プロ野球12球団合同トライアウト

12月8日

取材協力:室井昌也

2021/12/8 10:30

トライアウト終了、オリ荒西、元楽天中村らがアピール成功

総括

トライアウトに参加した西武・多和田。育成契約だった今季は公式戦登板はなかったが、全盛期を彷彿とさせるボールを投げ込んでいた【写真は共同】

 プロ野球の12球団合同トライアウトが8日、メットライフドームで行われ2022年シーズンにNPB球団でプレーを目指す33選手が参加した。トライアウトは例年の1ボール1ストライクからではなく、0ボール0ストライクからのシート打撃形式で行われ、22人の投手が打者3人ずつと対戦した。

 投手で目立ったのは、オリックスを戦力外になった選手たち。中でもサイド右腕の荒西祐大は3者連続三振、肌寒いコンディションの中球速も145キロ前後をコンスタントに計測した。同じオリックス勢では金田和之、神戸文也がともに被安打なし、145キロ前後のストレートと切れ味鋭い変化球で打者を打ち取るなど、視察に訪れた各球団関係者へアピールした。

 打者で目立ったのは20年オフに楽天を戦力外になり、今季はBC福井でプレーをした中村和希。第1打席で広島・中村恭平からセンター前安打を放つと、第3打席、第5打席でもヒット。凡退した打席でも外野へ痛烈な打球を放つなど、実力を示した。高卒3年目で巨人の育成契約打診を断り、このトライアウトに参加した山下航汰は5打席目まで快音が聞かれなかったが、最後の6打席目で西武・小川龍也から三遊間を破る安打を放ち、一矢を報いた。

 実績豊富なメンバーの中では2018年パ・リーグ最多勝に輝いた多和田真三郎がトライアウトに参加。今季は1軍、2軍通じて公式戦登板がなかった右腕だが、低い位置からリリースする独特のフォームは健在で、145キロ前後の直球と変化球を駆使して1四球、打者2人を打ち取る投球を見せた。

 来季生き残りをかけた運命のトライアウトを終えた選手たち。彼らに吉報は届くのだろうか?

ウォーミングアップ

  • 各選手がグラウンドへ、新庄監督も登場

    天気は雨。球場周辺の気温は8.9度。各選手がグラウンドに姿を出してノックを受け、ブルペンでは序盤に登場する投手たちが投球練習を行う。
    日本ハム・新庄剛志監督、白のロングのダウンジャケット、白のハイネックセーター姿でバックネット裏の関係者席に登場。他の球団関係者が黒またはグレーのコートの中、ひときわ目立つ。

    一塁側ブルペンで畝章真、中村恭平の広島勢が投球練習を開始。野手陣は一塁側ベンチ前で素振り。

シート打撃午前の部

  • 畝章真(広島)がマウンドへ

    捕手の参加者はおらず、今季限りで引退した西武の駒月仁人が捕手を務める。
    トライアウトはシート打撃形式で、今年は0アウト0ボール0ストライクから実施される。

    荒木郁也(阪神):1球目から変化球ストライク、一塁側ファウル、変化球低めボール、外大きく外れてボール、変化球カットして三塁側ファウル、6球目を打ってセカンドゴロアウト。ベース寄りのゴロをBC栃木の二塁手が好守。

    松尾大河(元DeNA):初球から内角ストライク、2球目三遊間を破るヒット。今季は琉球ブルーオーシャンズでプレーした松尾がアピール。

    片山博視(元楽天):変化球ファウル、外角ボール、ストライク。ここで松尾が二盗成功。変化球ファウル、高めボール、6球目をセカンドベース後ろのショートフライ。今季はBC武蔵でプレーし、好成績を残した片山の第1打席は凡退。

  • 中村恭平(広島)がマウンドへ

    武田健吾(中日):初球・高めボール、2球目・バックネット裏ファウル、3球目・高め直球に空振り、4球目・変化球打ち上げて捕手へフライに倒れる。

    中村和希(元楽天):初球・ワンバウンドボール、2球目・バックネット裏ファウル、3球目・内角変化球ボール、4球目・外の変化球に合わせてセンター前ヒット。今季はBC福井でプレーした中村が結果を残す。

    ルシアノ・フェルナンド(元楽天):初球・外角低めワンバウンドボール、2球目を打ち上げてライトへの浅いフライ。今季はBC武蔵でプレーしたフェルナンド、第1打席は凡退。

  • 石井将希(阪神)がマウンドへ

    片山博視(元楽天):初球・外角ボール、2球目・ワンバウンドボール、3球目・外角低めをショート正面のゴロ、アウト。

    山下航汰(巨人):初球・大きなカーブでストライク、2球目・三塁側へのファウル、3球目・外角低めボール、4球目・外角低め変化球ボール、5球目・セカンドゴロでアウト。

    松尾大河(元DeNA):初球・110キロのカーブ空振り、2球目・内角低めストライク、3球目・143キロ直球ファウルチップ、捕手のミットに収まり空振り三振。

  • 高野圭佑(元阪神)がマウンドへ

    今季は台湾・中信兄弟でプレー、上下黄色のユニホームでマウンドへ。

    中村和希(元楽天):初球・141キロ直球をいい当たりのライト正面のライナー、アウト。

    フェルナンド(元楽天):初球・カーブがすっぽ抜けてボール、2球目・ボール、3球目・高め差し込まれてライトフライ、アウト。

    武田健吾(中日):初球・変化球空振り、2球目・外低めの変化球空振り、3球目・外角145キロの直球を一塁横の鋭いゴロでライト前ヒット。

  • 金田和之(オリックス)がマウンドへ

    ホームユニホームの選手が多い中、上着紺のビジターユニで登場。

    荒木郁也(阪神):初球・ストライク、2球目・三塁側にファウル、3球目・変化球低めボール、4球目・外角ボール、5球目・変化球サードファウルフライ、アウト。

    藤谷洸介(阪神):初球・外角144キロボール、2球目・外角変化球ボール、3球目・145キロストライク、4球目・146キロ外少し外れてボール、5球目・146キロバックネット裏ファウル、6球目・変化球バックネット裏ファウル、7球目・外角変化球に空振り三振。

    今井順之助(日本ハム):初球・変化球ボール、2球目・144キロ高めバットが止まってボール、3球目・146キロ空振り。4球目・145キロストライク、5球目・144キロ高めバックネットへファウル、6球目・内角変化球ボール、7球目・内角146キロ少し外れてボール、四球。

  • 神戸文也(オリックス)がマウンドへ

    金田とは違いホームユニフォーム姿でマウンドへ。

    山下航汰(巨人):初球・内角低め146キロボール、2球目・高めの146キロを打ち上げて浅めのセンターフライに倒れる。

    高橋大樹(広島):初球・148キロ一塁側へファウル、2球目・内角落ちる変化球に空振り、3球目・内角低め変化球ボール、4球目・146キロをピッチャーゴロ。

    佐藤優悟(オリックス):初球・内角胸元146キロボール、2球目・145キロ一塁線ファウル、3球目・147キロ内角高めボール、4球目・136キロ変化球にバットが折れてショートゴロに倒れる。

  • 荒西祐大(オリックス)がマウンドへ

    藤谷洸介(阪神):初球・内角三塁側へファウル、2球目・外角変化球ファウル、3球目・内角低めの変化球に空振り三振。

    今井順之助(日本ハム):初球・145キロボール、2球目・外角144キロ空振り、3球目・変化球バックネットへファウル、4球目・低め変化球にバットが止まってボール、5球目・143キロ空振り三振。

    荒木郁也(阪神):初球・144キロ三塁側ファウル、2球目・変化球外角ボール、3球目・変化球三塁側ファウル、4球目・外に逃げる変化球で空振り三振。

  • 吉田一将(オリックス)がマウンドへ

    高橋大樹(広島):初球・バットを折りながらのサードライナー、アウト。

    佐藤優悟(オリックス):初球・142キロ直球空振り、2球目・外角直球ボール、3球目・外角低め変化球にバットが止まってボール、4球目・高め直球ボール、5球目・直球一塁側ファウル、6球目・外角低め変化球ボール、四球。

    山下航汰(巨人):初球・高め142キロ直球センターへのフライ。

  • 三ツ間卓也(中日)がマウンドへ

    今井順之助(日本ハム):初球・外角変化球ストライク、2球目・外角144キロボール、3球目・外への変化球を空振り、4球目・低め変化球空振り三振。

    松尾大河(元DeNA):初球・内角低めボール、2球目・内角低め変化球ボール、3球目・内角低め変化球ボール、4球目・直球ストライク、5球目・内角近めボール、四球。

    片山博視(元楽天):初球・内角低め変化球空振り。2球目・外角141キロボール、3球目・低め142キロ三塁側へゴロのファウル、4球目・高めボール。ここで松尾二盗成功。5球目・外角変化球ボール、6球目・低めファウルチップ、7球目・内角低め直球ボール、四球。松尾は今日2盗塁で俊足をアピール。

  • 村田透(日本ハム)がマウンドへ

    フェルナンド(元楽天):初球・外角142キロボール、2球目・内角ボール、3球目・内角ストライク、4球目・内角三塁線へゴロのファウル、5球目・119キロの変化球で見逃し三振。

    武田健吾(中日):初球・119キロ変化球ストライク、2球目・141キロを詰まりながらレフト前に落とすヒット。

    中村和希(元楽天):初球・116キロ変化球ボール、2球目・外角ボール、3球目・強い打球をショート荒木郁也(阪神)がセカンドベース後ろでゴロを抑えるも内野安打。

  • 鈴木遼太郎(日本ハム)がマウンドへ

    松尾大河(元DeNA):初球・外角直球ストライク、2球目・143キロ高めボール、3球目・外角142キロ一塁寄りバックネットへファウル、4球目・変化球に空振り三振。審判にバットに当たったとアピールするも認められず。

    片山博視(元楽天):初球・143キロ三塁側へファウル、2球目・142キロ高めボール、3球目・143キロをとらえてピッチャーへのライナー。グラブをはじくも一塁に投げてアウト。

    藤谷洸介(阪神):初球・142キロ高めボール、2球目・142キロ止めたバットの先に当たってファウル、3球目・143キロ高めにバットが出て空振り、4球目・135キロ外への変化球に手が出て空振り三振。

  • 石崎剛(ロッテ)がマウンドへ

    武田健吾(中日):初球・141キロバックネット裏へファウル、2球目・141キロ一塁側へファウル、3球目・変化球低めにボール、4球目・外角143キロをセカンドゴロ、アウト

    中村和希(元楽天):初球・141キロボール、2球目・141キロボール、3球目・140キロ高めバックネットへファウル、4球目・143キロ内角三塁側へファウル、5球目・変化球を三塁側ベンチ上にファウル、6球目・内角143キロをカットして三塁側へファウル、7球目・内角低めの変化球を高く上がったライトフライ、アウト。

    フェルナンド(元楽天):初球・145キロ空振り、2球目・144キロ外いっぱいストライク、3球目・143キロバックネットへファウル、4球目・変化球低めボール、5球目・142キロ一塁側スタンドへファウル、6球目・外への変化球を三塁側へゴロのファウル、7球目・142キロ外角ボール、8球目・外角低め変化球ボール、9球目・変化球深く守ったショートへのゴロ。

  • 西武・山川の姿も

    山川穂高(西武)が私服姿で家族席に現れる。午後には西武勢が登場、多和田真三郎は沖縄・中部商高、富士大の2学年後輩にあたる。
    これで午前の部が終了、12時30分ごろから午後の部が行われる。

シート打撃午後の部

  • 永野将司(ロッテ)がマウンドへ

    佐藤優悟(オリックス):初球・144キロ空振り、2球目・145キロ低めボール、3球目・144キロ高め大きく外れるボール、4球目・145キロ高め空振り、5球目・145キロ外高めバックネットへファウル、6球目・124キロ変化球で見逃し三振。

    山下航汰(巨人):初球・109キロの変化球抜けてボール、2球目・144キロ三塁側へファウル、3球目・148キロバックネットへファウル、4球目・147キロ外角いっぱい見逃し三振。

    高橋大樹(広島):初球・ショート正面のゴロアウト。

  • 中尾輝(ヤクルト)がマウンドへ

    今井順之助(日本ハム):初球・144キロ外角いっぱいストライク、2球目・144キロ外角低めボール、3球目・147キロ外角高めボール、4球目・145キロ内角バックネットへファウル、5球目・変化球一塁側ベンチ前にファウル、6球目・変化球空振り三振。

    荒木郁也(阪神):初球・高め空振り、2球目・外角変化球ボール、3球目・高め147キロボール、4球目・145キロ外いっぱいストライク、5球目・変化球低めボール、6球目・147キロカットして三塁側へファウル、7球目・146キロ内角球がバットに当たってファウル、8球目・147キロ高め空振り三振。

    藤谷洸介(阪神):初球・146キロ内角低めボール、2球目・146キロ外高めに押されて浅いライトフライに倒れる。

  • 風張蓮(DeNA)がマウンドへ

    山下航汰(巨人):初球・143キロ一塁ゴロ、風張がベースカバーに入ってアウト。

    高橋大樹(広島):初球・深い当たりの三遊間へのショートゴロ、アウト。

    佐藤優悟(オリックス):初球・変化球ボール、2球目・141キロ高めボール、3球目・142キロ一塁側スタンドへのファウル、4球目・外いっぱい143キロストライク、5球目・外角変化球ボール、6球目・高め変化球外れてボール、四球。

  • 笠井崇正(DeNA)がマウンドへ

    荒木郁也(阪神):初球・144キロ高めボール、2球目・144キロ内角一塁側ネット際のファウル、3球目・内角低め変化球ボール、4球目・146キロファーストゴロ、笠井がベースカバーに入るも足が速く内野安打に。

    藤谷洸介(阪神):初球・ボール、2球目・144キロ外角低めボール、3球目・144キロ空振り、ここで荒木が二盗成功、4球目・144キロ打ち上げてショートフライ。

    今井順之助(日本ハム):初球・変化球空振り、2球目・144キロ見逃しストライク、3球目・低め変化球ボール、4球目・内角低め143キロボール投球の間に荒木は三塁へ、5球目・145キロカットして三塁側スタンドへファウル、6球目・変化球空振り三振。

  • 飯塚悟史(DeNA)がマウンドへ

    中村和希(元楽天):初球・高め144キロボール、2球目・144キロ外にはずれてボール、3球目・外角143キロにうまく合わせてレフト前にヒット。これで今日3安打の猛アピール。

    フェルナンド(元楽天):初球・変化球を一、二塁間に運ぶライト前ヒット。

    武田健吾(中日):初球・143キロ三塁側ベンチ前にファウル、2球目・外角低め変化球ボール、3球目・143キロ低め空振り、4球目・変化球で見逃し三振。

  • 古川侑利(巨人)がマウンドへ

    片山博視(元楽天):初球・146キロ外高め外れてボール、2球目・149キロバックネットへファウル、3球目・内角低めボール、4球目・147キロ高めをレフト前に鋭い打球のヒット。

    高橋大樹(広島):初球・外角高めの149キロを空振り、2球目・143キロをバックネット裏へファウル、3球目・三塁側へファウル、4球目・149キロ高めボール、5球目・外角の変化球にバットを出してファウル、6球目・148キロバックネット裏へファウル、7球目・高めの143キロを打つも浅いセカンドフライ。

    松尾大河(元DeNA):初球・148キロセンターフライに倒れる。

  • 榎田大樹(西武)がマウンドへ

    藤谷洸介(阪神):初球・変化球空振り、2球目・外角ボール、3球目・三塁ライン寄りのゴロ、BC栃木の三塁手が好捕しアウト。

    今井順之助(日本ハム):初球・外角ボール、2球目・三塁側スタンドへファウル、3球目・外角低め外れてボール、4球目・変化球を三塁側ブルペンにフライで入るファウル、5球目・外角ボール、6球目・ライトが少し後ろに下がってつかんだライトフライ。

    荒木郁也(阪神):初球・ストライク、2球目・外角球を左中間へライナーで運ぶ二塁打。

  • 小川龍也(西武)がマウンドへ

    小川は半袖でマウンドへ。

    高橋大樹(広島):初球・低めをうまく運ぶもレフトフェンス際へのフライに倒れる。

    佐藤優悟(オリックス):初球・内角ストライク、2球目・内角低め空振り、3球目・内角低めの変化球にバットが出て空振り三振。

    山下航汰(巨人):初球・外角低め変化球ボール、2球目・外角変化球ボール、3球目・外角球をバットの先で三遊間を破るヒット。山下は6打席目で初安打。

  • 多和田真三郎(西武)がマウンドへ

    今季は育成で背番号118の登録だったが、20年までつけていた18番のユニホームでマウンドへ

    松尾大河(元DeNA):初球・144キロ若干高め外れてボール、2球目・143キロ高めボール、3球目・145キロ内角高めボール、4球目・143キロ内角高めボールで四球。

    片山博視(元楽天):初球・変化球ストライク、2球目・一塁走者の松尾スタートを切るも、146キロ高めファール、3球目・132キロ変化球低めボール、4球目・145キロセカンドゴロ、二塁に転送し一塁走者がアウト。

    武田健吾(中日):初球・変化球外角高めボール、2球目・142キロバックネットへファウル、3球目・変化球高めボール、4球目・143キロレフトフライ。

  • 中塚駿太(西武)がマウンドへ

    中村和希(元楽天):初球・144キロ高く上がったキャッチャーフェアフライ、アウト。

    ルシアノ・フェルナンド(元楽天):初球・149キロ低めボール、2球目・低め空振り、3球目・146キロ外角ボール、4球目・ボテボテのサードゴロを今井が処理してアウト。

    佐藤優悟(オリックス):初球・148キロをセンターに弾き返すヒット。

参加選手

【ヤクルト】
投手:中尾輝

【阪神】
投手: 石井将希
内野手: 荒木郁也、藤谷洸介

【巨人】
投手:古川侑利
外野手:山下航汰


【広島】
投手:中村恭平、畝章真
外野手:高橋大樹

【中日】
投手: 三ツ間卓也
外野手:武田健吾

【DeNA】
投手:飯塚悟史、風張蓮、笠井崇正

【オリックス】
投手:吉田一将、荒西祐大、金田和之、神戸文也
外野手:佐藤優悟

【ロッテ】
投手:石崎剛、永野将司

【日本ハム】
投手:村田透、鈴木遼太郎
内野手:今井順之助

【西武】
投手:小川龍也、榎田大樹、中塚駿太、多和田真三郎

【今季NPB外】
投手:高野圭佑(元阪神)
内野手:松尾大河(元DeNA)、片山博視(元楽天)
外野手:中村和希、ルシアノ・フェルナンド(ともに元楽天)

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