ファンが選ぶ! 松坂大輔の名勝負ランキング

記事

 スポーツナビでユーザー投票を実施した「思い出に残る松坂大輔の名勝負」。約4000票以上の中から1位に輝いた、ファンが選ぶ平成の怪物の名勝負は? 
※1人3票まで投票可能
※ランキング上位とライター大利実氏による総評コラムはスポーツナビアプリでご覧いただけます

ランキング

順位 日付 名場面 得票率
1 98/8/20 夏の甲子園準々決勝・横浜vs.PL学園 延長17回、250球を1人で投げ切る完投勝利 40.74%
2 99/5/1 西武vs.オリックス イチローとの初対戦で3奪三振。「自信が確信に変わった」 34.82%
3 98/8/22 夏の甲子園決勝・横浜vs.京都成章 春夏連覇をノーヒットノーランで達成 32.93%
4 99/4/7 日本ハムvs.西武 衝撃のプロデビュー戦。片岡「155km」三振にどよめき 24.96%
5 98/8/21 夏の甲子園準決勝・明徳義塾vs.横浜 救援登板で試合が一変。サヨナラ勝ちを呼び込む 16.82%
6 05/7/15 ソフトバンクvs.西武 松中にサヨナラ弾含む3本塁打浴びる 8.23%
7 06/10/7 PO第1S第1戦・西武vs.ソフトバンク 斉藤和巳とのエース対決制し1-0で完封勝利 7.38%
8 18/4/30 中日vs.DeNA 6回3安打1失点で日本球界復帰4年目にして初勝利 7.01%
9 18/9/13 阪神vs.中日 38歳誕生日に最後の白星。去りゆく同期に決意示す 6.61%
10 06/3/20 第1回WBC決勝・キューバvs.日本 4回1失点と好投、大会MVPに輝く 6.35%
11 02/10/26 日本S第1戦・巨人vs.西武 清原に看板直撃の特大アーチを浴び敗戦 5.02%
12 01/9/24 近鉄vs.西武 ローズに55号、164球目を中村に逆転サヨナラ弾を浴び完投負け 4.84%
13 09/3/22 第2回WBC準決勝・米国vs.日本 4回2/3を2失点で勝利。2大会連続MVPに 3.73%
14 09/3/15 第2回WBC第2R・日本vs.キューバ 6回無失点の好投で今大会2勝目 2.08%
15 98/4/7 センバツ準決勝・横浜vs.PL学園 2失点完投勝利を挙げる 1.98%
16 04/9/24 近鉄vs.西武 消滅する近鉄の本拠地最終戦に志願登板。中村に全球直球勝負 1.84%
17 07/4/11 Rソックスvs.マリナーズ イチローとメジャー初対決で4打数無安打に封じる 1.75%
18 06/6/9 阪神vs.西武 甲子園でプロ初本塁打&完投勝利 1.49%
19 99/4/26 西武vs.ロッテ 黒木との再戦を制してプロ初完封。「リベンジ」達成 1.39%
20 98/8/16 夏の甲子園2回戦・横浜vs.鹿児島実業 打っては杉内俊哉からHR、投げては完封で圧勝 1.34%

全ランキングを見るならスポーツナビアプリ(無料)

QRコード
対応OS
iOS 14.0以上
Android 7.0以上
  • アプリケーションはiPhoneとiPod touch、またはAndroidでご利用いただけます。
  • Apple、Appleのロゴ、App Store、iPodのロゴ、iTunesは、米国および他国のApple Inc.の登録商標です。
  • iPhone、iPod touchはApple Inc.の商標です。
  • iPhone商標は、アイホン株式会社のライセンスに基づき使用されています。
  • Android、Androidロゴ、Google Play、Google Playロゴは、Google Inc.の商標または登録商標です。

解説

プレーオフで斉藤和巳と投げ合い、球史に残るエース対決を完封勝利で制した松坂は、レッドソックスへ移籍した 【写真は共同】

10位 06年3月20日/第1回WBC決勝「キューバvs.日本」:6.35%

 決勝の大一番、王貞治監督が先発マウンドに送ったのは、ここまで2勝(9イニングで自責1)を挙げている松坂だった。
「世界一をかけた戦いは初めて。そのプレッシャーを思い切り感じながら投げたい」
五輪では決勝を前に2度敗れ、悔しい思いをしていた。

初回、味方が4点を先制したあとの立ち上がり。先頭のエドゥアルド・パレに高めに浮いたスライダーをレフトスタンドに放り込まれたが、ここからエンジンがかかったように腕を振った。150キロを超えるストレートを軸に、右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップを効果的に配し、4回4安打5三振1失点。5回以降は継投でしのぎ、3勝目を手にした松坂がMVPに輝いた。

 日本時間午前11時に始まった決勝は、43.4%の高視聴率を記録し、今もWBCの最高視聴率として残る。「敵だった松坂には興味がなかったけれど、味方になると頼もしいと感じた」(20代男性)という声も。松坂の投じる1球に、日本中がくぎ付けとなった。

9位 18年9月13日「阪神vs.中日」:6.61%

 1980年9月13日生まれの松坂。プロ入り後のバースデー登板はこの前までで3度あり、05年に楽天を7回無失点、06年には日本ハムを完封し、3戦2勝と相性の良さを見せていた。

 中日移籍1年目の18年9月13日。先発の舞台は高校時代の想い出が詰まった甲子園球場だった。走者を背負いながらも、2回2死二、三塁では梅野隆太郎を144キロのストレートで見逃し三振、5回のピンチでは大山悠輔をスライダーで空振り三振に仕留め、5回1失点でマウンドを下りた。味方の援護もあり、6対2で快勝し、日米通算170勝目を記録。「平成の怪物」が平成最後の誕生日に挙げた白星でもあった。
 ヒーローインタビューでは、同世代の仲間に熱い思いを寄せた。

「同世代の村田、後藤、杉内が引退を発表して、彼らの分の気持ちも込めてというか、ぼくはもう少し頑張るよという決意表明のような日にしたいなと思っていました」
 世代のトップランナーとして、走り続ける決意を示した。

8位 18年4月30日「中日vs.DeNA」:7.01%

 15年からソフトバンクに入団し、NPB復帰を果たした松坂。だが、右肩の痛みなどもあり、3年間で1試合しか一軍公式戦のマウンドを踏むことができなかった。
 18年、西武時代から信頼の厚い森繁和監督率いる中日に移籍すると、コンディションも徐々に回復し、開幕ローテ入り。迎えた復帰3戦目、DeNAを6回3安打1失点に抑え、日本で12年ぶりの勝利を挙げた。8四死球と制球に苦しむも、カットボールやツーシームを駆使し、熟練の投球術でピンチをしのいだ。

 笑顔で臨んだお立ち台で、松坂は言った。

「最高です。物に対しての執着心があまりないんですけれど、今日のウイニングボールは本当に特別なものになりました」

 アンケートには、「試合を見ていて涙が止まらなかった。とても感動した。あとにも先にも、(泣いたのは)あの試合だけ」(40代男性)という感想も。怪物が苦しんだ末につかんだ1勝に、多くのファンの心が揺さぶられた。

7位 06年10月7日/PO第1S第1戦「西武vs.ソフトバンク」:7.38%

 06年、プレーオフ第1ステージの第1戦で、球史に残るエース対決が実現した。この年の斉藤和巳は18勝5敗、防御率1.75、勝率.783、奪三振205と、投手四冠に輝く圧倒的な力を発揮。意地と意地がぶつかりあう緊迫の投手戦となった。
 松坂は毎回のように走者を背負いながらも、2回には無死一、二塁から得意のバント処理で三塁を封殺。7回には2アウトから満塁のピンチを作るも、大村直之を一塁ゴロに打ち取り、ゼロを並べた。

 打線が応えたのが7回裏だ。和田一浩がレフトに適時打を放ち、待望の先取点。ギアを入れた松坂は、8回表にホルベルト・カブレラ、松中信彦、フリオ・ズレータを三者連続三振。9回表には本多雄一からこの日13個目の三振を奪い、圧巻の完封勝利を収めた。
「メジャー前のラスト登板。実際に見に行って泣きました」(30代男性)

 西武は第2戦、第3戦を落とし、第1ステージ敗退。松坂にとって、西武での最後の勝ち星となった。

6位 05年7月15日「ソフトバンクvs.西武」:8.23%

 数々の投げ合いを演じたのが斉藤和巳であれば、投手対打者として名勝負を繰り広げたのが松中信彦だ。前年(04年)には平成初の三冠王を獲得し、日本球界最高のバッターとして君臨していた。

 ファンの記憶に強く残るのが、05年7月15日、松中の1試合3本塁打である。松坂視点で言えば、同じ打者に1試合で3発打たれたのは最初で最後。第1打席、初球甘めのストレートを左中間に放り込まれると、第2打席は150キロの内角ストレートをライト上段に運ばれる逆転2ラン。そして、第4打席ではチェンジアップを2球続けたあと、インコース低めのストレートをライトに完璧に運ばれ、サヨナラ弾を浴びた。

「松中との意地の張り合いにプロの神髄を見た」(50代男性)
 打たれても、打たれても、ストレート勝負を挑んだ松坂。プライドをかけた珠玉の名勝負だった。

5位 98年8月21日/夏の甲子園準決勝「横浜vs.明徳義塾」:16.82%

 前日のPL学園戦で250球を投じた松坂はレフトで出場。2年生投手陣が明徳義塾打線につかまり、8回表まで0対6の劣勢も、8回裏に4点を返して2点差。三塁ベンチ前でキャッチボールをしていた松坂は、味方の攻撃中に右腕に巻いていたテーピングをビリビリと剥がし、9回の投球に備えた。マウンドに上がるときには大歓声が松坂の背中を押し、三者凡退に。9回裏、甲子園に「逆転サヨナラムード」が漂う中、横浜はわずか3球で無死満塁の好機を作り、後藤武敏の同点適時打、柴武志のセカンド後方に落ちるヒットで、奇跡的なサヨナラ勝ちを収めた。

「小説で書いたら『うそだろ』って一蹴されるようなドラマ、それがこの試合。テーピング剥がしたシーンは鳥肌もん!」(50代男)
 松坂はのちに、テレビカメラに撮られているのを計算したうえで、テーピングを剥がしたことを告白。肝っ玉が据わった役者である。

4位 99年4月7日「西武vs.日本ハム」:24.96%

松坂のプロデビュー戦。片岡篤史はインハイに来た155キロのストレートをフルスイングして三振。「平成の怪物」を象徴する、いつまでも語り継がれる名シーンとなった【写真は共同】

「松坂のデビュー戦」と聞くだけで、「東京ドーム」「片岡」「空振り」「155キロ」という言葉がポンポン出てくるファンが多いはずだ。
 プロ初登板は開幕4戦目の東京ドーム。本拠地・西武ドームを避けたのは、「傾斜がきつい東京ドームのマウンドのほうが大輔に合っているのでは?」という200勝投手の東尾修監督の判断である。

 1回裏、井出竜也を148キロのインズバで見逃し三振、小笠原道大を投手ゴロに打ち取ったあと、迎えるは片岡篤史。カウント1-1からスライダーで追い込むと、勝負球に選んだのはインハイのストレートだった。高めに浮き上がるような155キロのストレートに、フルスイングで挑んだ片岡のバットは空を切り、バランスを崩してよろめいた。

 松坂の引退表明に際して、片岡はこんなコメントを残している。
「155キロの真っすぐを空振りしたけれど、その前のスライダーを見たときの方がビックリした」(2021年7月8日付スポーツニッポン)
 ストレートも変化球も一級品。永遠に語り継がれるデビュー戦となった。

3位 98年8月22日/夏の甲子園決勝「横浜vs.京都成章」:32.93%

 こんな漫画のようなストーリーがあっていいのだろうか。準々決勝のPL学園戦からドラマチックな展開が続き、最後に待っていたのはノーヒットノーランでの春夏連覇。春夏合わせて、11試合中10試合で完投し、そのうち完封が6つ。決勝の京都成章戦、最後に投じたスライダーが春夏1400球目だった。
 松坂の快投は、見ていた人の生き方に大きな影響を与えた。

「当時中3で野球部に所属していましたが、自信がなく、高校で野球を続けるのか悩んでいました。その時に、松坂投手が優勝するまでの過程を見ていて、自分も人の心をひきつけられるような選手になりたいと、続けることにしました。松坂投手の高校時代の姿は憧れでしかないです」(30代男性)

「息子がおなかにいたときに毎日見ていました。 感動して、息子の名前を『大輔』にしようか悩みました。 他の名前にしましたが、息子の学年は『大輔』が多いです。 それからずっと横浜高校のファンで、息子も横浜高校へ。 野球部ではありませんが。今でも親子で、松坂君と横浜高校の大ファンです」(60代女性)

2位 99年5月16日「西武vs.オリックス」:34.82%

 94年から5年連続で首位打者を獲得していたイチローとの初対決が、99年5月16日、西武ドームで実現。ここまでの松坂は2勝2敗、防御率1.97と、高卒ルーキーとして十分すぎる成績を残していた。

 怪物と天才打者が初めて対峙(たいじ)したのが1回表、2死走者なしの場面だった。ストレートとスライダーのコンビネーションでカウント2-2に追い込むと、6球目、アウトハイに投じた147キロのストレートで空振り三振。どよめきと歓声と拍手が入り混じる中、松坂は軽く走りながら一塁ベンチに戻った。

 2打席目はスライダー中心に攻め、最後はアウトコースから曲がるスライダーで見逃し三振。今風に言えば「バックドア」だ。そして3打席目はストレートで押し、6球目のスライダーで空振り三振。松坂の完勝だった。
「自信が確信に変わりました」

 ヒーローインタビューで、見出しになりそうなせりふをサラッと口にした。こういう言葉を持っているのも松坂のすごさであろう。

1位 98年8月20日/夏の甲子園準々決勝「横浜vs.PL学園」:40.74%

 明徳義塾戦、155キロのデビュー戦、春夏連覇、イチローから3打席連続奪三振と来れば、もう残す名勝負はこれしかない。

98年8月20日、夏の甲子園準々決勝、横浜対PL学園。まだ空席が残るスタンドで8時半に始まった試合が、終わりを告げたのは12時7分だった。松坂が4回までに4点を失う予想外の展開も、味方が追いつき延長へ。11回表、16回表に横浜が勝ち越すも、PL学園はすぐに追いつき、食らいつく。17回表、常盤良太に特大の2ランが飛び出し、三塁ベンチ前でキャッチボールをしていた松坂はこぼれ落ちそうになる涙を、袖口でスッと拭った。

「4歳の頃、母とテレビで見てくぎ付けになりました。この試合をきっかけに野球に興味を持ち松坂選手のファンになりました。 高校野球でこれを超える名勝負はいまだにありません」(20代男性)
 延長17回、250球。後に、「いまだにあれ以上に苦しい試合はない」と語るほどのしびれる戦いだった。

(文:大利実、企画構成:スリーライト)

関連リンク