勝記録を築く意気込みを示した。

見どころ

前日計量で撮影に応じる田中(左)と田口【写真:平野貴也】

 プロボクシングのWBO世界フライ級王座決定戦が16日、「岐阜メモリアルセンター で愛ドーム」で行われ、王者・田中恒成(畑中)と同4位の田口良一(ワタナベ)が激突。日本人同士の一戦となる。

 幻の一戦が、1年を経て実現する。初防衛戦を迎える王者の田中と挑戦者の田口は、田中がWBO、田口がWBAのライトフライ級王者だった2017年の年末に対戦が内定していた。しかし、同年9月に田中が防衛戦で両目眼窩底骨折を負い、対戦は実現しなかった。

 その後、負傷から復帰した田中は連勝を続け、1階級上げた後の昨年9月にWBOフライ級王座を獲得。そして、世界最速タイの12戦目で世界3階級制覇を達成。現在も無敗を保っている。一方、田中との対戦が流れた田口は、17年12月にライトフライ級で2団体(WBA、IBF)統一王者となったが、昨年5月の防衛戦で陥落。1階級上げての再出発で、因縁の田中戦を迎えることになった。

 試合前日の記者会見では、王者の田中が「こんな面白いカードで、つまらない試合を見せるつもりはない」と言えば、挑戦者の田口も「自分も逃げるつもりはない。打ち合いの時間が多いと思う」と、ともに打ち合いに挑むことを宣言した。

 ともに右構えのボクサーファイター。距離を詰めながら攻めるのがうまい田中は、まだ23歳と若く勢いがある。一方、井上尚弥(大橋)に善戦したキャリアも持つ田口は32歳だが、スタミナのあるタイプで後半に強い。いくつもの好勝負を見せてきた両者の因縁の対決は、好戦必至だ。

 両者のここまでの戦績は、田中が12勝(7KO)無敗、田口は27勝(12KO)3敗2分。