島をぐるり2周100km、仮装ランで行く! 「伊豆大島ウルトラランニング」レポート前編

三河賢文

美しい夕日に癒され受付を完了

【三河賢文】

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 大島に到着したら、すぐに『元町港船客待合所』へ向かって受付を済ませました。本大会は“前日受付”が基本。そもそもスタート時間が早朝のため、ランナーは前日入りが必須です。まだ暗い時間帯にスタートするため、ゼッケンには反射板が付けられています。

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 受付会場では開会式、そして抽選会が開催!ゼッケンナンバーをもとに、地元特産品など豪華賞品がもらえます。残念ながら私は当たりませんでしたが、大会前日なのに、皆さん立ちっぱなしで盛り上がる様子は印象的でした。
 受付&抽選会を終えた後は、すぐ近くにある温泉施設『御神火温泉』でサッパリ。ついでに食事も終えて外に出ると、今まさに海へ沈もうとする美しい夕日が!実は大会当日が雨予報だったのですが、夕日を見て「これは、なんとか晴れてくれるかも」という期待が持てました。こうした素晴らしい景色も、島ならではといえる光景です。

いよいよ暗闇の中で大会スタート!

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 大会当日、スタートは朝5:00です。スタート・ゴール地点は受付と同じ『元町港船客待合所』。すぐ目の前の宿へ泊まっていたので、直前にトイレを済ませてから出られました。宿選びも大切ですね。

 今回は“トウモロコシ”のコスチュームで仮装ランに決めました。実は大島、私が初めてフルマラソンを走った場所なのです。そのため『大会を盛り上げたい』という思いで仮装することに。ゼッケンもしっかり安全ピンで付け、準備は万端です。
 スタート地点には大勢のランナーが勢揃い。早朝なので周囲は真っ暗闇ですが、熱気に包まれていました。号砲が鳴るなり、皆さん気合十分に走り始めます。58km・100kmとも同時スタートなので、出場者は800名ほどになるでしょうか。これからの長丁場、ランナーそれぞれの戦いのスタートです。

時計回りの前半戦(1周目)

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 スタートから約4kmで折り返し。空は少しずつ明るくなり始め、ランナーの顔も判別できるようになっていました。仲間同士で「頑張ろう〜!」「ファイト〜!」なんて声を掛け合う方も多く、私も知り合いランナーと挨拶を交わしました。

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 そして7km強でスタート地点に戻ってきました。まさにここからが本番!本大会は島を周回するのですが、58kmの部は1周、100kmの部は2周して、この『元町港船客待合所』がゴールとなります。

 曇り空ですが雨は降っておらず、気温も走るにはちょうどよい程度です。コンディションとして申し分なく、これは楽しい100kmになりそうな予感。まずは1周目、島をぐるりと反時計回りです。

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 港付近は民家も多くありますが、コースは基本的に木々に囲まれた緑あふれる道のり。そして大島は三原山を中心とした火山島のため、基本的に平地ゼロのアップダウンコースになります。スタート直後から早くも登ったり下ったりと、これは厳しい戦いになりそうです。しかし舗装路のみなので、走りにくさはありませんでした。

 距離表示は5km毎。よく見るとメッセージが添えられていて、これが全ての看板で違っています。なんだか、走っている最中だからこそ勇気づけられる言葉。イラストも可愛らしいですね。

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 コース途中にある地層大切断面は観光スポットとしても有名。約500mにわたって、コース真横に地層断面がずっと続いています。これはなかなか見られる光景ではなく、ランナーの中にも思わず立ち止まり、写真を撮っている方が多いようでした。

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 20km手前、目の前に大きな山が。「まさか、あの中を走るの?」と後ずさってしまいそうですが、間違いなくその通り。何を隠そう、1周目は島でもっとも高い地点である三原山山頂のすぐそばまで行くんです。

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 25km地点にあった「筆島」。ずっと奥に見える小さな岩山が、筆のように見えるのでその名が付けられています。島へと押し寄せ、また引いていく波によって出来たのでしょう。いつか時間があったら、もっと近くまで見に行ってみたいものです。

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 筆島を過ぎたら、いよいよ先ほど見上げた山道へ。ここからは、しばらく登りだけが延々と続いていきます。どこまで登り続けるのか……とりあえず目の前にいたランナーについて走ることにしました。

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 すると現れたのがこの光景。新しい橋のようですが、後半だったら心が折れそうなほどの坂道です。“心臓破りの坂道”だと応援していた地元の方が教えてくれましたが、「長い」「急勾配」と揃い踏みの難所でした。まだ30kmにも到達していないのですが、どんどん筋疲労が溜まっていくのを感じます。

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 なんとか“心臓破りの坂道”を登り切り、その後もアップダウンを経てエイドステーションでの1枚。スタッフの皆さんはとても元気で、疲れなんて吹き飛んでしまいます。
 ほぼフルマラソンの地点にあるエイドステーションですが、ここが重要なポイント。いよいよ三原山山頂を目指して再び登り続けます。頂いた『鯖ソース勝パン』でエネルギーを補給し、いざ山頂へ!

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 どこまでも続く坂道では、山頂で折り返してきたランナーと何度かすれ違いました。本当に、どこまで続いているのか分かりません。進むしかないのですが、45km手前というタイミングでは“気持ち”が試される場面でしょう。この辺り、勾配は10%ほどでした。

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馬も、きっと応援してくれていることでしょう。写真を撮ろうとしたら、しっかりカメラ目線を向けてくれました。そして……

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 45km地点、三原山山頂のエイドステーションに到着です!若いスタッフさんが多くて、トウモロコシは大人気でした。山頂付近は気温が下がるのですが、ちょうど頭上には青空が広がっており心地よい陽気。

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 お蕎麦を食べてちょっと休憩。美味しくて何杯でも食べられそうですが、後のランナーの分がなくなると悪いので1杯だけ。何しろここが山頂ということは、つまりあとは下るだけ!当然の理屈ながら、まるでご褒美のように感じます。

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 思っていた以上に、山頂を過ぎてからは下り坂だらけでした。周囲にランナーが見当たらずちょっと寂しいですが、坂の傾斜に身体を預けるだけで、どんどん前へと進んでいきます。

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 登ったからこそ味わえる絶景もありました。私は下りが得意なので、下り坂では景色を楽しめるほど余裕が生まれます。
 まさに“あっという間”の出来事。13kmを一気に駆け下り、『元町港船客待合所』へと戻ってきました。なんと目の前にはゴールテープが!…しかし、私が進むのは左側の道。そう、58kmの部はここでゴールですが、100kmはここから島を再び逆回りで1周しなければなりません。

「58kmの部にしておけば良かった……」

 きっと、ここでそう感じたランナーは私だけじゃないはず。しかしあと1周とはいえ、距離は42kmだけ。すでに半分以上を終えているのだと自分に言い聞かせ、再びあのアップダウンへと挑むのでした。

(27日掲載の後編へつづく)

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著者プロフィール

中学生の頃から陸上競技を始め、大学では十種競技選手として活動。引退後、約7年のブランクを経て2011年6月よりランニングを開始。同年にハーフマラソン、フルマラソン、翌年には100kmのウルトラマラソンやトライアスロン(オリンピック・ディスタンス)も完走。沖縄本島1周マラソンなどを始め、今では“超長距離”レースにも数多く出場している。また“トウモロコシ”や“アザラシ帽子“をトレードマークに、仮装マラソンも楽しむ。ランニングブログも不定期更新中。趣味と過去の経験を活かし、現在は東京都葛飾区内にある中学校の陸上部にて、外部コーチとして指導も行っている

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