ランナーが気をつけたいケガの症状 放っておくと怖い体の異変とは?

デサント

ランナーが気をつけたい体の故障4つ

【写真提供:デサント】

(1)シンスプリント
 骨膜炎(こつまくえん)の一種。走り出すと、スネの内側下1/3のエリアに痛みを感じる。ランニングの着地により足の筋力で補えないほどの荷重ストレスが蓄積すると発症することが多い。そのため、ランニング初心者や急に走る量を増やした人などに多く見られる。発症した場合は数日の休養が必要となる。

(2)脛骨疲労骨折(けいこつひろうこっせつ)
 ランニングの疲労骨折として、もっとも多いのが脛骨(=スネ)。原因や痛む部位はシンスプリントと同じ。シンスプリントは走れないほどの痛みではないため、そのまま続けてしまうランナーが多く、悪化すると脛骨疲労骨折になる。発症した場合、数カ月間は走れなくなる。

(3)足底筋膜炎(そくていきんまくえん)
 足裏の中心からかかとにかけて、アーチ状になった部分が痛む症状。“走りすぎ”により起こるだけでなく、ランニング時の着地が不安定な人や、走る際に重心が後ろへ傾きがちな人に起こりやすい。ベテランの長距離ランナーに多く、走ると痛む場合は数日の静養が必要となる。

(4)腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)
 長時間のランニングにより、太ももから膝の外側にかけて痛みを感じる症状。筋組織と関節が摩擦を繰り返すことにより、炎症が生じる。「ランナー膝」とも呼ばれ、走る量を急激に増やした人がなりがち。また、ランニング時に足の外側に体重をかけがちな人も患いやすい。

ランナーが見逃してはいけない故障のサインと対処法

 気になるのはその対処法。西村さんに、発症してしまった場合の故障との向き合い方を聞きました。

「4つの症状は、いずれも『走ると痛むけれど、ガマンできる程度』なのが特徴。そのため、ついガマンして続けてしまう人が多いんです。軽度であれば2〜3日で回復する症状でも、無理をすると数週間〜数カ月間走れなくなります。ですので、走るときに少しでも足のどこかが痛んだら、2〜3日は体を休めて様子をみるようにしましょう」

 ランナーのケガは、「疲労の蓄積で起こることが多い」と西村さん。そのため、ランニングをする限りはどうしても発生する可能性があるよう。ただし、ひとつひとつの故障自体は決して深刻なものではないので、無理をせず数日休むことが重要とのことです。

故障を防ぐためには、自分のフォームを意識

【写真提供:デサント】

 なお、先に挙げたランナーの故障は「走る際のフォームによっても発生しやすくなります」と西村さん。

「走っている際に上体が曲がっていたり肩に力が入っていたりすると、重心が乱れ下半身への負担が増えてしまいます。特に長距離を走って疲労が溜まると、フォームが乱れ足の負担も増しがち。足の痛みや故障は、自分のフォームが体に適していないかもという一つのサインともいえます。ですので、足が痛んだ時は2〜3日休むとともに、自分のフォームを見直してみてください」

 たとえ1日数十分のランニングでも、その間に足は何千回〜何万回と同じ動作を繰り返します。だからこそ、ちょっとしたフォームの乱れが足の故障につながってしまうんですね。

「気軽に始められるランニングですが、事前にフォームの知識を多少なりとも頭に入れておくことが大切です。また、誰かと一緒に走るときに、可能なら走り始めと終盤で自分のフォームに変化がないかチェックしてもらうと効果的です。フォームへの意識を強くして、体に負荷のかからないランニングを目指しましょう」

 これからランニングを始める方はもちろん、ベテランランナーの方も、事あるごとに自分のフォームが乱れていないかを見ておく必要がありそうですね。

 疲労の蓄積やフォームの乱れから来るランナーの故障。無理をせず、自分の体に合ったランニングを行うことが、故障を防ぐ方法です。そしてそれこそが、ランニングを長く楽しむための最大の秘訣といえそうですね。

■識者紹介/西村典子
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。10年以上に渡り、スポーツ現場でトレーナーとして活動。資格と現場経験を活かした運動のコツを提案している。All about「運動と健康」ガイド。オフィシャルウェブサイトhttp://enterprize-n.com/

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著者プロフィール

「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」を企業理念に、コーポレートブランドの『デサント』をはじめ、『マンシングウェア』、『ルコックスポルティフ』、『アリーナ』、『アンブロ』、『マーモット』等、幅広いフィールドで展開するスポーツメーカーです。ランニング、サイクリング、サッカー、ゴルフなど、スポーツを通じてアクティブになるための情報を紹介します。 

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