ドラフト指名上位組が、期待通りに活躍する確率は?
指名直後の「有識者」による採点や、ファンの賞賛。「神ドラフト!」と、終わった瞬間は希望と喜びに満ち溢れていたとしても、指名された選手が活躍するかどうかは、シーズンが進まないと分からない。期待通りの結果を残せないのは決して珍しい事ではなく、むしろその確率の方が高いと言うのは経験則として、多くのファンの方も持っている事だろう。指名選手の選別はプロスカウトが何年もかけて吟味をした結果ではあるものの、その選手の活躍が確約されているものでは無いのだ。
ドラフトまで、あと1ヶ月強。日々を追うごとに有力選手の情報が駆け巡るようになり、「どの選手も、中日ドラゴンズに来て頂きたい!」と思う一方、心の隅で燻るのは「果たしてプロで大成するのか?」という疑念。今回は、ドラフト上位指名を受けた選手が活躍する確率は、どの程度なのか?また、どのようなカテゴリーの選手が活躍する可能性が高いのか?と言う点を、検証してみたいと思う。
1. 2014~2023年の上位指名選手を評価
「評価B=1軍常連」までを含めると、投手:35%・捕手:63%・内野手:46%・外野手:36%で、全体で38%まで上がる。ただ、ここまで含めても「さすがはドラフト上位指名組!」とは言い難い。やはり、ドラフトは難しい。極めて博打性の高いイベントという事を、改めて思い知らされる結果となった。
2. 投手
大学生は、投手の中で、と言うか全ドラフト上位指名の中で、最も指名人数の多いカテゴリーだ。評価Sは高校生よりも多い5名で、カブス・今永昇太、阪神・髙橋遥人、横浜DeNA・東克樹、日本ハム・伊藤大海、巨人・大勢。評価Aも中日・柳裕也や金丸夢斗、西武・隅田知一郎など。錚々たるメンバーだ。素材型である高校生に対し、ある程度即戦力として見られる大学生なので、期待通りの活躍が出来る選手が居て当然…という気もするが、評価A以上は高校生:21%に対して23%。評価Bを含めても高校生:31%に対して34%。飛び抜けて成功例が多いと言う訳ではない。さすがに評価Dの割合は高校生の半分以下となっているが、その分「評価C=1軍~2軍当落線上」の割合は4倍弱。「高校生よりも、ある程度の戦力となる確度は高い」というのは大きな違いだが、「レギュラークラスまで届く確率は変わらない」とも言える。
社会人になると、この10年では評価Sがゼロ。中日ドラゴンズの守護神・岩瀬仁紀氏のように、評価Sの選手が出る確率が無いとは言えないが、やはり突き抜ける程の成長を期待するのであれば、大学生までと言うのが妥当な見方か。評価Sが少ない代わりに評価Bが高校生・大学生より高い事は、ある程度能力を見極めやすいカテゴリーと言う点が、作用していると思われる。
大学生は、今年もドラフト上位指名の候補者が多い。青山学院大・鈴木泰成、関西大・米澤友翔、立命館大・有馬伽久、近畿大・宮原蓮など。ただ2023年の「東都7人衆」のように、やはりこれらの選手の中でも、活躍できる選手は一握りとなるはずだ。
3. 捕手
高校生の上位指名は、この10年で僅か4名。経験が必要なポジションだからだろうか。評価Sを獲得したのは、捕手評価と言って良いかは微妙だが、ホワイトソックス・村上宗隆。評価Bは横浜DeNA・松尾汐恩。評価Cのロッテ・松川虎生、広島・中村奨成もまだ今後の巻き返しは期待できる立場で、少人数ながらなかなか粒揃いのメンバーだ。大学生・社会人の評価Aはロッテ・佐藤都志也、阪神・坂本誠志郎、ソフトバンク・海野隆司、巨人・岸田行倫。もちろんチーム事情によるものの、失敗例の少なさは、「逸材が居る場合は、獲得すれば期待値は最も大きい」と言える。今年で言えば、もちろん青山学院大・渡部海。是非、狙って頂きたい。
4. 内野手
高校生の指名が最も多いポジションは、内野手のみ。コンバートの融通さ、また上位指名に選ばれる程の資質を持った選手は、特に高校だと守備難易度の高い内野に回す事が多い、という事が影響しているのだろうか。評価Sは居ないものの、評価A=27%はなかなかの高確率と言える。オリックスの太田椋と紅林弘太郎、広島・小園海斗など。ただ今年に関して言うと、ドラフト上位に入りそうな高校生内野手は、現状では見当たらないと言うのが正直なところ。
大学生は評価A以上が37%。こちらも高い部類だ。評価Sは阪神の佐藤輝明・大山悠輔と、横浜DeNA・牧秀悟。評価Aはオリックス・頓宮裕真や巨人・吉川尚輝。中日・村松開人も今年の活躍を加味して評価A。評価C以下の割合も39%と、比較的成功の確率が高いカテゴリーと言えるだろう。今年で言うと、亜細亜大・山里宝や明治大・岡田啓吾がギリギリ届くかという所か。
社会人は、指名された人数も4名と少ないものの、評価B以上がゼロと厳しい結果に。横浜DeNA・宮崎敏郎のように成功例が無い訳ではないが、期待値で見ると難しいカテゴリーと言える。
5. 外野手
外野手の中で、半数以上の割合を占める大学生。評価Sはレッドソックス・吉田正尚と阪神・森下翔太。評価Aは楽天・辰己亮介、ソフトバンク・正木智也、ロッテ・西川史礁。ただ成功例の割合で見ると、大学生投手と大きくは変わらない。今年の候補は明治大・榊原七斗や大阪商業大・春山陽登。どちらかが評価Aを勝ち取れば上々だ。
社会人は、こちらも4名と人数は少ないが評価Dはゼロ。評価Sは阪神・近本光司。内野手とは真逆の結果になったという点は理解が難しいが、「他で潰しが利く」という逃げ道のない外野手で、更に社会人となると、その分スカウト側も余程の確証を持って上位指名に踏み切るという事なのだろうか。それなら高校生や大学生も同様の結果になって欲しかったが...。今年は、東京ガス・藤澤涼介や王子・柴崎聖人が上位指名される可能性も。過去の実績を見ると、両者ともに1軍定着の実績を残しても不思議ではない。
6. まとめ
評価A以上の可能性が高く、今年も有力候補が居るカテゴリーは大学生捕手。先回の記事で、自分は青山学院大・渡部海を中日のドラフト1位入札に推奨したが、ここでも自分の考えを後押しする材料が出てきたと捉えたい。「有力候補が居る」「チーム事情に合う」という観点から、成功確率の高い大学生捕手を避ける必要がどこにあるのか。重複のリスクはあっても、ここは渡部特攻だ。
↓先回の記事
2026ドラフト考察#2|十兵衛(https://note.com/honest_lilac6674/n/nfe5ca332c7ae?external_type=sports_navi&external_position=related_link&rt=external)
逆に、投手指名はやはりギャンブルだ。チームとして枚数が必要なポジションなだけに、「成功例も多いが、想定通りに行かない場合も多い」となる点は致し方ないが、60%以上が成功とはならない実績を鑑みると、余程編成に窮している状況でなく、他に有力候補が居るなら、そちらを優先すべきと考えてしまう。特に、「目玉クラス」と呼べるような逸材でないのであれば。織田翔希や鈴木泰成は、どうなのだろうか。
以上、今回は過去10年の指名結果検証を行った。色々と述べたが、期待値が決して高くないという事が分かっていても、やはり自分の望む選手が獲得できれば、希望に胸を膨らませてしまうのもドラフトの醍醐味だ。今回の検証結果を現実と受け止めつつも、中日球団と自身の希望が合致するか否かで一喜一憂する日々を、もう少し楽しみたいと思う。
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