SPORTS for LIFE #021 EXILE TETSUYA 「Dance is Sports」

スポーツナビDo

【(C)株式会社LDH】

――ダンスの魅力、スポーツとしてのダンスの魅力も含めて教えてください。

誰も不幸にしないと言いますか、踊っている本人もそうですし、見ている方も笑顔になったり、心が弾んだりとか、フィットネスとしてのダンスだったら健康も手に入れられる。スポーツとして本気でやろうと思ったらケガをすることがあるかもしれませんが、楽しむという意味では損することが一つもないなと思います。ダンスって、硬く言うと音楽と体育の時間が一緒になった感じ(笑)。音楽を楽しみながら体を動かして、健康になるという意味では、すごくいい運動だと思います。

――最近ではダンスがより注目され、中学校などで必須科目になりました。

そうですよね、そういう時代になったんだなぁってEXILEのメンバー間でも話をします。HIROさんがダンスを始めた頃とは全く違うダンスの時代ですし、その時代と今の中間にある僕らがダンスを始めた時代は、ちょうど変換期だと思うんですが、今の時代みたいになるなんて当時、絶対に予測できなかった。こうして必須科目になっているのがまさに奇跡みたいなことだと思うんです。だからこそ、今僕らが考えなきゃいけないことって、たくさんあるなってよく思うし、メンバーともよく話します。

――ちなみに、ダンス以外にやっているスポーツはありますか? エクササイズや日ごろのトレーニングも含めて

トレーニングはもちろんやっています。トレーニングも面白くて、国や地域によっても色々違いますよね。実は先日ニューヨークに行って、色んなフィットネスクラブを回って、トレーニングを体験したり、施設を見てきたりしたんです。実際に触れることによって刺激をもらって、僕のダンスに反映されたりとか、監修しているティップ.クロスのダンスフィットネスプログラムにつながったりしているんです。だから色んなものを見るのは大事だなと思います。

――どういうときにダンスをしたりトレーニングをしたくなりますか?

やっぱりスポーツってストレス解消にもなるものだと思うので、特にトレーニングの場合ですと、日ごろのストレスとか「クッソー!」と思いながら重りを持ち上げると、より効果的だなって思うことってよくあるんですよ(笑)。

でも、ダンスってやっぱりアートな部分もあるので、自分の心の状態というのがそのまま表現として出ちゃうんです。だから、ムカついていたらムカつく表現になっちゃうし、ハッピーだったらハッピーな表現になるし、本当に泣きたくなったら泣きたくなるようなダンスだし、色んなときにダンスするのをためらわないと言いますか、「今日はもうこういう感情だからしょうがない」みたいな、そういう自分も楽しんでいる感じがしますね。

――例えばランニングも自分と深く向き合うことができるスポーツと言われていますが、ダンスも相通ずるものがありそうですね。

僕らのパフォーマンスはスポーツとは違い、ライブをやっても勝敗がつくわけではないので、会場に来るお客さんが全員、僕らを応援してくださる。まさにホームなんです。なのでアウェイがない。では何をもって勝負なのかというと、やっぱり自分に勝つか勝たないか。だから、自分に負けないトレーニングをしますし、自分に負けないパフォーマンスをするにはメンタル的なことも日々考えながら、ダンスと向き合っています。

――では、ここから少し質問の趣向を変えまして、テンションを上げたいときに聞く曲は?

いっぱいあります。今だとEXILE TRIBEの『HIGHER GROUND』という曲は、物すごくかき立てられます。その時々によってテンションを上げたい曲はあって、例えば『Rising Sun』もそうですし、『EXILE PRIDE』という曲もそうなんですが、今だと『HIGHER GROUND』という曲はすごくかき立てられます。テンションを上げたいという人に、ぜひおすすめしたい一曲です。

EXILE TRIBE / HIGHER GROUND feat. Dimitri Vegas & Like Mike from HiGH & LOW ORIGINAL BEST ALBUM - YouTube

――なるほど、僕もテンションを上げたいときに聴かせいただきます(笑)。

ぜひ聴いてください(笑)

――それではダンスやスポーツをしているときに、必ず身に着けていたり持ち歩いているマストアイテムはありますか?

ライブのリハーサルや本番もずっとなんですけど、心拍数を測るようにしているんです。

2時間半とか3時間、4時間のライブの中で、自分の心拍数がどう変動していて、どの曲が一番MAXなのかと知りたくなったときがあったんです。そこからずっと心拍数を測っているんですが、リハーサルやライブが終わった後にパソコンにつないで数字を見ると、ライブが始まって何分のところで心拍数がピークだから、たぶんこの曲だなって分かる。じゃあ、その曲が来る前にどのような準備をすればいいのか、どういうストレッチしておこうかなとか、そういうことを考えながらパフォーマンスを向上させるというのをやっていますね。

――もう考え方がアスリートですね。

そうですね(笑)、自分でそういうことをやり始めて、考え始めてから、やっぱりパフォーマンスも少しずつ上がるようになってきましたし、色んなことにもチャレンジできるようになってきたので、それをメンバーに共有するんです。「オレの心拍数こんな感じだったよ」って言うと、みんなそれを信じてくれて、「じゃあ、その曲の前にはゼリードリンクを飲んだ方がいい」とか「水分もっと摂った方がいいね」とか「足をつらないようにしないとね」とか。メンバーとそういう話をよくしてます。

――最初にTETSUYAさんが「ダンスをスポーツと言ってもいいのか」とおっしゃっていましたが、今のお話を聞くと完全にスポーツですね(笑)

はい(笑)、やっぱり大きな規模感で長時間のライブパフォーマンスをするEXILEのようなグループって世界中探してもなかなかないと思います。もっともっと色んな角度から僕らのダンスというものを研究しないとダメだなと思っています。

【(C)株式会社LDH】

――では、ダンスをしてきた中で1番の思い出、印象に残っていることは?

2011年のドームツアーで、全く何も感じない“ダンサーズハイ”みたいなことになったときが1回あったんです。そのときは音がゆっくり聞こえて、全く疲れなくて、どこまでも動けちゃうみたいな感覚になったときがすごく印象的でした。そのときも心拍計をつけていたんですけど、数値が200を超えていて、自分のMAXの心拍数までたどり着いていたんですが、動いている最中は全く疲れてなかったんです。だから、すごいアドレナリンが出ていたんだなぁって。あの感覚はなかなか感じれるものではないなと、すごく貴重な経験をしました。

――最近流行りの言葉で言うと「ゾーンに入る」という感じでしょうか。

あぁ、そうです、そうです。もう1回あの感覚を味わいたいなと思うんですけど、なかなかそうは行かないんですよね。

――では、次の質問に入ります。スポーツしている女性に関してはどのような印象を持っていますか?

きれいですよね、美しいと思います。健康を手に入れたいとか、健康に欲求がある女性って、男性もそうですが、すごく内側からきれいなものが見えると言いますか、洋服で着飾ろうが絶対に出せないものを、スポーツをしている女性には見える。そういう人ってすごく魅力的だと思うし、すごく美しいなって思います。

――最近ではオリンピックを目指す女性アスリートをメディアで見る機会も多いですが、そうしたアスリートたちは美しくてかっこいいなと思ってしまいますね。

はい、自分の人生をかけているトップアスリートの方たちまでいかなくても、せめて自分の健康に人生をかける、と言えば言いすぎかもしれないですが、でも人生かけて生きるわけなので、それくらいの気持ちで挑んでいる人、一生懸命になっている人ってやっぱり素敵だなと思いますね。

――次の質問です。ダンスをしてきた中で自慢できるポイントは?

EXILEになれたこと、間違いなくそれでしょう。やっぱり、それ以上はないですね。

――今ダンスしていなかったら何をしていたか想像がつかないくらいですか?

ダンスをしてなかったら……大工さんになってるかな。学生のころは大工さんが夢だったので(笑)。

――ダンスやスポーツをして達成感を得られたときの自分へのご褒美は何かありますか?

“ウマメシ”です。美味しいご飯を食べに行くことですかね。ライブツアーや撮影などに向けて体を絞ったりトレーニングをして、目標を持ってやってきたことが達成できた後は、「頑張ったからちょっとの期間はいいでしょ!」って好きなものを食べたり、友達とお酒を飲みに行ったり、そういった時間をたくさん持つことがご褒美になってるかなぁと思います。

――その流れからお聞きしますが、“ウマメシ”で食べる好物と言えば何ですか?

それはもうお寿司です! お寿司が大好きなんです。
――では次の質問です。今のマイブームは?

色々ありますね、趣味が多いので。でも、コーヒーが一番ですね。作るのが好きで、もう5年ぐらい毎朝コーヒーを淹れて、メンバーやスタッフさんに振舞ったりとか。今はブランドもプロデュースしてます。コーヒーマイスターという資格を持ってたりするので凝り性なのかもしれないです。将来、お店とか出せたら夢があっていいですよね。

――ぜひともよろしくお願いします(笑)。では、質問はあと2問です。好きな言葉、座右の銘があれば教えてください。

こないだ、ある人から聞いてしびれた言葉があるんです。
『運は人柄』。そういうことをおっしゃっていた人がいたんですが、運を引き寄せるのも、運というものを感じるのも、その人柄があってこそなんだというのを教えてくれた方がいたんです。その言葉にしびれました。すごくいい言葉だなぁって。

運が悪いとか、タイミングが悪いとか、ネガティブになっている人がいるかもしれないですが、そういうのって全部自分のせいだと思いますし、自分でもずっとそう思っていたんです。だから、それをひと言でまとめてくれたのがすごいな、素敵だなぁ!って(笑)。だから、これが最近ハマっている言葉です。

――確かにスッキリとまとまっていて、いい言葉ですね。では最後に、スポーツとしてのダンス、また、健康促進のためのダンスというものを広めて、さらに盛り上げていくためには今後どのようなことが必要になるでしょうか? また、そうした将来へ向けてのTETSUYAさんご自身の抱負などをお聞かせください。

自分としては『Dance is Sports』って大きく言いたいですし、やっぱりスポーツの世界で最高の祭典はオリンピック、パラリンピックです。ということは、いつか僕らがやっているストリートダンスがオリンピック、パラリンピックの競技になること、それが僕の夢。それでいつか、その日本代表がEXILE JAPANみたいな名前になって、僕がその監督をやっていたら、それはすごく素敵な夢だなぁって思っているんです。

だから、僕が今やるべきことはやっぱり、たくさんの人にダンスに触れてもらい、音楽を楽しんでもらうこと。あとは僕らがやっているようなことをよりスポーツ科学的に分析したりとかですよね。

僕がEXILEというグループに所属できた恩返しってなんだろう?って、いつも考えていたんですが、よりダンスというものを広く、多くの人に理解して、感じてもらうことを続けていきたいと思っています。

――例えば新体操やフィギュアスケートも、言ってみれば技の難易度とともに表現力も競うスポーツです。それで今、学校教育ではダンスが取り入れられるくらい注目され、ストリートダンスを見てもトップの人は物すごい身体能力を持っている。そうした観点から見ると、ダンスがオリンピック、パラリンピックの競技になるというのは、十分に可能性のある話だと思います。

はい。だからオリンピック選手と積極的にお会いしたり、パラリンピックの競技を観に行ったり、パラリンピック選手と対談させていただいたり、そういうことをどんどんやって、もっとスポーツを知ることによってダンスにフィードバックできることがたくさんあるんだろうなと思っているので、そうした活動を続けていきたいと思っています。

――それでは将来ダンスがオリンピック、パラリンピックの種目になって、TETSUYAさんが日本代表の監督になったら、その時にまたインタビューさせてください。

はい、ぜひよろしくお願いします。そのときはおじいちゃんになっているかもしれないですね(笑)。

TETSUYA

19歳からダンスを始め、2007年に二代目J Soul Brothersのメンバーに抜擢。09年2月にアルバム『J Soul Brothers』でメジャーデビューを果たすと、同年3月にEXILEの新メンバーとして加入。EXILE THE SECOND、DANCE EARTH PARTYのメンバーとしても活動する一方、個人としては「EXILEパフォーマンス研究所 (E.P.I.)」を設立し、2014年4月には淑徳大学人文学部表現学科にて客員教授に就任。

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著者プロフィール

習慣的にスポーツをしている人やスポーツを始めようと思っている20代後半から40代前半のビジネスパーソンをメインターゲットに、スポーツを“気軽に、楽しく、続ける”ためのきっかけづくりとなる、魅力的なコンテンツを提供していきます。

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