智辯学園-奈良大附属の死闘を見て、9回制にこだわっていいのか分からなくなった。夏の高校野球を続けるために必要なこと
【これはnoteに投稿されたmitarashiさんによる記事です。】
7月20日に行われた奈良大会3回戦、智辯学園-奈良大附属。
今春のセンバツ準優勝校・智辯学園が初回に4点を先制したものの、奈良大附属が追いつき、最後は9-6で逆転勝利を収めた。
智辯学園は6点、奈良大附属は9点。
両校合わせて15得点。
最後まで勝敗の分からない、まさに死闘だった。
私は奈良県の高校野球出身者だ。
これまで高校野球の7回制には、基本的に反対だった。
9回まであるからこそ生まれる逆転がある。
先発投手が疲れ、継投や代打、代走、守備固めを含めた総合力が問われる。
7回で終わってしまえば、高校野球の魅力が失われるのではないか。
そう考えていた。
しかし、昨日の試合を見て、その考えが少し揺らいだ。
智辯学園の先発・杉本真滉投手は、試合中に足をつり、治療のため一度ベンチへ下がったと報じられている。猛暑による影響も疑われる状況だった。
映像を見ていても、智辯学園側には暑さによる異変を感じさせる場面が複数あった。
もちろん、外部から個々の選手を熱中症と診断することはできない。
それでも、全国トップクラスの環境で準備している強豪校の選手が、試合中に正常なプレーを続けることが難しくなる。
そこに、現在の夏の高校野球が抱える危機が表れている。
今春のセンバツ準優勝校・智辯学園が初回に4点を先制したものの、奈良大附属が追いつき、最後は9-6で逆転勝利を収めた。
智辯学園は6点、奈良大附属は9点。
両校合わせて15得点。
最後まで勝敗の分からない、まさに死闘だった。
私は奈良県の高校野球出身者だ。
これまで高校野球の7回制には、基本的に反対だった。
9回まであるからこそ生まれる逆転がある。
先発投手が疲れ、継投や代打、代走、守備固めを含めた総合力が問われる。
7回で終わってしまえば、高校野球の魅力が失われるのではないか。
そう考えていた。
しかし、昨日の試合を見て、その考えが少し揺らいだ。
智辯学園の先発・杉本真滉投手は、試合中に足をつり、治療のため一度ベンチへ下がったと報じられている。猛暑による影響も疑われる状況だった。
映像を見ていても、智辯学園側には暑さによる異変を感じさせる場面が複数あった。
もちろん、外部から個々の選手を熱中症と診断することはできない。
それでも、全国トップクラスの環境で準備している強豪校の選手が、試合中に正常なプレーを続けることが難しくなる。
そこに、現在の夏の高校野球が抱える危機が表れている。
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試合後、強くそう感じた。
初回4点差から始まった壮絶な逆転劇
試合は智辯学園が初回に4点を先制した。
センバツ準優勝校の強さを見せる立ち上がりだった。
しかし、奈良大附属は2回に4点を返して同点。
智辯学園が4回に2点を勝ち越したが、奈良大附属は5回に1点、7回に1点を返し、8回に3点を奪って逆転した。
最終スコアは9-6。
奈良大附属は初回の4失点で崩れず、最後まで攻撃を続けた。
春季奈良大会では智辯学園が奈良大附属に5-0で勝利していた。
奈良大附属にとっては、春に完封負けした相手への雪辱でもあった。
奈良大附属には最速150キロ右腕として注目されていた新城楓雅投手がおり、春の時点から智辯学園との対戦は県内屈指の注目カードと見られていた。
試合内容だけを見れば、奈良大会の歴史に残るような好ゲームだったと思う。
しかし、その「死闘」という言葉を、美談だけで終わらせてはいけない。
選手が暑さで動けなくなり、正常なプレーを続けることが難しくなる試合は、競技として公平なのか。
そして何より、高校生の健康や将来を危険にさらしてまで、現在の開催方法を維持する必要があるのか。
考えなければならない。
センバツ準優勝校の強さを見せる立ち上がりだった。
しかし、奈良大附属は2回に4点を返して同点。
智辯学園が4回に2点を勝ち越したが、奈良大附属は5回に1点、7回に1点を返し、8回に3点を奪って逆転した。
最終スコアは9-6。
奈良大附属は初回の4失点で崩れず、最後まで攻撃を続けた。
春季奈良大会では智辯学園が奈良大附属に5-0で勝利していた。
奈良大附属にとっては、春に完封負けした相手への雪辱でもあった。
奈良大附属には最速150キロ右腕として注目されていた新城楓雅投手がおり、春の時点から智辯学園との対戦は県内屈指の注目カードと見られていた。
試合内容だけを見れば、奈良大会の歴史に残るような好ゲームだったと思う。
しかし、その「死闘」という言葉を、美談だけで終わらせてはいけない。
選手が暑さで動けなくなり、正常なプレーを続けることが難しくなる試合は、競技として公平なのか。
そして何より、高校生の健康や将来を危険にさらしてまで、現在の開催方法を維持する必要があるのか。
考えなければならない。
なぜ智辯学園側に異変が起きたのか
杉本投手が足をつった原因について、外部から断定することはできない。
当日の体調、水分摂取量、睡眠、発汗量、筋肉疲労など、個人の状態は分からないからだ。
ただし、夏の高校野球で熱中症や熱疲労につながりやすい要因は整理できる。
当日の体調、水分摂取量、睡眠、発汗量、筋肉疲労など、個人の状態は分からないからだ。
ただし、夏の高校野球で熱中症や熱疲労につながりやすい要因は整理できる。
原因1 気温だけでなく、湿度と日射が重なる
熱中症リスクを判断するとき、気温だけを見てはいけない。
重要なのは暑さ指数、WBGTだ。
WBGTは気温だけでなく、湿度や日射、地面からの照り返しを含めて暑熱環境を評価する指標である。
環境省の指針では、WBGT28以上31未満は「厳重警戒」で、激しい運動は中止。
WBGT31以上では「運動は原則中止」とされている。
特に子どもについては、中止すべきと明記されている。
重要なのは暑さ指数、WBGTだ。
WBGTは気温だけでなく、湿度や日射、地面からの照り返しを含めて暑熱環境を評価する指標である。
環境省の指針では、WBGT28以上31未満は「厳重警戒」で、激しい運動は中止。
WBGT31以上では「運動は原則中止」とされている。
特に子どもについては、中止すべきと明記されている。
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これは高校野球にとっても極めて重い基準だ。
野球場は日陰が少ない。
土や人工芝からの照り返しもある。
選手はユニフォーム、アンダーシャツ、帽子、ヘルメットを着用する。
捕手はさらに防具を身につける。
気温が同じでも、湿度が高く、風が弱く、直射日光が強ければ、体から熱を逃がしにくくなる。
野球場は日陰が少ない。
土や人工芝からの照り返しもある。
選手はユニフォーム、アンダーシャツ、帽子、ヘルメットを着用する。
捕手はさらに防具を身につける。
気温が同じでも、湿度が高く、風が弱く、直射日光が強ければ、体から熱を逃がしにくくなる。
原因2 試合時間が長く、攻守の切り替えで十分に休めない
昨日の試合は両チーム合わせて15得点。
得点や四死球、投手交代が増えれば、試合時間も長くなる。
野球は攻撃中にベンチで休める競技と思われがちだ。
しかし実際には、選手によって休息時間が大きく異なる。
投手は攻撃中にもキャッチボールやブルペン投球を行う。
捕手も投手の準備に付き合う。
次の打順が近い選手は素振りをする。
出塁した選手は走塁後、すぐに守備へ就くこともある。
長い攻撃が、必ずしも全選手の休息になるわけではない。
特に投手と捕手は、攻撃中も完全には休めない。
得点や四死球、投手交代が増えれば、試合時間も長くなる。
野球は攻撃中にベンチで休める競技と思われがちだ。
しかし実際には、選手によって休息時間が大きく異なる。
投手は攻撃中にもキャッチボールやブルペン投球を行う。
捕手も投手の準備に付き合う。
次の打順が近い選手は素振りをする。
出塁した選手は走塁後、すぐに守備へ就くこともある。
長い攻撃が、必ずしも全選手の休息になるわけではない。
特に投手と捕手は、攻撃中も完全には休めない。
原因3 強豪校ほど「交代したくない」という心理が強い
夏の大会は負ければ終わりだ。
3年生にとっては最後の大会になる。
センバツ準優勝校として甲子園出場を期待されているチームなら、
「自分が抜けたら負ける」
「少しくらいなら我慢できる」
「最後までグラウンドに立ちたい」
という気持ちが強くなる。
熱中症では、判断力そのものが低下する可能性がある。
つまり、体調を崩した本人の自己申告だけに任せる仕組みには限界がある。
「大丈夫か」と聞かれた高校球児の多くは、「大丈夫です」と答えるだろう。
根性がある選手ほど危険を訴えない。
責任感が強い選手ほど無理をする。
これは選手個人の問題ではなく、高校野球の文化と大会制度の問題だ。
3年生にとっては最後の大会になる。
センバツ準優勝校として甲子園出場を期待されているチームなら、
「自分が抜けたら負ける」
「少しくらいなら我慢できる」
「最後までグラウンドに立ちたい」
という気持ちが強くなる。
熱中症では、判断力そのものが低下する可能性がある。
つまり、体調を崩した本人の自己申告だけに任せる仕組みには限界がある。
「大丈夫か」と聞かれた高校球児の多くは、「大丈夫です」と答えるだろう。
根性がある選手ほど危険を訴えない。
責任感が強い選手ほど無理をする。
これは選手個人の問題ではなく、高校野球の文化と大会制度の問題だ。
原因4 その日だけでなく、疲労が蓄積している
熱中症は、その日の気温だけで決まるわけではない。
大会期間中は、試合、練習、移動、治療、ミーティングが続く。
注目校であれば、取材や周囲からの期待による精神的な負担もある。
睡眠不足。
食欲低下。
軽い脱水。
胃腸の不調。
筋肉疲労。
こうした小さな問題が重なると、試合開始時点ですでに万全ではない可能性がある。
試合中に水を飲ませるだけでは不十分だ。
数日前から睡眠、食事、体重、尿の状態、疲労度を管理する必要がある。
大会期間中は、試合、練習、移動、治療、ミーティングが続く。
注目校であれば、取材や周囲からの期待による精神的な負担もある。
睡眠不足。
食欲低下。
軽い脱水。
胃腸の不調。
筋肉疲労。
こうした小さな問題が重なると、試合開始時点ですでに万全ではない可能性がある。
試合中に水を飲ませるだけでは不十分だ。
数日前から睡眠、食事、体重、尿の状態、疲労度を管理する必要がある。
原因5 全員に同じ対策をしても十分ではない
同じ環境で試合をしていても、全員が同じように体調を崩すわけではない。
発汗量。
暑さへの慣れ。
ポジション。
体格。
睡眠。
前日までの疲労。
過去の熱中症歴。
これらは選手ごとに違う。
一律に、
「全員が同じ量のスポーツドリンクを飲む」
「5回終了後に全員が同じ時間休む」
だけでは足りない。
汗を多くかく選手。
投手や捕手。
前の試合で長時間出場した選手。
過去に暑さで体調を崩した選手。
こうした選手は個別に管理する必要がある。
発汗量。
暑さへの慣れ。
ポジション。
体格。
睡眠。
前日までの疲労。
過去の熱中症歴。
これらは選手ごとに違う。
一律に、
「全員が同じ量のスポーツドリンクを飲む」
「5回終了後に全員が同じ時間休む」
だけでは足りない。
汗を多くかく選手。
投手や捕手。
前の試合で長時間出場した選手。
過去に暑さで体調を崩した選手。
こうした選手は個別に管理する必要がある。
これは智辯学園だけの問題ではない
今回、智辯学園の杉本投手が足をつったことで、暑さの問題が注目された。
しかし、問題を一校の準備不足にしてはいけない。
甲子園ではすでに、5回終了後のクーリングタイムが設けられている。
選手は冷房の効いたクーリングスペースへ移動し、サーモグラフィーによる体温測定、着替え、手のひらや首の冷却、アイススラリーや経口補水液の摂取を行っている。
しかし、問題を一校の準備不足にしてはいけない。
甲子園ではすでに、5回終了後のクーリングタイムが設けられている。
選手は冷房の効いたクーリングスペースへ移動し、サーモグラフィーによる体温測定、着替え、手のひらや首の冷却、アイススラリーや経口補水液の摂取を行っている。
アイススラリーは、摂取することで深部体温を下げる効果が期待されている。
高野連は選手用のスポーツ飲料、アイススラリー、経口補水液も用意し、理学療法士が試合前や試合中に摂取を促している。
つまり、関係者が危機を認識していないわけではない。
対策は進んでいる。
それでも、昨日のような異変が起きる。
ここに危機感を持つべきだ。
現在の暑さは、
「水を飲めば何とかなる」
「昔も暑かった」
「鍛えている高校球児なら耐えられる」
という水準を超えている。
高野連は選手用のスポーツ飲料、アイススラリー、経口補水液も用意し、理学療法士が試合前や試合中に摂取を促している。
つまり、関係者が危機を認識していないわけではない。
対策は進んでいる。
それでも、昨日のような異変が起きる。
ここに危機感を持つべきだ。
現在の暑さは、
「水を飲めば何とかなる」
「昔も暑かった」
「鍛えている高校球児なら耐えられる」
という水準を超えている。
私は9回制を維持してほしい派だった
私は奈良の高校野球出身者として、9回制を残してほしいと思ってきた。
高校野球は9回まであるから面白い。
7回まで負けていたチームが、8回、9回に追いつく。
先発投手が疲れ、控え投手や代打、代走の力が問われる。
劣勢でも最後まで諦めない。
そのドラマは、9回制だから生まれる。
昨日の試合も、奈良大附属が8回に3点を奪って逆転した。
7回制だった場合、この逆転劇は生まれていなかった。
だから、
「暑いならすぐ7回制にすればいい」
と簡単に結論づけることには今でも抵抗がある。
ただ、昨日の試合を見て、
高校野球は9回まであるから面白い。
7回まで負けていたチームが、8回、9回に追いつく。
先発投手が疲れ、控え投手や代打、代走の力が問われる。
劣勢でも最後まで諦めない。
そのドラマは、9回制だから生まれる。
昨日の試合も、奈良大附属が8回に3点を奪って逆転した。
7回制だった場合、この逆転劇は生まれていなかった。
だから、
「暑いならすぐ7回制にすればいい」
と簡単に結論づけることには今でも抵抗がある。
ただ、昨日の試合を見て、
9回制を守ることと、選手を守ることのどちらが大切なのか。
を考えざるを得なくなった。
9回制を残した結果、選手が正常にプレーできない。
体調不良者が出る。
試合の勝敗が野球の実力より、暑さへの耐久力で決まる。
それならば、9回制を維持すること自体が高校野球の魅力を守ることにはならない。
を考えざるを得なくなった。
9回制を残した結果、選手が正常にプレーできない。
体調不良者が出る。
試合の勝敗が野球の実力より、暑さへの耐久力で決まる。
それならば、9回制を維持すること自体が高校野球の魅力を守ることにはならない。
7回制は本当に解決策になるのか
7回制には明確なメリットがある。
・試合時間が短くなる
・投手の投球数を減らせる
・守備に就く時間を短縮できる
・大会日程を組みやすくなる
・夕方以降に試合を組みやすくなる
一方で、7回制に変えれば熱中症がなくなるわけではない。
炎天下で試合をすれば、7回でも危険性は残る。
大量得点や投手交代が多ければ、7回でも試合は長くなる。
試合前の練習や移動、応援、審判、補助員の負担も変わらない。
さらに7回制では、先制点の価値が高くなる。
強豪校が序盤からエースを投入し、逃げ切る試合が増える可能性もある。
終盤の逆転や控え選手の出場機会が減るという懸念もある。
したがって、7回制だけを導入して、
「これで暑さ対策は完了」
としてはいけない。
・試合時間が短くなる
・投手の投球数を減らせる
・守備に就く時間を短縮できる
・大会日程を組みやすくなる
・夕方以降に試合を組みやすくなる
一方で、7回制に変えれば熱中症がなくなるわけではない。
炎天下で試合をすれば、7回でも危険性は残る。
大量得点や投手交代が多ければ、7回でも試合は長くなる。
試合前の練習や移動、応援、審判、補助員の負担も変わらない。
さらに7回制では、先制点の価値が高くなる。
強豪校が序盤からエースを投入し、逃げ切る試合が増える可能性もある。
終盤の逆転や控え選手の出場機会が減るという懸念もある。
したがって、7回制だけを導入して、
「これで暑さ対策は完了」
としてはいけない。
夏の高校野球を続けるために必要な具体策
必要なのは、9回制か7回制かという一つの議論ではない。
開催時刻、日程、球場、選手管理、交代ルールをまとめて変えることだ。
開催時刻、日程、球場、選手管理、交代ルールをまとめて変えることだ。
対策1 WBGTによる強制的な試合中断・延期基準を作る
最も重要なのは、暑さを感覚で判断しないことだ。
各球場でWBGTを常時計測する。
そして、基準を全国で統一する。
たとえば、
・WBGT28以上で休憩回数を増やす
・WBGT30以上でイニング間の休憩を延長する
・WBGT31以上で新しいイニングを開始しない
・一定時間下がらなければ延期する
といった強制基準が必要だ。
環境省の指針では、WBGT28以上31未満は激しい運動を中止、31以上は運動原則中止である。
高校野球だけが例外であっていいはずはない。
「決勝だから」
「テレビ中継があるから」
「遠征費がかかるから」
という事情より、選手の安全を優先する仕組みにする必要がある。
各球場でWBGTを常時計測する。
そして、基準を全国で統一する。
たとえば、
・WBGT28以上で休憩回数を増やす
・WBGT30以上でイニング間の休憩を延長する
・WBGT31以上で新しいイニングを開始しない
・一定時間下がらなければ延期する
といった強制基準が必要だ。
環境省の指針では、WBGT28以上31未満は激しい運動を中止、31以上は運動原則中止である。
高校野球だけが例外であっていいはずはない。
「決勝だから」
「テレビ中継があるから」
「遠征費がかかるから」
という事情より、選手の安全を優先する仕組みにする必要がある。
対策2 午前・夕方の完全2部制を地方大会まで広げる
試合開始時刻を少し早めるだけでは足りない。
午前中に試合を行い、暑さのピークとなる時間帯は空ける。
夕方から次の試合を始める。
甲子園ではすでに、昼間の時間帯を避けて午前と夕方に試合を分ける2部制が導入されている。
重要なのは、甲子園だけでなく地方大会へ広げることだ。
注目されない1回戦でも、選手の安全は同じように守られなければならない。
午前中に試合を行い、暑さのピークとなる時間帯は空ける。
夕方から次の試合を始める。
甲子園ではすでに、昼間の時間帯を避けて午前と夕方に試合を分ける2部制が導入されている。
重要なのは、甲子園だけでなく地方大会へ広げることだ。
注目されない1回戦でも、選手の安全は同じように守られなければならない。
対策3 1球場1日2試合を原則にする
地方大会では、1球場で1日に3試合以上を実施することがある。
後ろの試合になるほど開始時刻がずれ、選手は長時間待機する。
アップの時間も読みにくい。
1球場1日2試合を原則にすれば、
・危険な時間帯を避けやすい
・試合開始の遅延を減らせる
・グラウンド整備や冷却の時間を確保できる
・審判や運営スタッフの負担も減らせる
大会日程が長くなるのであれば、開幕時期を前倒しすることも検討すべきだ。
後ろの試合になるほど開始時刻がずれ、選手は長時間待機する。
アップの時間も読みにくい。
1球場1日2試合を原則にすれば、
・危険な時間帯を避けやすい
・試合開始の遅延を減らせる
・グラウンド整備や冷却の時間を確保できる
・審判や運営スタッフの負担も減らせる
大会日程が長くなるのであれば、開幕時期を前倒しすることも検討すべきだ。
対策4 5回だけでなく、3回・5回・7回に冷却時間を設ける
現在の甲子園では、5回終了後に8分間のクーリングタイムが設けられている。
しかし、高温環境では1回だけでは足りない可能性がある。
WBGTが一定値を超えた場合、
・3回終了後
・5回終了後
・7回終了後
に冷却時間を設ける。
その時間には、
・アイススラリーの摂取
・首、脇、足の付け根の冷却
・手のひらの冷却
・濡れたユニフォームの交換
・医療スタッフによる状態確認
を行う。
単なる給水時間ではなく、深部体温を下げる時間にする必要がある。
しかし、高温環境では1回だけでは足りない可能性がある。
WBGTが一定値を超えた場合、
・3回終了後
・5回終了後
・7回終了後
に冷却時間を設ける。
その時間には、
・アイススラリーの摂取
・首、脇、足の付け根の冷却
・手のひらの冷却
・濡れたユニフォームの交換
・医療スタッフによる状態確認
を行う。
単なる給水時間ではなく、深部体温を下げる時間にする必要がある。
対策5 選手の自己申告だけに頼らない
「大丈夫か」と聞けば、多くの高校球児は「大丈夫です」と答える。
だから、本人の自己申告だけでは守れない。
クーリングタイムやイニング間に、
・受け答えがおかしくないか
・足取りに異常がないか
・手の震えやけいれんがないか
・異常な発汗、または汗が止まっていないか
・顔色に変化がないか
・心拍や体温に異常がないか
を第三者が確認する。
監督だけでは、勝敗に関わる交代判断が難しい場合もある。
大会の医療担当者に、一時的に選手を退場させる権限を持たせるべきだ。
だから、本人の自己申告だけでは守れない。
クーリングタイムやイニング間に、
・受け答えがおかしくないか
・足取りに異常がないか
・手の震えやけいれんがないか
・異常な発汗、または汗が止まっていないか
・顔色に変化がないか
・心拍や体温に異常がないか
を第三者が確認する。
監督だけでは、勝敗に関わる交代判断が難しい場合もある。
大会の医療担当者に、一時的に選手を退場させる権限を持たせるべきだ。
対策6 熱中症が疑われる選手の一時交代と再出場を認める
選手が体調不良を訴えても、
「交代したら戻れない」
というルールが無理を生む。
熱中症が疑われる選手については、一時交代を認める。
医療担当者が安全を確認した場合のみ、再出場できる制度にする。
これなら選手は、
「交代したら最後の夏が終わる」
という恐怖を感じずにベンチへ下がれる。
悪用を防ぐため、判断は監督ではなく、大会の医療担当者が行う。
「交代したら戻れない」
というルールが無理を生む。
熱中症が疑われる選手については、一時交代を認める。
医療担当者が安全を確認した場合のみ、再出場できる制度にする。
これなら選手は、
「交代したら最後の夏が終わる」
という恐怖を感じずにベンチへ下がれる。
悪用を防ぐため、判断は監督ではなく、大会の医療担当者が行う。
対策7 登録選手数を増やす
酷暑の大会で、少人数の選手に負担を集中させるべきではない。
登録選手数を増やし、
・守備要員
・代走
・捕手
・投手
・暑さに弱い選手の交代要員
を確保できるようにする。
控え選手の出場機会を増やすことにもつながる。
部員数の少ない学校については、連合チーム制度や特別登録枠を広げるなど、別の支援策も必要になる。
登録選手数を増やし、
・守備要員
・代走
・捕手
・投手
・暑さに弱い選手の交代要員
を確保できるようにする。
控え選手の出場機会を増やすことにもつながる。
部員数の少ない学校については、連合チーム制度や特別登録枠を広げるなど、別の支援策も必要になる。
対策8 投手と捕手には追加の強制休憩を設ける
投手と捕手は、ほかの野手より負担が大きい。
捕手は防具を着用し、しゃがんだ姿勢を繰り返す。
投手も攻撃中に完全には休めず、ブルペンやキャッチボールを行う。
投手と捕手には全体のクーリングタイムとは別に、一定イニングごとの健康確認を義務づけるべきだ。
捕手については、防具を外して冷却できる専用スペースも必要になる。
捕手は防具を着用し、しゃがんだ姿勢を繰り返す。
投手も攻撃中に完全には休めず、ブルペンやキャッチボールを行う。
投手と捕手には全体のクーリングタイムとは別に、一定イニングごとの健康確認を義務づけるべきだ。
捕手については、防具を外して冷却できる専用スペースも必要になる。
対策9 球場設備と用具を遮熱仕様に変える
選手個人の努力だけでなく、球場そのものを変える必要がある。
・ベンチへの冷房設備
・ミスト設備
・日よけの増設
・遮熱塗装
・冷却用の水や氷の常備
・白色や遮熱素材のスパイク、防具、帽子
伝統的な見た目より、選手の安全を優先する時期に来ている。
・ベンチへの冷房設備
・ミスト設備
・日よけの増設
・遮熱塗装
・冷却用の水や氷の常備
・白色や遮熱素材のスパイク、防具、帽子
伝統的な見た目より、選手の安全を優先する時期に来ている。
対策10 7回制は条件付きで試行し、データで判断する
私は、すべての高校野球を直ちに7回制へ変えることには慎重だ。
しかし、選択肢から完全に外すべきでもない。
たとえば、
・WBGTが一定値を超える期間
・地方大会の序盤
・1日に複数試合を行う球場
・過密日程が避けられない大会
に限定して、7回制を試行する方法がある。
あるいは、
・基本は9回制
・危険な暑さの場合は7回制
・準決勝と決勝は2部制による9回制
という方式も考えられる。
試行後に、
・体調不良者数
・試合時間
・投手の球数
・逆転試合の割合
・控え選手の出場機会
・選手や指導者の評価
を比較すればよい。
「伝統だから9回」
「危険だから7回」
という感情的な二択ではなく、データで判断するべきだ。
しかし、選択肢から完全に外すべきでもない。
たとえば、
・WBGTが一定値を超える期間
・地方大会の序盤
・1日に複数試合を行う球場
・過密日程が避けられない大会
に限定して、7回制を試行する方法がある。
あるいは、
・基本は9回制
・危険な暑さの場合は7回制
・準決勝と決勝は2部制による9回制
という方式も考えられる。
試行後に、
・体調不良者数
・試合時間
・投手の球数
・逆転試合の割合
・控え選手の出場機会
・選手や指導者の評価
を比較すればよい。
「伝統だから9回」
「危険だから7回」
という感情的な二択ではなく、データで判断するべきだ。
9回制を守るためにも、変えなければならない
私は9回制の高校野球が好きだ。
昨日の奈良大附属の逆転も、8回まで試合が続いたからこそ生まれた。
9回制を簡単に捨てたくない。
だが、9回制を本当に守りたいのであれば、開催方法を大きく変える必要がある。
炎天下の昼間に試合を詰め込み、5回終了後に一度だけ休み、選手の「大丈夫です」という言葉を信じて続行する。
この方法のまま9回制を守ろうとするのは、限界がある。
必要なのは、
・WBGTによる強制中断
・午前、夕方の2部制
・1球場の試合数削減
・複数回のクーリングタイム
・医療スタッフによる交代権限
・一時交代と再出場制度
・登録選手数の拡大
・投手、捕手の追加休憩
・用具や球場設備の遮熱化
・条件付き7回制の実証
である。
これらを実施しても安全を確保できないのであれば、そのときは7回制を本格的に受け入れる必要があるかもしれない。
昨日の奈良大附属の逆転も、8回まで試合が続いたからこそ生まれた。
9回制を簡単に捨てたくない。
だが、9回制を本当に守りたいのであれば、開催方法を大きく変える必要がある。
炎天下の昼間に試合を詰め込み、5回終了後に一度だけ休み、選手の「大丈夫です」という言葉を信じて続行する。
この方法のまま9回制を守ろうとするのは、限界がある。
必要なのは、
・WBGTによる強制中断
・午前、夕方の2部制
・1球場の試合数削減
・複数回のクーリングタイム
・医療スタッフによる交代権限
・一時交代と再出場制度
・登録選手数の拡大
・投手、捕手の追加休憩
・用具や球場設備の遮熱化
・条件付き7回制の実証
である。
これらを実施しても安全を確保できないのであれば、そのときは7回制を本格的に受け入れる必要があるかもしれない。
「死闘」で終わらせてはいけない
智辯学園と奈良大附属の試合は、本当に素晴らしい試合だった。
初回4点差から追いつき、再び勝ち越されても諦めず、8回に逆転した奈良大附属。
センバツ準優勝校として期待を背負い、厳しい状況でも最後まで戦った智辯学園。
両校の選手には敬意しかない。
しかし、
「感動した」
「高校野球らしい死闘だった」
だけで終わらせてはいけない。
選手が倒れそうになりながら続ける試合を、私たち大人が美談として消費してはいけない。
高校野球を守るとは、伝統を一切変えないことではない。
選手が安全に、全力で野球を続けられる環境を残すことだ。
私は昨日まで、9回制を維持してほしいと強く思っていた。
今も、その気持ちは残っている。
ただ、昨日の試合を見て、
「9回制でなければ高校野球ではない」
とは言い切れなくなった。
9回制を残すのか。
7回制へ変えるのか。
答えを急ぐ必要はない。
しかし、議論と対策を急ぐ必要はある。
今年を乗り切ればいい話ではない。
来年も、その次の年も、夏の高校野球を続けるために。
昨日の死闘を、制度を変えるきっかけにしなければならない。
初回4点差から追いつき、再び勝ち越されても諦めず、8回に逆転した奈良大附属。
センバツ準優勝校として期待を背負い、厳しい状況でも最後まで戦った智辯学園。
両校の選手には敬意しかない。
しかし、
「感動した」
「高校野球らしい死闘だった」
だけで終わらせてはいけない。
選手が倒れそうになりながら続ける試合を、私たち大人が美談として消費してはいけない。
高校野球を守るとは、伝統を一切変えないことではない。
選手が安全に、全力で野球を続けられる環境を残すことだ。
私は昨日まで、9回制を維持してほしいと強く思っていた。
今も、その気持ちは残っている。
ただ、昨日の試合を見て、
「9回制でなければ高校野球ではない」
とは言い切れなくなった。
9回制を残すのか。
7回制へ変えるのか。
答えを急ぐ必要はない。
しかし、議論と対策を急ぐ必要はある。
今年を乗り切ればいい話ではない。
来年も、その次の年も、夏の高校野球を続けるために。
昨日の死闘を、制度を変えるきっかけにしなければならない。
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