ゆっくりと山の時間を楽しむための山小屋とは? 四角友里が勧める、魅力たっぷりの“山小屋泊”という選択肢!

デサント

山小屋では「なにもない」状況を楽しむことも

【写真提供:デサント】

 四角さんご自身は、いつも山小屋に着いたらすぐにリラックスできる態勢を整えるのだそうです。

「まずは疲れをとるためにストレッチをして、体をひやさないよう温かいウェアを着ます。そしてごはんをたくさん食べて、たくさん寝る(笑)。その合間に空を見たり、山小屋の本棚をチェックしたり、同じ空間にいる人との会話を楽しむんです。こういう機会じゃないと味わえない時間の過ごし方をしてもらいたいですね。
 なかには温泉がある山小屋もあるので、まずはそういった山小屋に行ってみるのもいいと思います。だけど、シャンプーやドライヤーが使えるとは限りません。
 そもそも、わたしたちが自然の中や山の中にお邪魔させてもらっているのだということを忘れてはいけないと思っていて。そういった謙虚さを持っていれば、山に対してのイメージも『なにもないところ』から『ぜいたくな場所』に変わると思うんです」

 いろいろなモノが溢れすぎている現代において、「“当たり前”なものは、なにひとつない」こと、「なにもしない」ことを楽しめるのが山小屋の魅力だとも。

「たとえば、いつもは時間に追われて生活し、『そろそろ寝なきゃ』となるところを、山にいると太陽が沈んで空の色が変わって夜になったことを体感し、自分の体内リズムを元に戻してくれるんです。電気がないから星の光がキレイに見える、水道水がなくても湧き水がある。インターネットはなくて、その代わりあたたかい山小屋の人やほかの登山者との会話を楽しめる。山小屋の方と話をしていると、いま自分の登ってきた登山道がその方たちのおかげで整備されていることがよくわかるし、もし万が一なにかあったとき一番に助けに来てくれるのは山小屋の方だったりします。きっと自然の中に行こうと思うときって、少なからず『人と(世の中と)離れたい』という気持ちがあると思うんです。だけど、あたたかい山小屋に着くとやっぱりほっとしますし、人はひとりでは生きていけない、ってことを実感する瞬間でもあります。山のなかには、自然の美しさと、人のぬくもりの両方があり、大きな自然のなかに存在する、大切なものに気付かされるんです。あれこれと考えるよりも、まずは一歩踏み出して素直に楽しんでみたらいいと思いますよ」

今回のまとめ

 四角さんのお話を聞いていると、人のために自然があるのではなく、人は自然のなかに存在しているということにあらためて気付かされます。

 今までは少しとっつきにくい印象だった山小屋ですが、初心者向けに設備が整った場所もあるとのことですので、この機会に一度訪れてみてはいかがでしょうか。

プロフィール 四角友里(よすみゆり)

アウトドアスタイル・クリエイター。「大好きな自然と、自分らしいスタイルで繋がりたい」というメッセージを掲げ、執筆、トークイベント、アウトドアウェアのプロデュースなどの表現活動を続ける。 山スカートの第一人者、着物着付け師の顔も持つ。著書に、ライフスタイルエッセイ『デイリーアウトドア』、自身の試行錯誤から学んだ 山のノウハウが満載の『一歩ずつの山歩き入門』がある。

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著者プロフィール

「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」を企業理念に、コーポレートブランドの『デサント』をはじめ、『マンシングウェア』、『ルコックスポルティフ』、『アリーナ』、『アンブロ』、『マーモット』等、幅広いフィールドで展開するスポーツメーカーです。ランニング、サイクリング、サッカー、ゴルフなど、スポーツを通じてアクティブになるための情報を紹介します。 

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