プロ野球ファンが選ぶ! 心の中で熱唱したい選手応援歌ランキングTOP30

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 スポーツナビでユーザー投票を実施した「プロ野球ファンが選ぶ! 心の中で熱唱したい選手応援歌ランキングTOP30」。コロナ禍で応援歌を歌えなくなって早1年。ファンが今、歌いたいのはどの選手の応援歌か? 約1万8000票の中から1位に輝いたのは?
※ランキング上位と音楽評論家・スージー鈴木氏による寸評はスポーツナビアプリでご覧いただけます

ランキング

順位 選手名 所属 得票率
1 山田 哲人 ヤクルト 22.64%
2 荻野 貴司 ロッテ 14.54%
3 吉田 正尚 オリックス 14.41%
4 村上 宗隆 ヤクルト 12.23%
5 佐藤 輝明 阪神 7.66%
6 中村 奨吾 ロッテ 7.12%
7 T-岡田 オリックス 6.99%
8 坂本 勇人 巨人 6.64%
9 外崎 修汰 西武 6.53%
10 ビシエド 中日 6.47%
11 メヒア 西武 5.70%
12 原口 文仁 阪神 5.22%
13 糸原 健斗 阪神 4.95%
14 川端 慎吾 ヤクルト 4.66%
15 柳田 悠岐 ソフトバンク 4.51%
16 近本 光司 阪神 4.39%
17 岡本 和真 巨人 4.18%
18 青木 宣親 ヤクルト 4.14%
19 菊池 涼介 広島 3.89%
19 山川 穂高 西武 3.89%
21 大山 悠輔 阪神 3.80%
22 島内 宏明 楽天 3.72%
22 角中 勝也 ロッテ 3.72%
24 浅村 栄斗 楽天 3.65%
25 安達 了一 オリックス 3.41%
26 高橋  周平 中日 3.28%
27 亀井 義行 巨人 3.27%
28 田中 和基 楽天 3.22%
29 梅野 隆太郎 阪神 2.97%
30 根尾 昂 中日 2.96%

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解説

イントロでのフルネームのシャウトが印象的な山田哲人の応援歌。また球場で思い切り熱唱できる日々が戻ることを祈りたい。 【写真は共同】

 コロナ禍で球場から応援歌の生歌・生演奏が消えて久しい中、あえて行った「ファンが選ぶ! 今こそ心の中で熱唱したい選手別応援歌ランキング」の結果をお届けする。野球(千葉ロッテ)ファンの音楽評論家として、上位10人(曲)を少々専門的になるが音楽的に分析した上で、それぞれの応援歌がなぜ魅力的に聴こえるのかを考察する。

 原稿を書く上で、動画サイトに上げられた熱気溢れる応援風景動画を、何度も何度も見た。内野指定席派の私だが、それでも「あぁ、この外野席の風景の中に、1日も早く帰りたい」と思ってしまった。酒販が禁じられた球場で、ソフトドリンクを飲みながら録音された応援歌を聴くのは、何とも寒々しい。やはり、球場のビールと応援歌は「生」に限る。

10位:ビシエド(中日):6.47%

 このような応援歌企画の常連と言っていい、中日・ビシエドの応援歌。通常版とチャンス版の2曲があり、その相乗効果で人気が高まったと思われるのだが、おもしろいのは通常版がメジャー(長調)で、チャンス版がマイナー(短調)ということ。選手応援歌界の「マイナー原理主義」を改めて感じさせる結果だ。そう言えば、Jポップ界においても、米津玄師以降、一種の「マイナー・ブーム」が来ている。Jポップも、いよいよ選手応援歌界に追いついたということか。

9位:外崎 修汰(埼玉西武):6.53%

 10位のビシエドとは僅差の6.53%。一度聴いたら忘れられないメロディー。その理由は、繰り返される「♪ミ・ミファ・ミー・レド」(キー=C)という音列が、Perfume『ポリリズム』を想起させることも影響しているかも。しかし私が注目するのは「♪とのさきしゅうた~」の前の「ドン・ドン・ドン」「ドン・ドン・ドン」という(二拍)三連符のリズム。ランサム→メヒアと続く、「埼玉西武の外国人向け三連符応援歌」の系譜となる。ということは外崎も、外国人っぽく「アップルパンチ」という登録名にすればどうだろう。

8位:坂本 勇人(巨人):6.64%

 ここ数年、選手応援歌のトレンドは「イントロ(前奏)付き」。応援の一体感を高めるために、本編の前に、気持ちを奮い立たせるようなイントロを置くのが流行っているのだ。坂本の応援歌も、そのトレンドに乗ったもの。印象的なのは、「♪オオオ」「♪オオオ」と(こちらも)三連符が4回繰り返された後に出てくる「♪オー燃えろ」の個性的な音列だ。対して本編は普通の印象だが、「♪誰よりも強く勇ましく」と「勇人」に引っ掛けた「勇」の文字が入るあたり、ちょっと気が利いている。

7位:T-岡田(オリックス):6.99%

 何といっても印象的なのは、マイナーでコテコテのメロディーに乗せてシャウトされる「♪T! HOMERUN KING! T! T! T-rex!」。「T-岡田」という登録名には、いまだに馴染めないが(特に「T」と「岡田」の間のハイフン=「-」)、「T! T!」という、チョコレートプラネットのネタを先取ったようなシャウトを聴くと、「あ、この人は岡田貴弘ではなく、あくまでT・ハイフン・岡田なんだ」と割り切れる。なお、この応援歌のチャンス版に付く長いイントロのメロディーには、懐かしの近鉄本拠地=藤井寺球場のエキスが染み付いている感じがする。

6位:中村 奨吾(千葉ロッテ):7.12%

 いよいよ千葉ロッテの応援歌が登場。中村奨吾の応援歌は、もう歌い出しの「♪ミソ・ラー・ミソ・ラー・ミソ・ラド・シソ・ラー」(キーはDm)の音列に尽きる。一度聴いたら決して忘れられない。その理由は、日本人に最も愛されたハードロック=ディープ・パープル『スモーク・オン・ザ・ウォーター』のリフに似ているからではないか(ただし『スモーク~』は「♪ミソ・ラー~」ではなく「♪ラド・レー~」でキーもGm)。

5位:佐藤 輝明(阪神):7.66%

 驚くべきことに新人・佐藤輝明が5位に登場。コロナ禍で、応援歌の生歌・生演奏が禁じられる中でも、佐藤への注目度が支持を後押ししたのだろう。往年のフォークシンガー=杉田二郎にも似た、10年選手のような見てくれも関係しているのか、新人にもかかわらず、メロディーはかなりオールドファッション。キーはメジャーだが、パンチパーマ的な昭和プロ野球の臭みを感じるのは、私だけではないはずだ。なお歌い出し「♪突き進め~」を聴いて、私は、太田裕美『木綿のハンカチーフ』の「♪恋人よ~」を思い出した。

4位:村上 宗隆(東京ヤクルト):12.23%

 ここで得票率は10%以上に跳ね上がる。つまり投票者の10人に1人以上が投票したという計算になる。今回の10曲の中で、私が個人的に最も推すのが、このヤクルトの若き大砲の応援歌である。この曲も、昨今のトレンドに乗った「イントロ付き応援歌」。イントロ歌い出し「♪闘志あふれる一打」の音列が良い。特に「♪(あふ)れる一打」(♪シドシラソ)のところは、ヤクルトファンではない私ですら胸が高ぶる。またイントロと本編の歌い出しメロディーが同じというシンプルさも買う。

3位:吉田 正尚(オリックス):14.41%

 いよいよベスト3。通常版と「境地」版があり、通常版は「♪力を求める限り~」という、こちらも近鉄/藤井寺の臭み漂う短調メロディーが続くのだが、1番は歌詞付き、2番はトランペットだけがメロディーを担い、声は「オイ! オイ!」と掛け声だけになるのが、変化が利いていて良い。「境地」版(「境地」という歌詞からのネーミングか)は、「♪ラド・ミラ・ド(ここまで上昇、以下下降)ラ・ミド」(キーはCm)とオクターブ(8度)を超える10度のアルペジオを登って下る忙しいトランペットが、とても印象的だ。もしかしたら応援歌史上、トランペッターに最も負担の大きい作品もしれない。

2位:荻野 貴司(千葉ロッテ):14.54%

 2位に留まったが、個人的には1位に予想した千葉ロッテ・荻野の応援歌。福浦和也が引退した今、千葉ロッテの最高人気応援歌の座は、しばらくはこの曲が占め続けるだろう。音楽的には(あえてコードを付ければ)「B♭-C7-Am-Dm」という、YOASOBIも多用する、いかにもJポップなコード進行を使っていることと、中盤で短三度上に転調すること(F→A♭)。転調という技法も、最近のアイドルソングで多用されるもので、要するに、応援歌というよりも、Jポップのヒット曲のような作品だと言える。

1位:山田 哲人(ヤクルト):22.64%

「山田哲人の前奏を歌いたい!」(10代男性)

「ファンファーレから歌えるから」(50代男性)

「やまーだてつと!! やまーだてつと!! やまーだてつと!!」(50代男性)

 と、あのイントロ(ファンファーレ)についてのコメントが並んだ。「イントロ付き応援歌」の最高峰として、得票率は20%を超え、2位以下を大きく引き離す圧倒的な結果となった。トランペットのメロディーに乗せてフルネーム「♪やまーだてつと」を2回繰り返し、その後「♪夢へと続く道―」(♪ラシ・ドミ・ファミ・レド・ドー キー:B♭)という、異常に人懐っこいメロディーが続く。筒香嘉智の「日本最高峰のイントロ付き応援歌」のバトンをしっかりと引き継いだ作品にして、決定版と言えよう。

 というわけで、1位は山田哲人の応援歌となった。「やまーだてつと! やまーだてつと!」というイントロでのフルネーム連呼が人気のキーのようだ。入団時、大阪・履正社高校の先輩=T-岡田にならって、登録名を「T-山田」にするという怪しいウワサが広がったが、応援歌界的には、登録名が「山田(哲人)」のままで、本当に良かったと思う。やまーだてつと!

(文:スージー鈴木、企画構成:スリーライト)

筆者プロフィール:スージー鈴木

1966年大阪府生まれ。誕生日はパ・リーグと同じ11月26日。音楽評論家として、昭和歌謡から最新ヒット曲まで「プロ・リスナー」的に評論。bayfm『9の音粋』、BS12トゥエルビ『ザ・カセットテープ・ミュージック』に出演中。東洋経済オンライン『スージー鈴木の「月間エンタメ大賞」』など連載多数。プロ野球、なかでも千葉ロッテマリーンズの熱心なファンであり、日本で唯一(?)の野球音楽評論家として『週刊ベースボール』誌上で2001年から連載している野球音楽のコラムをまとめた『いとしのベースボール・ミュージック』(リットーミュージック)を19年に上梓。好きな選手は東北楽天の島内宏明で、好きな選手応援歌は90年代のベイスターズ・鈴木尚典

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