楽しみ方は無限大! 野球を愛してやまない野球女子の一年間に迫る!

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 福岡ソフトバンクが見事日本シリーズ3連覇を達成し、2019シーズンを終えたプロ野球。試合日程が全て終了し、寂しい季節に突入かと思いきや、まだまだ楽しいイベントが盛りだくさんです。

 2014年に「カープ女子」が流行語にノミネートされたことで、「野球女子」が注目されるようになり、現在では各球団で女性ファンをターゲットとしたイベントも数多く開催されています。パ・リーグでも「オリ姫」や「タカガール」などさまざまな呼称があります。しかし、単に「野球女子」と言っても、そのスタイルは多種多様。今回は3人の「野球女子」に注目し、彼女たちの1年間をまとめてみました。

カメラ女子

 観戦時は必ず一眼レフカメラを携え、ファインダー越しに選手に熱い眼差しを向ける楽天ファンのK子。最大の敵は各球場の太い金網です。選手の写真を撮りすぎて、選手のお尻を見るだけで誰のお尻かわかるという、どこで役に立つのか全くわからない特技を持っています。試合を決定づける場面で必死にシャッター切りますが、あまりの興奮状態でピントが合わないことが悩み。重いカメラを支える腕は、日に日に逞しくなっていきます…… (個人差あり)

☆年間スケジュール☆

【2月】
球春到来、春季キャンプがスタート!
キャンプはいつもより近い距離で練習を見学できる場合が多いので、連写するシャッター音が選手に聞こえてしまうのではないかとヒヤヒヤ。たまに自分が撮られていることに気づくと、ポーズを決めてくれるサービス精神旺盛な選手もいます。

【4〜6月】
お休みの日はカメラを持って球場に足を運びます。
より良い写真を撮るために奮発して高い席を購入することもしばしば。
良い写真が撮れそうな瞬間に限って人が横切ります……。

【7月】
前半戦どれだけお金を使ったのか計算して肩を落とし、後半戦はなるべく控えると決心します。
オールスター仕様の選手のカラフルなスパイクやグラブに心ときめき、気づけば選手よりもグラブなどの道具にフォーカスした写真が多くなることも。

【9月】
レギュラーシーズンが終了。
後半戦はなるべく控えると決めましたが、結局散財。とても落ち込みますが、ひと晩寝るとすぐに立ち直ります。

【10月】
朝、顔を洗うより先に戦力外・FA情報などをチェックします。楽天に動きがあれば、自分が撮った写真を、熱い思いとともにInstagramに投稿することも。
頑張って早起きをし、秋季練習に向かいます。秋季練習は普段の試合と比較すると、和気あいあいとした雰囲気で行われているので、選手の新たな一面をカメラに収めることができて満足。

【11月】
ファン感謝祭では選手のオフショットをとにかくたくさん撮ります。
楽天では恒例になりつつある選手の女装コンテストで、選手が自分よりもかわいく変身していることにちょっとだけ悲しくなります。
シーズン通して頑張ってくれたカメラのメンテナンスも怠りません。

【12月】
試合がないので、寂しい季節ですが、これまで撮りためてきた写真を見て来季へのモチベーションを上げていきます。
250mmのレンズを愛用していましたが、ずっと欲しかった300mmのレンズをついに購入!

<カメラ女子あるある>
・観戦日前日は食事より睡眠より何よりカメラの充電が最優先!しかし、充電したは良いものの、そのままバッテリーだけ家に忘れてしまうことも……。
・同じ球場で同じ選手ばかり撮っているため、同じような写真がどんどん貯まっていきます。
・あまりにも連写が多すぎて、削除することすら面倒になり、パソコンの容量がすぐに埋まってしまいます。
・良い写真が撮れても、自分の腕ではなく、被写体を褒めちぎります。
・練習風景を撮りたいので開場と同時に球場に入るのは当たり前。

二軍専門女子

 一軍には全く興味を持たず、自宅から近いタマスタ筑後にひたすら通うH子。ひいき球団は特になく、推しが全国各地に点在しますが、今は特に板東湧梧投手と田宮裕涼選手を推しています。しかし、H子は二軍ならではの距離の近さが好きなので、一軍に昇格したら、それ以上は一切追わず、また違う二軍の選手を追います。ファームで朝から晩まで汗を流す選手に刺激を受け、毎日頑張ります。推しに渡す差し入れのことで日々頭がいっぱいです。あわよくば自分のことを覚えてもらえたらいいな、なんて思ったり…… 。

☆年間スケジュール☆

【2月】
球春到来、春季二軍キャンプがスタート!
推しが九州・沖縄・四国に集結します。

【3月】
春季教育リーグがスタートするのでできる限り二軍球場に通います。
推しに差し入れを受け取ってもらえたら、その日1日はハッピーです

【4月】
二軍球場に持っていく応援グッズの作成に取りかかります。
一瞬でも推しの視界に入りたい、ただそれだけ!

【7月】
年に一度の二軍の祭典・フレッシュオールスターが開催。
今まで近くで見てきた推したちが一気に注目されるので、遠い存在になった気がして……。
選手の顔はもちろん身長、体重などまでほぼ暗記しているので、観戦時に選手名鑑は不要です。

【9月】
レギュラーシーズン終了。
シーズンが終わり、ひと段落かと思いきや、秋季キャンプやウィンターリーグ、みやざきフェニックスリーグなどさまざまなイベントがあるため、二軍専門女子の活動はよりいっそう活発になっていきます……。

【10月】
新人選手の多くは1年目はファームで経験を積むので、ドラフト会議での指名選手を隅から隅までチェック。
オフシーズンは選手のSNSの更新が活発になるので、しっかり通知ON! 意外な友好関係が知ることができ、脳内相関図が捗ります。
宮崎ではフェニックスリーグが開催。約3週間で約140試合が行われるので、二軍専門女子は宮崎県内を走り回ります。

【11月】
アジアウインターリーグに参加する推しの勇姿を近くで見るために、コンビニに行くくらいのノリと勢いで週末に弾丸で台湾に飛びます。
そして、SNSで推しのスーツ姿と納会での浴衣姿に萌えます

【12月】
ディナーショーやチャリティーオークションなどでは推しの私物を涼しげな顔で高額落札。

【1月】
インスタライブの開始通知とともに、ハートを連打!

<二軍専門女子あるある>
・選手のSNSに投稿されたオフショットは即スクリーンショットで保存。
・口癖は「推しは推せる時に推せ、いつか見られなくなるから」
・早朝から二軍球場に通いすぎて、知らぬ間に練習メニューを覚えてしまいます。そこで覚えた体幹トレーニングを家で実践したがります。できません。
・自分と同じようにファームに通い詰める人と、いつのまにか顔見知りになっていることも。

オカン系女子

 プロ野球の原石にあたるアマチュア野球が大好きで、ボランティアとして、中学野球チーム(シニアリーグ)の事務局・広報を務めるS子。オカンのような目線で未来のプロ野球選手たちを温かく見守ります。主に、週末の練習や試合の様子をSNSにアップしたり、総会や卒団式などの司会進行や、組み合わせ抽選に参加したりしています。選手宣誓のくじを引き当てたこともあるそう。成長期真っただなかの無限の可能性にいつも魅了されています。

 特徴としては、「二軍専門女子」もこの「オカン系」予備軍ではありますが、より「アマチュアの中からプロの原石を見つけたい!」「(プロ注目選手まで)育てたい、見守りたい」という気持ちが強い女子です。

☆年間スケジュール☆

【2月】
バレンタインデーには子どもたちにお菓子をプレゼント!
職場の社員さんに試作品を食べてもらい、好評だったものを渡します。

【3月】
春季大会スタート!
1日に様々な球場で何試合も行われるため、電車やバス、タクシーを乗り継いで球場のはしごをします。
タクシーの運転手さんすら知らないマイナーな球場で試合が行われることもしばしば……。
でもS子のモットーは「野球のためならどこまでも」、少々遠くても足を運びます。

【5月】
1年生大会では未来のプロ野球人生のスタートを見てしみじみ。
結果に一喜一憂しがちですが、「2年後に見てろよ」と密かに闘志を燃やします。

【7月】
卒団生の高校野球の応援にも足を運びます。中学時代はあまり伸びなくても、真面目に健気に取り組んだ子が高校で才能を開花させた姿を見ることも、楽しみのひとつです。

【8月】
夏大会では、2年間見てきた子どもたちの集大成を母親気分で見守ります。

【9月】
秋季大会スタート!
春季大会と同様、球場のはしごをします。
プロ野球ファンと同じように、S子にも「推し」の選手が存在します。「この子は将来のギータだ!」と推しについて熱心に語ります。

【12月】
3年生の卒団式が行われるので、これまで撮りためてきた写真をまとめて、3年間の思い出ムービーを作成します。
S子が作成したムービーは保護者の方々の涙腺を崩壊させます……。
自分のもとから旅立ってしまうことが非常に寂しいです。

【1月】
合宿では秘蔵写真を見て歓喜。
そして、小学6年生に向けた体験会が行われます。
長年、中学野球を見てきたS子は体験会に参加した子をひと目見るだけで「この子はピッチャー顔だ!」、「この子はキャッチャーの体格だ!」など、大興奮!

<オカン系女子あるある>
・お母さんと勘違いされがち。「お子さんは……?」とよく聞かれます。
・才能を感じていた子が甲子園に出場すると感動の涙が止まりません。
・高校からは寮生活を送る子も多く、親子が身近に関わる最後の野球ということから、今だからこその親子の絆が垣間見られる、という貴重な体験はプライスレス。
・「あの子は怪我していないだろうか」「あの子は調子を落としていないか」…… 常に親目線で見てしまいます。
・中学野球オタクはなかなかいないので、珍しがられます。

 ここまで紹介してきたように、オフシーズンに突入しても野球女子はせわしなく活動し続けています。むしろオフシーズンの方が忙しいと言っても過言ではないかもしれません。きっと彼女たちとの共通点を見つけた人もいることでしょう。また、自分とは全く違った視点から野球を見ている彼女たちに驚いた人もいることでしょう。ここでは紹介しきれないくらい、野球の楽しみ方は人それぞれですが、どんなスタイルであろうと、その熱い思いは選手の心に届いているに違いありません。これからもそれぞれの楽しみ方で選手に声援を届け、活躍を温かく見守っていきましょう!

文・後藤万結子
イラスト・出内テツオ
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著者プロフィール

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