2023年セパ交流戦・戦力ランキング

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 いよいよ2023年のセ・パ交流戦が開幕する。開幕から約2カ月、リーグ戦を戦ってきたセ・パ12球団の戦力を数値化。「打力」(30点満点)、「機動力」(10点満点)、「投手力」(30点満点)、「守備力」(10点満点)、「選手層」(10点満点)、「経験」(10点満点)、の6項目に分けて評価した。大切な交流戦を戦い抜く「戦力」が整っている球団は、果たしてどこだ!?
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解説

攻守に粘り強く“万全の状態”の岡田阪神が総合1位

破竹の8連勝、5月勝率.818で交流戦を迎える阪神。岡田彰布新監督のもと、攻守に隙のないチームが出来上がっている【写真は共同】

 ここまでシーズンの約3分の1を消化した中、戦力値で総合1位になったのは「84」の阪神だ。2位に「2差」をつけてのトップとなった。

 戦前から評価が高かった投手陣は、青柳晃洋が不振で2軍に降格し、西勇輝も調子が上がらないが、大卒3年目の村上頌樹(4勝1敗、防御率1.47)、現役ドラフトで加入した大竹耕太郎(6勝0敗、防御率0.40)、高卒7年目の才木浩人(3勝3敗、防御率2.11)、社会人出身3年目の伊藤将司(2勝0敗、防御率1.77)が好投を続け、リーグトップのチーム防御率2.64を誇る。野手陣では、近本光司、中野拓夢、木浪聖也が打率3割以上をキープし、ノイジー、大山悠輔、佐藤輝明のクリーンアップも5月に入って調子を上げて穴のない打線が完成。チームは破竹の8連勝で交流戦を迎える。

 勝率.818(18勝4敗)の5月の戦いを、岡田彰布監督は「できすぎ」と評したが、積年の課題だった守備力が改善傾向で機動力は健在。勢いだけではない強さがある。攻守ともに粘り強い戦いがチーム全体に根付き、そう簡単には負けない集団が出来上がりつつある。交流戦は2021年(11勝7敗)、22年(12勝6敗)ともに12球団中2位の好成績を収めており、メンタル的にも優位に立った万全の状態で“打倒パ・リーグ”に挑む。

オ、ロ、ソのパ・リーグの3球団が追う

復帰戦でも好投した佐々木朗希(ロッテ)。セ・リーグ球団相手にどのようなピッチングを披露するのだろうか【写真は共同】

 総合2位には、戦力値「82」で昨季の日本一球団のオリックスがランクインした。自慢の投手陣は、今季も強力そのもの。2年連続沢村賞の山本由伸を筆頭に、宮城大弥、山岡泰輔、田嶋大樹、山﨑福也と揃い、高卒3年目の山下舜平大が6試合で4勝0敗、防御率0.98と圧巻のパフォーマンスを継続中。救援陣も、宇田川優希、山﨑颯一郎のWBC組を筆頭に人材が揃う。打線ではFA加入の森友哉、完全復活した杉本裕太郎を中心にここまでリーグトップのチーム打率.263をマークしており、吉田正尚が抜けた穴を最小限に留めている。守備力が高い一方で、機動力不足が阪神との差になったが。それでも戦力値はパ・リーグトップを誇っている。

 注目は、戦力値「78」で総合3位に入ったロッテだ。現状、リーグトップのチーム防御率2.68を誇るが、その数字に大きく関与しているのが、高卒4年目の佐々木朗希だ。ここまで6試合に先発して4勝0敗、防御率1.18。右手中指のマメの影響で登板回避が続いたが、中22日で登板した5月28日のソフトバンク戦で最速164キロを計測して6回2失点で勝ち投手になった。その“令和の怪物”を含め、小島和哉、西野勇士、種市篤暉、メルセデスの先発5本柱が非常に安定かつ充実しており、投手力はオリックスと並ぶ12球団トップの「29」となった。チーム打率.237、チーム本塁打数24の打力は「22」と低いものとなったが、5月はチーム打率.250と状態は上向いており、自慢の機動力の含めて多くの“伸びしろ”を残している。

 開幕前に総合1位だったソフトバンクは、戦力値「77」の4位となった。FA加入した近藤健介、戦列復帰からオープン戦絶好調だった栗原陵矢に対する期待が高かったが、現時点で近藤が打率.234で、栗原も打率.256と振るわず。柳田悠岐の奮闘ぶりは頼もしいが、チーム打率.240、チーム本塁打27ともに平凡だ。先発投手陣では、和田毅と藤井皓哉の2人が4勝&防御率2点台、救援陣では新加入のオスナ(17イニング連続)、高卒6年目の田浦文丸(14 1/3イニング連続)がともに開幕から無失点継続で防御率0.00のまま交流戦を迎えた。打線が繋がり、リードを奪って終盤に持ち込めば勝利は近いものになるが、予想よりも戦力値は上がってきていない。

課題を抱える巨、De、ヤのセ・リーグ3球団

昨季、交流戦完全優勝の中で自身も打率.351、6本塁打、13打点と爆発した村上宗隆(ヤクルト)。再び爆発できるか【写真は共同】

 総合5位には巨人とDeNAが戦力値「72」で並んだ。ともに打線は強力。巨人は12球団トップのチーム本塁打52を誇り、DeNAはリーグトップのチーム打率.263をマークしている。5月の成績を見ても、巨人は22試合でチーム打率.261、29本塁打、DeNAは21試合でチーム打率.276、26本塁打と調子を上げている。

 巨人では、5月に月間7本塁打を放っている岡本和真、どん底から復調して5月は月間打率.304の坂本勇人の2人の調子が上向きなのが嬉しい限り。そして今季ここまで打率.347、4本塁打、16打点と堂々の成績を残している秋広優人に期待が集まる。ただ、戦前から懸念されていた通り、投手陣が振るわず。WBCを経験した戸郷翔征と新外国人のグリフィン、高卒5年目の新鋭左腕・横川凱の3投手が防御率2点台をキープしているが、チーム防御率は12球団ワーストの4.01。守護神・大勢へと繋ぐ勝ちパターンも確立できていない点が大きな課題だ。

 同じくDeNAも、野手陣は打率.385の宮﨑敏郎を筆頭に、関根大気が打率.355、桑原将志が打率.323と絶好調だ。牧秀悟、佐野恵太の実績のある2人も交流戦で調子を上げてくるはずで、さらにソト、オースティンの外国人も控える打線は非常に強力であり、打力は12球団トップの「28」の評価を得た。しかし、投手陣が不安定。エース・今永昇太が2勝1敗、防御率3.48と今一つで、鳴り物入りで加入したバウアーも打ち込まれるシーンが目立っている。盗塁数(8個)は12球団唯一のひとケタで機動力は見込めない。投打が噛み合えば大型連勝も可能だが、その逆もあり得るのが、現チームの悩みどころだ。

 そして昨季のセ・リーグ王者のヤクルトが、戦力値「71」で総合7位となった。リーグ5位のチーム防御率3.82は辛うじて想定内だが、リーグワーストのチーム打率.229が想定外。塩見泰隆の出遅れが響き、昨季三冠王の村上宗隆が打率.217、9本塁打、27打点という成績に甘んじている。さらに気がかりなのが5月の勝率.286(6勝15敗1分け)という調子の悪さ。泥沼の10連敗で交流戦を迎えることになり、戦力値以上に苦しいチーム状態だと言える。交流戦で心機一転の戦いを演じたいところだが、果たしてどうなるか。

下位評価から台風の目となる球団は現れるか

今季の交流戦では、新庄監督率いる日本ハムの戦いぶりにも注目と期待が集まる【写真は共同】

 総合力8位以下には、戦力値「69」で広島と西武、戦力値「68」で楽天、日本ハムが並び、最下位評価は中日となった。
 
 セ・リーグで現在3位に付ける広島は、投手陣で床田寛樹(4勝0敗、防御率1.75)と九里亜蓮(3勝2敗、防御率2.13)が好投を続け、大瀬良大地(2勝3敗、防御率2.86)、森下暢仁(1勝1敗、防御率1.63)の能力も高い。打線では秋山翔吾が打率.361と絶好調で、坂倉将吾も調子を上げてきた。左肘炎症で抹消中の床田の状態が気がかりな中、昨季も5勝13敗と大きく負け越した“鬼門”の交流戦をいかに乗り切れるか、新井貴浩監督の手腕に期待だ。

 西武は明らかな“投高打低”のチーム状況になっている。エースの髙橋光成(4勝2敗、防御率1.69)と先発転向の平良海馬(4勝1敗、防御率2.30)の2人が好調で、何よりもリーグトップの救援防御率2.60を誇るリリーフ陣も強力。投手力は「26」の高評価を得た。機動力も強みになっているが、打線が迫力不足で、打順に関しても試行錯誤を続けている。5月に入って勝率.286(6勝15敗1分け)はヤクルト同様に深刻。39歳の中村剛也が今季通算では打率.308、8本塁打、16打点の成績を残しているが、5月以降はわずか1本塁打と低迷。27日には右斜腹筋の損傷で抹消されており、ベテランの不在は非常に気がかりだ。

 楽天は現在、パ・リーグの最下位に沈んでいる。こちらも打線が課題で、主軸の浅村栄斗が打率.215、島内宏明が打率.187と低迷しており、チーム打率.209は12球団ワーストとなっている。投手陣は実績のあるベテラン陣に加えて、早川隆久(2勝3敗、防御率1.59)の奮闘が光り、西武以上に機動力をフル稼働させているが、いかんせん得点が取れない。調子を上げてきたフランコに加えて、1、2番が出塁率を上げたい。

 注目は日本ハムだ。開幕前から戦力値で他球団から大きく差を付けられていたが、ここまで21勝27敗のパ・リーグ4位。まだ借金生活ではあるが、5月は12勝11敗と勝ち越している。何より健闘しているのが投手陣で、チーム防御率2.95はリーグ2位の優れた数字だ。野手陣では日替わり打線が続いているが、その中で新人の矢澤宏太、加藤豪将が出番を得ており、楽しみなチームになってきた。就任2年目の新庄剛志監督のもと、交流戦で台風の目になる可能性を秘めている。

 立浪和義監督2年目の中日は、戦力値「63」と伸び悩んだ。いずれも防御率2点台の柳裕也、小笠原慎之介、髙橋宏斗が揃い、防御率0.00の守護神・マルティネスを擁する投手力は「26」の高評価となったが、リーグ5位のチーム打率.239、12球団ワーストのチーム本塁打18の打線は「19」の低評価。そして、46試合で10盗塁の機動力、12球団最多の35失策の守備力でも数値を伸ばせなかった。ただ、現役ドラフトで加入した細川成也、長期離脱から復帰した石川昂弥など、楽しみな選手も多い。投手陣を軸に、この下馬評を覆す戦いに期待したい。(成績はすべて5月28日終了時点)