井上尚弥vs.ポール・バトラー
12/13 19:45
11回KO勝利で井上尚弥がアジア人初の4団体統一王者に!
総括
(C) PXB WORLD SPIRITS / フェニックスバトル・パートナーズ
ボクシングWBAスーパー、IBF、WBC世界バンタム級王者・井上尚弥とWBO世界同級王者ポール・バトラー(イギリス)による統一戦が13日、東京・有明アリーナで開催された。
試合は初回から井上がプレッシャーを掛けKOを狙うが、バトラーは警戒してガードを固くしあまり手を出さない。
井上は手を後ろで組む、顔を突き出すなどしてバトラーを誘うが切り崩すに至らない。しかし判定決着も見えてきた11R、井上は連打から左ボディを効かせ、これで動きの落ちたバトラーに再度左ボディを打ち込んで倒し、終盤でKOして4団体王座統一を成し遂げた。
これで史上9人目、アジア人で初の4団体統一王者となった井上は試合後、「スーパー・バンタム級への転向を考えています」と表明。2023年はさらなる夢へ向かうことを宣言した。(文:長谷川亮)
試合詳細
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リングインタビュー
「みなさん、ありがとうございました! 4団体統一王者になりました! この4年間遠回りをしたような気もしますけど、バンタム級最終章、バンタム級のベルトも楽ではない中、4団体統一という目標に向かって突き進むことができました。今はスーパー・バンタム級への転向を考えています。
バンタム級には思い残すことなく、史上9人目ということが表す通り厳しかったですが、スーパー・フライ級時代から目標として掲げやってきましたけど、団体の垣根もあり遠回りしましたけど、今日12月13日、最高の日になりました。ありがとうございました!
日本で4団体統一が成立したのもバトラー陣営のおかげなので感謝したいと思います。ありがとうございます(バトラーと握手)。
戦前から長引くだろうと予想していたので、ファンのみなさんにはより多くのラウンドを見せることができて、長くボクシングができたので満足しています。本当にありがとうございました。
スーパー・バンタム級には強豪がひしめいているので、2人が2団体統一をしている状況で、なかなか挑戦の機会がないかもしれませんが、階級を上げて、そこのトップ戦線に入っていきたいなと2023年はそんな思いでいっぱいです。みなさん、今日はありがとうございました!」(C) PXB WORLD SPIRITS / フェニックスバトル・パートナーズ -
11R
11Rも井上は圧力と動きを落とさない。再びの尚弥コールに井上はワンツーからの左ボディ。続けて井上はひと際大きな音を立てて再び連打からの左ボディ。耐えたかに見えたバトラーだが、やや時間があって効いてきたか動きが鈍り、井上は連打をまとめてダウンさせる。苦悶のバトラーは立ち上がれず、井上が4団体統一を成し遂げた。
11R、バトラーからダウンを奪い試合を決めた井上尚弥(写真は共同) -
10R
場内の尚弥コールを受け、井上はボディストレート、ワンツーからの左ボディフック。だがバトラーはロープ・コーナーに詰められても足を止めずに回り、窮地を脱する。井上はワンツー、右ボディフックと打ち分けるが、足を止めないバトラーに強打を打ち込めない。井上は上体のガードが固いと見てか右・左とボディフックを攻めていく。
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9R
井上は動きを落とさずバトラーを追い、スピードあるワンツー、右ストレート。バトラーはコーナーを背負わされると横にステップして圧力をかわす。ジャブを丁寧に突く井上は、バトラーがワンツーフックと放ってくるとしかしグローブでブロック。合間にガードを下げてバトラーのパンチを誘い、軽い被弾はあっても圧力を掛け続けてこのラウンドを終える。
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8R
ジャブ・フックとパンチを出してくるバトラーに、井上はワンツースリーフォーと連打をリターン。右ストレート、左フックと強打する井上だが、バトラーはここもブロックする。井上は相打ち覚悟で右フックを振るい、さらに右ストレートに力を込める。だがブロック偏重のバトラーを崩せない。井上は両手を後ろに組んで打たせようとするが、バトラーは警戒して乗ってこない。バトラーがフックの連打を見せると、井上はその合間に左フックを振るうがクリーンヒットならず。
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7R
井上はノーガードで向かってバトラーにジャブを打たせる。井上はそれに合わせて懐に入りボディストレート、フックを放つ。バトラーも左フック。ラウンド後半、再び手数の落ちてきたバトラーに井上は両手を広げ、あるいは顔を突き出して呼び込むが、いざバトラーがリターンしてきても井上はかわして空を切らす。
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6R
井上は右足を前にしてサウスポーに変わり、ガードを下げてバトラーを誘う。井上はオーソドックスに戻してやはり手を下げる。井上のジャブにバトラーは左フックを返してヒットするが、これは当たりが浅い。依然としてガードを上げて回るバトラーに対し、井上はガードをこじ開けんと顔・ボディとパンチを散らす。さらにガードを下げてパンチを誘う井上だがバトラーは手を出してこない。
6R、攻め立てる井上尚弥(写真は共同) -
5R
井上はやはり中央を取りジャブを放っていく。ストレート・左フックを返すバトラーだが井上に見切られ当てられない。井上はジャブでバトラーのガードを崩しに行き、そこから右ストレート。しかしディフェンス優先のバトラーを崩せない。だが終盤井上はバトラーをロープに詰めてボディフック、アッパーと迫る。だが、バトラーはやはり的確にブロックする。
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4R
井上は軽やかな足取りからジャブを刺し、そこからボディストレート、ボディフック。手を出してこないバトラーに井上はジャブの手数を増やす。井上は右ショートストレートから左アッパー。バトラーをコーナーに詰めると左右の強打をまとめる。これをブロックしたバトラーもフック・ストレートと打ち返すが、井上はブロックする。
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3R
3Rも井上は前に出てバトラーをロープ・コーナーに詰める。そして右ストレート、左ボディフック、右フックと猛攻。しかしバトラーはしっかり守って致命傷を負わない。井上は間合いを狭めてバトラーを追う。井上は右ストレートから左ボディフックを強打。さらに右ストレートを強振してバトラーにガードを固めさせる。右ストレートを返すバトラーだが、井上はクリーンヒットさせない。
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2R
井上はリング中央を取り右ボディストレート。バトラーは警戒してガードを固くする。井上は圧力を弱めず、右ストレートから左ボディフックを連係。井上は左フックから左ボディフックとボディへのパンチに繋げる。だがバトラーも左フックを返してヒット。井上のジャブにバトラーもジャブ、左フックとリターンするが、井上は目先でかわす。井上は右フックの強打から左ボディフックを打ちつけ2Rを終える。
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1R
両者中央で対峙し、バトラーが上体をグルッ、グルッとスピーディーに回す。井上は左フック、ジャブを放って様子見した後、右・左のフック、ボディストレートと繰り出す。井上はジャブをさらに刺し、右フック、右ストレートと攻めていく。ジャブ、左ボディフックと打ちつけ、バトラーにロープを背負わせる井上。さらにワンツーも叩きつけるがバトラーはガードしてブロックする。
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リングイン
先に入場はWBO王者のバトラー。花道に現れると場内を見渡し、右拳を連続して突き上げ、入場曲を口ずさみながらリングへ向かう。
対して井上は軽く何度かジャンプした後で右拳を高く掲げて花道に入る。そしてやはり軽くジャンプしながら花見を進む。そしてリングに入ると井上は再び右拳を天に向かって突き上げる。
両国国歌吹奏の間、バトラーは少し歩いてジャンプを見せるが、井上は動かず集中を図る。
リングアナのコールが進む中、井上は体を動かしグローブで顔を軽く叩き、名前が呼ばれるとファンの歓声に右拳を挙げ応える。バトラーも集中した表情で、自身に送られた拍手に拳を挙げて応える。(C) PXB WORLD SPIRITS / フェニックスバトル・パートナーズ -
試合前
セミファイナルでは平岡アンディが快勝。メインイベントの井上尚弥vs.ポール・バトラーがまもなくゴング!
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前日計量
試合前日の12月12日、両者の公開計量が行われた。バトラーが53.50キロで一発でクリアしたのに対し、井上は1回目で53.55キロと約30グラムオーバー(バンタム級規定は53.52キロ)で再計量となった。
井上はキャリア初の体重超過ということもあり、予期せぬ事態に一時は会場がざわついたものの、約5分後に再計量に臨み53.45キロでパスした。2人は計量後のフェースオフで約10秒間にらみ合うなどし、最後はグータッチで別れた。
また、試合にはWBOから特別に「統一ベルト」が懸けられることも発表された。注目の1戦が目の前に迫ってきた。