辰吉丈一郎が走り続ける理由 「だから僕はチャンピオンになった」
【スポーツナビDo】
辰吉の20年を追った映画『ジョーのあした』
走ってないボクサーは試合を見たらすぐ分かる
辰吉(左)と阪本監督 【スポーツナビDo】
辰吉は走ることに関しての自論を語る。
「世界チャンピオンになった人間ってやっぱり絶対朝走るんですよ。僕の師匠である西原先生(故・西原健司トレーナー)にも『朝走らんボクサーはボクサーじゃない』って言われました。なるほどな、と思う。僕らからしたら、走ってないボクサーは試合を見たらすぐ分かる。走ってる人間と走ってない人間の動きって、全然違います」
「打ち方そのものもそうやし、動き方も全部変わるんで、走ってる人間にしか分からないです。走ってない人間には分からない。走るのは朝じゃなくてもいいんでしょうけど、昼間走って夕方練習するのは厳しいっすよ(笑)。減量やコンディション作りにも朝走って夕方練習が一番いいでしょうね」
当たり前のことができない人間って、何になります?
【スポーツナビDo】
「やっぱりどうしても勝ちたい、俺は誰にも負けたくない、自分がこういう風になるとか、“像”がある人間っていうものは……朝走らないボクサーはダメっていうか、それだけ思い入れがないんでしょう。ボクサーって大体みんな“朝走る”っていうイメージがついてるじゃないですか。そんな当たり前のことができない人間って、何になります? そういうことです]
「もう何年……29年、ずっと。程度によりますけど、小雨だったら普通に走ります。ザーって降ってくると、さすがに止めます。何でかって言うと、靴が乾かないんです(苦笑)。まぁ、靴が乾かないのはよしとしましょう。でもその状態のまま走っていくと、足に水ぶくれができる。毎日走っていつもこすってる状態だから、治りようがない。それが厄介なんです。だから雨の日は、マンションの階段を上り下りして。何もしないっていうことはないです。朝も必ず何かしら練習はします」
辰吉はリングの外でも戦い続けた
公開は2016年2月予定 【スポーツナビDo】
「もう歯磨きと同じ状態です。寝る前って歯を磨くでしょ。ボクサーにとってロードワークは、それと同じで当たり前のことだから」
映画『ジョーのあした』では時代が変わり、取り巻く状況が変わっても、ボクサーとして、そして望む自分であり続けようとする辰吉の姿が自らの言葉で語られる。辰吉丈一郎とはリングの中と同様、あるいはそれ以上に、リングの外でも戦い続けた人なのだということが作品を観て感じさせられる。