“過酷”の先にある“達成感”は楽しい! 日本初上陸!「スパルタンレース」を体験
有刺鉄線、鉄球、サンドバック…上半身がパンパンだ!
いきなり泥水の中を匍匐前進! 外から見たら、ワニの大行進みたいな状態!? 【画像提供:リーボックスパルタンレース広報事務局】
こちらは有刺鉄線に引っかからないように、下を匍匐(ほふく)前進したり、横向きで転がったりしながら進んでいきます。ただ、ちょっと圧倒されたのは、有刺鉄線の下が水溜り状態なのです! それもスタートして1キロ地点。この時点で泥水でドロドロに濡れて、もし白いウェアなんて着ていたら、ここで違う柄に変わってしまうレベルでした。
でも最初は嫌だなと思いつつ、だんだん汚れていくのが楽しくなってくるヒトの本能も……。泥んこ遊びって、子供の頃楽しかったですよね。そんなことを大人がやっている感じです。
鉄球を抱え挙げるだけで一苦労……。こんな障害が続きました 【画像提供:リーボックスパルタンレース広報事務局】
正直、重いものを運んだり、持ち上げたりするのは得意な方だと思っていたのですが、この鉄球に関してはまったく持ち上がらない……。体全身の力で持ち上げようとしても、全然上がらずに降参。多分、無理にいったら腰をおかしくしてしまうのではと思いました。
これでは障害をクリアできない! そんな時は罰ゲーム代わりにバーピーを30回することで免除されるというシステム。ここは罰ゲームで許してもらいました。
さらにこの後には「Sandbag Carry」(サンドバッグを担いで持ち運んでいくゾーン)、「Plate Drag」(重りの乗ったそりを引っ張っり寄せて、それを元の位置に戻すゾーン)、「Hercules Hoist」(重りつきのロープを引っ張り上げて、重りをテッペンまで持ち上げる障害物)と、重いものを抱え挙げたり、引っ張ったり、引きずったりと、知らぬ間に上半身をめちゃくちゃ鍛えている状態で、レース終盤には、もう腕に力が残らなくなるほどヘトヘトになります。これはさすがに、普通のランニング大会では味わえない感覚ですね。
綱上りはゴール直前で落下 それでも何とかゴール
数メートル先の的に槍を当てるという障害物。ここは絶対に当てたいところでしたが、無念にも槍はささらず…… 【スポーツナビDo】
ちょうど自分の前のランナーが成功して、ハイタッチし合ったので、それに続けと投げてみました。しかし無情にも、槍の先端が的に向かって垂直に飛ばず、弾き返されてしまいました……。ここも無念のバーピー30回……。何気に、バーピー30回って、体に疲労が溜まるものです。
完走者には、スパルタンレースのロゴが記された重量感のあるメダルが手渡されました 【画像提供:リーボックスパルタンレース広報事務局】
本当に腕の筋肉はパンパン、握力もギリギリの状態の中、少しずつロープを上がっていきましたが、残り1メートル、あと2、3回体を持ち上げればというところで、握力が限界に来てしまい落下……。さすがにもう1度挑戦という気持ちにはなれず、ここもあきらめてバーピー30回でした。
こんな感じで過酷な障害物を越えていき、22個目の「Fire Jump」で火の付いた薪の上を飛び越えていった先にゴール!
結局、7キロのコースを「1時間5分47秒」、全体894位という結果でした。一応、順位もタイムも出ていますが、走っている本人としては、「完走できて良かった」という達成感と、「あそこの障害物、クリアしたかったな」という後悔の念が入り混じったレースとなりました。
過酷だからこそ、リピーターも大半
ドロッドロになりながらもゴールした達成感は最高です! 【スポーツナビDo】
ただ「これほど過酷なレースにする必要はあったのか?」と質問すると、「これだけ苦労しながらゴールに向かうことで、“達成感”を意味あるものにしたかったからです。一生懸命頑張って、苦労してゴールラインに入ることに“達成感”があるのです。調査によると、この“達成感”をもう一度味わいたいという人が多いので、5割以上の人がリピーターとして参加してくれていますよ」とのこと。この辺りのコンセプト作りは、戦略家だなという印象でした。
今後について、まずは10月21日、22日に次回大会(神奈川・さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト)の開催が決定しており、日本開催はこれからも継続していく模様。「今回の大会は60日間で、予定枚数が売り切れになり、ウェイティングは1万人以上リストにいました。それを考えると日本の需要はあると思っています。来年以降には3回から5回、いずれかは毎月やりたいですね」と、展望を伝えてくれました。
実際にレースを走ってみると、想像をはるかに超えたり、難易度が高かったりする障害物も多く、心が折れそうになるところはありました。それでも限界に挑戦していることに対する楽しさ、さらに同じように限界へ挑戦している人たちから声をかけられ勇気を与えられる楽しさもあり、きついながらも「また参加してみたい!」と思える大会でした。
もし、また参加する機会があるなら……、もっと筋肉をつけるぞ! 目指せ、マッチョ!(笑)
(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)