護身術から学ぶシンプルに生きる術
感じるために、心がフラットな状態をつくっておく
【STANDS!】
それってすごくもったいなくないですか(笑)? 「これやってみたい」、「ここに行ってみたい」という気持ちに対して、「危なそうだから」、「危険な場所だから」というのはもったいないと思います。海外に行く人が減っているのも、少なからずこういうマインドが関係しているんじゃないですかね?
僕は、そういう点に関してはフラットであるべきだと思っています。
【STANDS!】
はい。つまり、何でも受け入れられる状態とでもいいましょうか。新しく何かしようと思う時の基本体勢だと思うんですよ。気が張っている、つまりこの場合は恐れていると、結局何もできません。
自分は仕事柄、音楽業界の人と仕事をする機会が多いのですが、たまに“先生”と呼ばれるような偉い人にお会いすることもあります。そういう時、変に緊張したりビビっていると、逆に失礼なことをしてしまったりするじゃないですか(笑)。
逆にいつも通りだと失礼なことはありませんし、むしろ打ち解けられたりできる。つまり、自分の気が張っている状態だと相手も身構えてしまうし、自分らしさは出ないし。護身術もそうですが、常に受けではいかないんです。感じることが大事で。
――感じる、ですか?
護身術のイメージって、来たものに対してアクションするというイメージが強いと思いますけど、実は違います。相手より先に感じることが大切なんですよね。待ってて、何かされてからだと手遅れになる。
つまり、相手が何かしようと思っているのを感じることが大切なんです。掴まれそうだなと思ったら、それを察知して下がってしまえばいいわけだし。先に感じる、つまりそれって受けじゃないですよね?
護身術とは、護“心”術でもある
護身術もそうですが、仕事の場でのコミュニケーションにおいても同じだと思うのですが、状況把握から全てが始まりますよね。
ストレスにおいても同じことが言えて、今、どういうストレスが自分を苦しめているのか、影響を及ぼしているのかを知ることで、その対処を知ることが出来るかと。まず察知、そして理解。どう行動するかを考えるのは、そこからです。
何事もme first、まずは自分から。自分の状態をしっかり認識することで自分のことが見えてきます。その結果、心身両面で強くなれたとしたら自分のことを信じられる、つまり自信がつく。すると相手を思いやれるようになったり、相手を感じる力が強くなり、相手とのコミュニケーションもスムーズになりますね。
――では最後に…護身術とは、つまり何なのでしょうか?
不安や自分が思う不幸から身を護るためのものだと思います。いや、身ではなく、心ですね。護ることで、普段の生活がより楽しめるようになれますし、恐怖を断ち切って、新しいことを始める動機も生まれやすくなるのかなと思いますね。
■阿部大史 Motofumi Abe
Webデザイナーの仕事の傍ら、クラヴマガの持つ魅力にインストラクターになる決意をする。約9年間、クラヴマガ・ジャパンでインストラクターを務める。また、護身術Mastiff(マスティフ)を2013年より立ち上げ、「体を動かす楽しさ」をテーマに、護身術や各種運動メソッドを取り入れた護身術のトレーニングを行っている。 http://mastiff.jp/