稲穂の先に広がるみのり~たんぼラグビーがつなぐ未来~
泥の上で生まれた、世代も立場も超える交流
つくばみらい市 小田川市長も自ら田んぼに入り、「泥んこにダイブする機会はなかなかなく、非常に新鮮な体験でした。地元の皆さんとも良い交流ができたと思います」と振り返った。
開催の背景には、米作りを応援するつくばみらい市の思いと、農業に携わるクボタ、そして地域とラグビーを結びたいスピアーズとパートナー企業の思いがある。市長は「田んぼに触れ、お米がどのような場所で作られているのかを感じてもらうことが、農業への応援につながればと思います」と語った。前川泰慶GMも「田んぼを通して地域の方々と交流し、地域の盛り上がりやラグビー文化の醸成につなげていきたいです」と話す。初回は小さく始める想定だった取り組みは、いつしか大きな熱を帯び、参加の輪を広げていった。
合宿を終えたばかりの選手たちも10名が駆け付け、参加者と同じ田んぼを走った。会場にはスピアーズと共に、日頃からチームの活動を支えるパートナー企業の姿もあった。皆で泥にまみれながら、肩書も競技歴も関係なく楕円球を追い、イベントを盛り上げる。
転べば泥だらけになり、トライが決まれば全員で喜び、試合後は互いに健闘を称える。前川GMは、こうして直接試合をする機会はほとんどないからこそ「本当にありがたい機会」と表現した。普段から積み重ねてきた支え合いが、田んぼの上で新たなつながりとなり、勝敗を超えて田園の中へ自然と広がっていた。
「楕円球を楽しむ」ことから広がるラグビー
受け継がれた縁が、初代王者という実りに
その輪を笑顔で見つめていたのはラグビー部顧問の山崎先生だ。実は山崎先生はスピアーズアカデミー1期生だったという縁を持つ。アカデミー生だった中学時代には、自らチームに志願して(株)クボタで職場体験を行った。その際に職場体験を受け入れたのは、当時現役選手だった前川GM。時を経て高校教員となった山崎先生は、今度は教え子たちを連れ、縁のあるスピアーズのイベントへ戻ってきた。
「自分が何かしらラグビーに携わりたいと思っていた中で、教え子を連れてこのイベントに参加できたことを、とてもうれしく思います」と、喜ぶ選手を横目に充実の表情を浮かべる。山﨑先生自身、ラグビーを通じて築いた縦と横のつながりに、今も支えられているという。「生徒たちにも、この経験が将来何かの役に立ってほしいです」。
かつてアカデミーでまかれた種は、山﨑先生を通じて次の世代へ受け継がれ、この日、新たな「みのり」となって帰ってきた。
前川GMは「毎年9月になれば、収穫後の田んぼでラグビーが行われる。そんな地域の伝統行事にしていければ」と未来を描く。新米の実りを知らせる黄金色の稲穂。その先には、ラグビーと農業、そして地域の新しい未来が、まぶしく広がっているように見えた。
写真:チームフォトグラファー 福島宏治
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ