最後のチャレンジは「カポエイラ」 「松原渓のスポーツ百景」
裸足で床をつかむ感覚が気持ち良い
左:基本ステップの「ジンガ」は完璧にしたい/中:「メイア ルーア ジ フレンチ」技の名前もカッコイイ/右:決まればカッコいい「ケイシャーダ」を特訓 【松原渓】
【難易度★】
・「ジンガ」
ゆったりと大きい動きで、視線は相手をまっすぐとらえる。このステップがカッコイイ!? 足で逆三角形を作り、リズムに合わせて足を入れ替える。後ろの脚は蹴りや避ける動きに備えて常に軽くし、手はアゴを守るようにガードする。このジンガを速めると、サンバのステップになるそう。身体を揺らしながらも、頭から指先まで身体のラインを真っすぐに保つと手足が長く見えて、さらにカッコイイ。
【難易度★★】
・「メイア ルーア ジ フレンチ」
前方(ジフレンチ)半月(メイアルーア)蹴り。カポエイラでは、「足の付け根は胸」という感覚で、胸から蹴りを繰り出すイメージで蹴ると大きな蹴りができるそう。頭の中にイメージは浮かぶのだけれど、鏡に移る私の足はイメージの半分も上がっていない(悲)。股関節をよくほぐしてから何回かトライすると、すこし様になった。
・「ケイシャーダ」
「アゴ攻撃」を意味する蹴り技。内側から外側へ、アゴを狙って半月を描く蹴り技。蹴る前にもう一方の足を近づけてステップを踏む。ジャンプしながら蹴るとかっこいい! ただ、この動きで太ももの裏をつるはめに(痛)。まだ始まって30分だというのに……。普段使わない筋肉が嬉しい悲鳴を上げる。
「避ける、身を交わす」という意味の避け技。ジンガのステップから、相手の蹴りを交わすために片足を曲げ、もう片足は伸ばして手は顔をガード。
・「ネガチーヴァ」
語源は「ネガティブ(拒否)」から。相手の攻撃を避けながら、片方の足で相手の足を引っかけるカウンターアタック。頭を床に水平に持って行き、両手を床につけながら蹴り脚を伸ばす複雑な姿勢。体操選手が腕のみで身体を旋回させる床の大技(下向き全転向)を彷彿とさせる。
・「ケーダ ジ ヒン」
基本動作の一つだけれど、難易度が高い。頭と両手を床につけて、両足を水平に上げる。ネガチーヴァをさらに難しくしたような形。何度もトライしてみたけれど、全然足が上がらない。これは腹筋と体幹を相当鍛えなければ難しそうだけれど……ゆったりした動作からピタッと決まるとものすごくカッコイイ。
楽しみながら肉体の潜在的な力を引き出す
わずか1時間で、十分にカポエイラという競技の特徴や奥深さを知ることができた。けれど、何よりこの競技の魅力を実感したのは翌日の朝のことだった。腿裏、腿の内側、脇腹、首・腕、背中……こんなに複数箇所の筋肉痛は体験したことがない(!)。体中の関節や筋肉が刺激を受けて、目覚めようとしているのが分かる。これは、続ければあっという間に体つきが変わりそうな予感。
全身を大きく使って表現することもあってか、カポエイラをやって身長が伸びた人も多いのだとか。実際に体験して感じたカポエイラの印象は、当初予想していたようなアクロバットなものや難しいものばかりではなかった。むしろ、楽しみながら肉体の潜在的な力を引き出してくれる、理想的なスポーツだと実感!
○得られる効果
・股関節や骨盤が柔らかくなる
・姿勢が良くなり、身長が伸びることもある
・体中の筋肉に満遍なくアプローチできる
・基礎体温アップなど体質改善
・用意する物はTシャツと短パンだけでOK(気軽に始められる)
今回を持って、「スポーツ百景」は連載を終える。冒頭で「自分で自分の限界を決めつけない」と書いたけれど、自分の中にまだ開いたことのない可能性の扉があると信じて、これからもさまざまなスポーツにチャレンジし続けていきたい。そのきっかけを与えてくれた『スポーツナビDo』編集部に感謝するとともに、最後まで読んでくださった皆さんにも心からのお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。