稲穂の先に広がるみのり~たんぼラグビーがつなぐ未来~

チーム・協会
金色の稲穂と、その上に広がる大きな空。普段は農業機械のエンジン音が響くであろう田園風景に、この日は弾けるような高らかな歓声が響いた。2026年9月27日、つくばみらい市市制20周年記念事業「第1回 たんぼラグビー in つくばみらい『みのり杯』」が開催された。行政、パートナー企業、地域住民、ファン、そしてクボタスピアーズ船橋・東京ベイの現役選手たち。異なる場所で活動してきた人たちが、収穫後の田んぼを舞台に一つになった。

たんぼラグビーでも俊足を活かした山田響選手。自身初のたんぼラグビーだったが持ち前のスピードを見せた 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

泥の上で生まれた、世代も立場も超える交流

当日は子どもから大人まで総勢300人を超える参加者が集まり、慣れない泥に足を取られながらも、パスをつなぎ、トライを目指した。プレーする人も、田んぼの外から声援を送る人も、泥しぶきが上がるたびに笑顔になる。
つくばみらい市 小田川市長も自ら田んぼに入り、「泥んこにダイブする機会はなかなかなく、非常に新鮮な体験でした。地元の皆さんとも良い交流ができたと思います」と振り返った。

開催の背景には、米作りを応援するつくばみらい市の思いと、農業に携わるクボタ、そして地域とラグビーを結びたいスピアーズとパートナー企業の思いがある。市長は「田んぼに触れ、お米がどのような場所で作られているのかを感じてもらうことが、農業への応援につながればと思います」と語った。前川泰慶GMも「田んぼを通して地域の方々と交流し、地域の盛り上がりやラグビー文化の醸成につなげていきたいです」と話す。初回は小さく始める想定だった取り組みは、いつしか大きな熱を帯び、参加の輪を広げていった。

合宿を終えたばかりの選手たちも10名が駆け付け、参加者と同じ田んぼを走った。会場にはスピアーズと共に、日頃からチームの活動を支えるパートナー企業の姿もあった。皆で泥にまみれながら、肩書も競技歴も関係なく楕円球を追い、イベントを盛り上げる。
転べば泥だらけになり、トライが決まれば全員で喜び、試合後は互いに健闘を称える。前川GMは、こうして直接試合をする機会はほとんどないからこそ「本当にありがたい機会」と表現した。普段から積み重ねてきた支え合いが、田んぼの上で新たなつながりとなり、勝敗を超えて田園の中へ自然と広がっていた。

市長自らたんぼラグビーをプレー。迫力のダイビングトライも見せた 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

参加者の子どもたちと共に走る前川GM。試合では現役時代を彷彿とさせるワークレートでボールを追った 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

「楕円球を楽しむ」ことから広がるラグビー

この日、最初のダイビングトライで全身泥まみれになったのが岸岡智樹選手だ。全国各地でラグビー教室を開き、競技の魅力を伝えてきた岸岡選手は、「ラグビーは15人制だけではありません。楕円球を楽しむという入り口から、幅広い世代にプレーする機会を届けられたと思います」と語る。子どもや女性、年配者など、普段はラグビーに触れる機会が少ない人も同じボールを追った。「お米、クボタ、ラグビーという組み合わせには意味があり、地方創生にもぴったりの取り組みだと感じました」。その言葉どおり、会場にはスポーツと農業が交わることで生まれた、新しい地域交流の形があった。

岸岡選手は現役選手で活躍する一方、自身でもラグビー教室を開催しラグビーの普及と育成に取り組んでいる 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

当日はクボタ製自動運転トラクタの実演を実施した。スピアーズの現役選手も10名参加し、昨シーズンの公式ジャージを着用してプレーした 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

受け継がれた縁が、初代王者という実りに

大会を制し、大人の部での初代王者となったのは水城高校ラグビー部だった。決勝トライが決まった瞬間、選手たちは田んぼの中で飛び上がり、まるで大舞台への切符をつかんだかのように喜びを爆発させた。
その輪を笑顔で見つめていたのはラグビー部顧問の山崎先生だ。実は山崎先生はスピアーズアカデミー1期生だったという縁を持つ。アカデミー生だった中学時代には、自らチームに志願して(株)クボタで職場体験を行った。その際に職場体験を受け入れたのは、当時現役選手だった前川GM。時を経て高校教員となった山崎先生は、今度は教え子たちを連れ、縁のあるスピアーズのイベントへ戻ってきた。
「自分が何かしらラグビーに携わりたいと思っていた中で、教え子を連れてこのイベントに参加できたことを、とてもうれしく思います」と、喜ぶ選手を横目に充実の表情を浮かべる。山﨑先生自身、ラグビーを通じて築いた縦と横のつながりに、今も支えられているという。「生徒たちにも、この経験が将来何かの役に立ってほしいです」。
かつてアカデミーでまかれた種は、山﨑先生を通じて次の世代へ受け継がれ、この日、新たな「みのり」となって帰ってきた。

仲間のプレーを応援する水城高校ラグビー部。同じ茨城県といえど、学校からつくばみらい市は近くはない。約1時間半をかけてこのイベントに駆けつけてくれた 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

一つの行動から生まれた縁は、すぐに結果が見えるものばかりではない。それでも誰かが種をまき、育て、次の誰かへつないでいくことで、やがて季節を越えて実を結ぶ。
前川GMは「毎年9月になれば、収穫後の田んぼでラグビーが行われる。そんな地域の伝統行事にしていければ」と未来を描く。新米の実りを知らせる黄金色の稲穂。その先には、ラグビーと農業、そして地域の新しい未来が、まぶしく広がっているように見えた。

【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

文:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ広報担当 岩爪航
写真:チームフォトグラファー 福島宏治
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著者プロフィール

クボタスピアーズ船橋・東京ベイは、日本ラグビーの最高峰 「ジャパンラグビーリーグワン」に所属するラグビーチームです。1978年創部し1990年にクボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市の(株)クボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備しました。「Proud Billboard」のビジョンの元、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っています。またSDGsの推進や普及・育成活動などといった社会貢献活動を積極的に推進しています。

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