「この『G1』は、新日本プロレス変換期の“最初の 1ページ”になると思うので、見逃すことなくしっかりとその目に焼き付けてほしい」『G1』開幕目前!IWGPヘビー級王者・辻陽太にインタビュー!

チーム・協会

【新日本プロレス】

いよいよ開幕目前!日本時間:7月12日(日)朝9時~ アメリカ・シカゴの地で火ぶたを切る『新日カードランブル presents G1 CLIMAX 36』。

その開幕戦のメインイベントに登場する、現IWGPヘビー級王者であり、新日本プロレスの“現世代”を牽引する男・辻陽太選手にロングインタビュー!

聞き手/鈴木佑
撮影/タイコウクニヨシ

■『新日カードランブル presents G1 CLIMAX 36』
アメリカ・NOW ARENA (シカゴ)<開幕戦>
現地時間:7月11日 (土) 17:30開場 19:00開始
日本時間:7月12日 (日)朝9:00開始

■ファイヤーブラスター、あの技の原型はイギリス修業時代に少しやってたんですよ。

【新日本プロレス】

――さて、辻選手。今回の『G1 CLIMAX』にIWGPヘビー級王者として出場されますが、まずは6.14大阪城ホールでベルト奪還を果たしたカラム・ニューマン戦を振り返っていかがですか?

辻 これはカラムも言ってるんで、みなさんご存知かと思いますけど、彼が途中で肩を痛めたんですよね。プロレスっていうものは相手の技を受け切り、会場を盛り上げて勝つというのが一つの美学だと思うんですよ。

――プロレスの重要な要素ですね。

辻 ただ、カラムが途中でケガをしてしまったので、勝負を決めにいって勝ったというかたちなので、少し不完全燃焼のところはありました。でも、こればかりはプロレスをやる上でしょうがないことなので。

【新日本プロレス】

――命を懸けて戦う中で、誰にいつどんなハプニングが起きてもおかしくはないというか。

辻 まあ、カラムもまだ23歳と若いですし、どこかでまたやると思うので、そのときに今回のリベンジができればいいかなと。勝ってなおリベンジという感じですね。

――大阪城からはテーマ曲もMay J.さんの『Wildfire』にリニューアルしましたが、こちらは辻選手からオファーをされたそうで。

辻 そうです。作っていただけて光栄でしたし、あの曲は俺にとって本当に誇りですね。May J.さんがおっしゃっていたんですけど、歌詞にはご自身の人生も照らし合わせて書かれたそうです。 サビの部分の「弱さも捨てない」や「この痛みさえも私の生きる証よ」というところが、個人的にもとくに共感できるというか。あと、キーがメチャクチャ高いんですよね。これはMay J.さんが「プロレスは本当にギリギリのところで戦ってると思うし、辻選手の背中を押すために私自身も歌える限界のキーに挑戦しました」とおっしゃっていて、その気持ちだけでうれしいです。

――そして、辻選手はこの歌からインスパイアされ、大阪城でカラム選手を沈めた新技の変型ジーンブラスター、その名も“ファイヤーブラスター”を開発されたそうですね。

辻 そうです。あの技の原型はイギリス修業時代に少しやってたんですよ。 ただ、イギリスのときはふつうに相手の正面から入って、コンプリートショットみたいな感じで打ちつけてたんですけど、あんまりシックリ来なくて日本に帰ってからは使ってなかったんですよね。

【新日本プロレス】

――そういう裏話があったんですね。

辻 ただ、ジーンブラスターも対戦相手にだいぶ研究されているというか、カウンターを狙われてきているので、「何か新しい技を開発しないと」ってずっと思っていて。それでいろいろ考える中、この『Wildfire』を聴きながら車で目黒通りを走ってるときに、ふと「そうか、相手の前からじゃなく、うしろから入ったらいいんじゃないか?」と思いついたんですよね。

――それで相手が背中から打ちつけられるかたちになったと。

辻 突進するスピアーの勢いに遠心力を組み合わせて、最終的にバックドロップのようなかたちになるわけですが、相手もかなり受け身の技術が問われる強烈な技だと思います。

――この技を引っさげて臨む『G1』ですが、IWGPヘビーのベルトを携えている部分で、これまでと心境的に異なる部分は?

辻 ずっと『G1』に優勝すると翌年の1.4東京ドームでIWGPヘビーに挑戦するという流れが続いてきた中で、ここ2年は10月の両国で挑むかたちになってますよね。今回、せっかくチャンピオンとして優勝したら、またいままでになかったことをできればいいかなとは思ってますし、いろいろ考えていることはあります。

――IWGPヘビー級チャンピオンとして優勝したのは1995年の武藤敬司さんと2000年の佐々木健介さんのみなので、辻選手が優勝した場合は26年ぶりの快挙となります。

辻 まだ『G1』は2年前に準優勝したのが最高順位なので、今回はIWGPヘビー級王者として、そして“現世代”のトップとして優勝したいですね。

■TAKESHITAという最高の相手と異国の地で“東京ドームの続き”ができるのは楽しみです

【新日本プロレス】

――ここからは各公式戦について伺わせてください。開幕戦は日本時間:7月12日(日)に NOW ARENA (アメリカ・シカゴ)で行われます、海外で『G1』が開催されるのは2019年以来となりますが、これについては?

辻 新日本プロレスを世界に広めていくのはいいことですし、新日本がアメリカでも根強い人気があるという証拠だと思います。ちなみに前回、2019年にアメリカでやったときは、俺はヤングライオンで連れてってもらえなかったので、そういう意味ではようやくという感じです(笑)。

――7年越しに実現すると。そして、対戦相手はアメリカでも名を馳せ、同世代のライバルである現NJPW WORLD認定TV王者のKONOSUKE TAKESHITA選手です。

辻 これ、リーグ戦の日程の発表前から、ここはTAKESHITAとやるんじゃないかって薄々感じてたんですよ。今年の1.4東京ドームで2冠王座戦もやりましたし、自分で言うのもちょっとおこがましいですけど、アメリカ人がどのカードが見たいって言ったら、俺とTAKESHITAなんじゃないかなって。Yuto-Ice的にいえば“カネになるカード”ですね(笑)。

――TAKESHITA選手にとっては1.4東京ドームの二冠王座戦のリベンジマッチであり、さらにアメリカはホームになるというか。

辻 たしかに彼からすればホームですよね。東京ドームのときは最後に逆エビ固めで勝ちましたけど、30分以上戦ってあの空気椅子のような体勢って、メチャクチャつらいんですよ。でも、耐えることができたのはお客さんの声援のおかげなので、アメリカでTAKESHITAを相手にしたときにどんな反応が来るのか、気になるところですね。なんなら俺のAEWに関する発言を受けて、あんまりよく思われていない可能性もありますし(苦笑)。でも、TAKESHITAという最高の相手と異国の地で東京ドームの続きができるのは楽しみです。

■後藤さんには、「あなたはIWGP世界ヘビーの歴代王者として輝かしい実績を残しましたけど、本当に手にしたかったベルトはこっちなんじゃないですか?」って言いたい

【新日本プロレス】

――続いて7月18日(土)北海きたえーる大会では、後藤洋央紀選手と激突します。

辻 後藤さんはなんか、いろいろ思うことがあるみたいなんですけどね、俺に。

――SNSでもいろいろと発言されてますよね。ただ、後藤選手はリング上では好敵手というか、2年前の『NEW JAPAN CUP』決勝戦(3.20長岡)で辻選手が勝利を収めた激闘は、東京スポーツ新聞社制定のプロレス大賞でベストバウトを受賞しました。その年、後藤選手には『G1』公式戦(7.28福岡)で敗北を喫しているので、対戦戦績は1勝1敗の五分です。

辻 あの『NEW JAPAN CUP』の決勝が俺にとっての出世試合というか、後藤洋央紀というレスラーが、辻陽太が新日本のトップ戦線に駆け上がるきっかけの一人になったのは間違いないですよ。その相手とこうして因縁が生まれて、これまでと違うシチュエーションで戦うのもおもしろいなと思います。

――辻選手は今年、IWGP世界ヘビーを“解体”してIWGPヘビーを復活させ、歴代のIWGP世界ヘビー級王者とも対戦したいと発言されました。まさに後藤選手はIWGP世界ヘビーを巻き、最多防衛7回を記録した強豪です。

【新日本プロレス】

辻 俺は後藤さんには、「あなたはIWGP世界ヘビーの歴代王者として輝かしい実績を残しましたけど、本当に手にしたかったベルトはこっちなんじゃないですか?」って言いたいですね。

――IWGPヘビーには8度挑戦するも、あと一歩のところで手が届かなかった後藤選手を揺さぶるような発言ですね。

辻 じゃあ、さらにこう付け加えておいてください。あなたの実力は認めてますし、あなたがいたからこそ俺もここまで上がってこられたというのを踏まえた上で、あえて言わせてもらいます。あなたが届かなかったベルトを、俺はいま持っています。

――次の7月21日(火)仙台サンプラザホール大会ではSANADA選手と対峙します。去年の『G1』公式戦(7.19札幌)でも対戦し、そのときは辻選手が5分ちょっとで速攻勝利を収めました。

辻 SANADAさんは自分が凱旋帰国して一発目の試合で戦った選手ですし(※2023年の6.4大阪城ホール/IWGP世界ヘビー級王座戦)、思い出深い相手というか。ただ、今回の試合で一番注目したいのは、彼がどんな入場コスチュームを着てくるかってところですね(笑)。

【新日本プロレス】

――SANADA選手は今年1月から謎の欠場を続け、6.14大阪城で復帰しましたが、そのときは歴代のコスチュームを披露した総決算のような入場でしたね。

辻 その総決算のあとにどんな姿を見せていくのか、かなり気になりますね。あのSANADAさんのやりかたっていうのは、俺はけっこう好きなんです。 だって、観る側にすればすごく印象に残るわけで、それだけである部分で勝負に勝ってるんですよ。

――たしかに観客の脳裏に焼きつくというか。

辻 だから、コスチュームでマウントを取られないように、しっかり試合で内容と結果を残していきたいです。ただ、一つ心配なのは彼の右肩の調子ですね。TAKESHITAとの復帰戦を見ても本調子とはちょっと思えなかったので、あれからどのくらい回復してるのか、気になってます。

■本来ならば鷹木さんとはIWGPヘビーを懸けてやりたかったんですけど、先にこういう機会が生まれたので、これはこれでしっかりと倒しにいきます

【新日本プロレス】

――続いて7月25日(土)大田区総合体育館大会では、鷹木信悟選手との注目のUnbound Co.同門対決です。辻選手はヤングライオン時代の2021年の5.26後楽園で、鷹木選手とは一度対戦していますが、凱旋帰国以降は今回が初となりますね。

辻 本来ならば鷹木さんとはIWGPヘビーを懸けてやりたかったんですけど、先にこういう機会が生まれたので、これはこれでしっかりと倒しにいきます。 ただ、この前(※6.19茅野大会)のマイクでも言ったとおり、もし鷹木さんが俺を倒したのであれば、その次は IWGPヘビーを懸けてやりたいと思ってます。

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――鷹木選手といえば6.14大阪城大会の試合後、辻選手の腰にIWGPヘビーを巻いていましたが、5年前の6.7大阪城大会では逆にヤングライオンだった辻選手が、鷹木選手の腰にIWGP世界ヘビーを巻いていましたね。

辻 鷹木さんがあのときの恩返ししてくれた格好ですよね。まさに“漢”というか、あの器の大きさがカッコイイなって思います。

――ちなみに鷹木選手はご結婚をされてから、側で観ていて何か変化を感じる部分はありますか?

辻 ふだんの表情は柔らかくなったと思いますけど、リング上は変わらな……いんですかね?(笑)。ただ、やっぱり強さというのは大切な人を守るために使うものであり、だからこそより強くならなきゃいけないと思うので、そういった意味ではいまの鷹木さんが一番強いかもしれないですね。

■Iceは本人が「何も考えなくていい、ただ感じろ」って言っているとおり、俺とは少し対極にいるレスラーなのかなとも思います。

【新日本プロレス】

――折り返し地点となる5戦目は、7月29日(水)大阪・大和アリーナ大会でYuto-Ice選手とこちらも注目の対決を迎えます。

辻 今回、Unbound Co.の3人が同じブロックなんですよね。それぞれの直接対決っていうのはかなり注目度が高いと思いますし、その期待を超えるような戦いを見せたいです。ちなみに俺、Iceとは全然当たったことがないんですよ。

――Ice選手は2021年の2.14後楽園大会の上村優也選手とのデビュー戦で、左ヒジを負傷し長期欠場となり、その間に辻選手は海外修業に旅立ったので若手時代は戦う機会がなかったんですよね。ただ、昨年の『WORLD TAG LEAGUE』の準決勝戦(12.12薩摩川内大会)で、辻選手はゲイブ・キッドとのコンビでK.O.B(Ice&OSKAR)と対戦し、勝利を収めています。

【新日本プロレス】

辻 そうか、そこで当たってますね。でも、そんなにIceに触った印象はないので楽しみです。これまでのK.O.BのIWGPタッグ王座戦を観てると、Iceはじつはシングルマッチ好きなんじゃないかなと思うんですよ。棚橋社長も解説で言ってましたけど、タッグマッチだけどシングルマッチのように戦うというか。

――たしかにK.O.Bのフィニッシュは合体攻撃のK.O.Bですが、連係技の数自体はそんなに多くはないというか。

辻 Iceの戦いかたは、いま主流のいわゆるアスリートライクなプロレスではなく、鈴木みのるみたいな殴る蹴るのプロレスをやってるんで、はたして俺と戦ったときにどういう反応が起きるか。まあ、俺もテコンドーの心得があるので。

――打撃を繰り出す可能性もあると。Iceは魂のマイクアピールでファンの心をつかんでいますが、あの姿はどうご覧になっていますか?

辻 仲間として心強いですよ。俺にはああいうことはできないと思いますし、彼には尊敬する一面があります。きっと会場はIceを後押しする雰囲気になるのかなとも思いますが、それはIceにかぎらず全員がそうなるというか、逆に自分は「チャンピオンを倒せ!」というふうに思われなきゃいけないと思ってます。

【新日本プロレス】

――それこそがチャンピオンであると。

辻 あとIceに関していうと、彼はそのままの感情を出すというか、リングでウソをつかないんですよね。それってすごく大事なことで、やっぱりお客さんっていうのはウソがあると見透かしますから。Iceは本人が「何も考えなくていい、ただ感じろ」って言っているとおり、俺とは少し対極にいるレスラーなのかなとも思います。俺は少し“余白のあるプロレス”が好きだったりもするんで。

――観る側に考えさせたいと?

辻 ええ。俺とIceの戦いでお客さんが何かを考えるのか、そして何を感じるのか楽しみです。

■大岩は、彼が見せたいものと、彼が求められているものが合わさったら、これはとんでもない化け物になるんじゃないかなと

【新日本プロレス】

――8月1日(土)広島サンプラザホール大会では、7.6後楽園大会のエル・ファンタズモ選手とのAブロック出場者決定戦に勝利した大岩陵平選手との対戦です。大岩選手とは昨年の『G1』公式戦(7.25大田区大会)で当たり、辻選手が“変型トケ”で丸め込んで勝利しました。いまの大岩選手はどのようにご覧になっていますか?

辻  なんかまだ、身体と心のミスマッチがあるというか、そんなところを感じますね。ちょっともどかしさがあって。去年の『WORLD TAG LEAGUE』で優勝して、これからっていうところで結果が出ていないというか。

――1.5大田区でKnock out brothersのIWGPタッグにザック・セイバーJr.選手と挑戦するも敗北。そのあと、シングルでもまだ目立った勲章はつかめていません。

辻 持っているものはすばらしいと思うんですよ。 あれだけ大きな肉体で、テクニックも併せ持っている。 なので、彼が見せたいものと、彼が求められているものが合わさったら、これはとんでもない化け物になるんじゃないかなと俺は思ってます。

【新日本プロレス】

――大岩選手は周囲が期待する中、まだなかなか突き抜けられないというか。

辻 これは彼の欲深さの問題なのかもしれないですね。べつの言いかたをするとギラついてないというか。その彼の欲望、レスラーとしてどうなりたいのか、それが目に見えるように現れたらすごいことが起きるんじゃないかなと思いますね。

――続いて8月6日(木)後楽園はボルチン・オレッグ戦になります。辻選手はボルチン選手に『G1』公式戦で24年(7.27愛知)、25年(7.31山口)と連勝を収めていますが、あの規格外のパワーを前に苦戦を強いられていましたね。

【新日本プロレス】

辻 そうですね。 これまで俺が勝てたのは、正直キャリアの差もあったと思うんですよ。でも、今回は3度目ですし、ボルチンもさらに進化しているはずなので。現にベルトを巻いていますし、このまま進化し続けていったら手がつけられなくなるかもしれないですね(苦笑)。

――現在、ボルチン選手は2.27ニュージャージー大会で石井智宏選手から奪取したSTRONG無差別級王座を保持しています。その後、5.6唐津を最後に左肘の負傷で欠場に入りましたが、『G1』直前の7.6後楽園で復帰することが決定しています。

辻 左ヒジを手術したらしいですけど、その影響がどこまであるのか気になりますね。とはいえ彼は筋肉もさることながら、骨自体が並みのレスラーとは違うので十分な警戒が必要だと思ってます。公式戦の終盤で当たるにはキツい相手なので、頭を使ってうまく戦わないと。

■オーカーンも実力者ではあるので、どれだけの覚悟を決めて、いまのグレート-O-カーンというものを見せてくれるのか、楽しみなところです

【新日本プロレス】

――そして8月9日(日) Gメッセ群馬大会では、現在IWGPタッグとNEVER6人タッグを保持するグレート-O-カーン選手と対峙します。意外なことに辻選手は凱旋帰国を果たして以降、オーカーン選手とシングルで当たるのは今回が初めてなんですよね。

辻 そうなんですよ。もし彼の正体が“あの男”だとすれば、俺のデビュー戦の相手であり、さらに棚橋社長の元・付き人対決にもなりますね。

――最近のオーカーン選手は以前の饒舌さが影を潜め、沈黙が目立つ場面が見られますが、どのように捉えていますか?

【新日本プロレス】

辻 試合もダーティーファイトっていう感じですけど、あれも彼なりの覚悟なのかなって思ってます。というのは、俺は本当のオーカーンというのは、棚橋弘至に憧れている男だと思ってるので。

でも、それをかなぐり捨てて、ここからオーカーンがさらにどう自分を確立していくのか、この『G1』がポイントになる気がしますね。俺にはちょっとまだ迷いがあるように見えますけど、逆に迷いを吹っ切ったところなのかもしれないですし。

――シングルの実績としては辻選手が凱旋帰国以降、オーカーン選手を追い抜いたような格好になるので、オーカーン選手としてはこの一戦に期する思いがあるのかなと。

辻 追い抜いたというか、やっぱりオーカーンも実力者ではあるので、どれだけの覚悟を決めて、いまのグレート-O-カーンというものを見せてくれるのか、楽しみなところです。

■ジェイクは最終公式戦の相手としては要注意人物だと思ってます。

【新日本プロレス】

――そして8月12日(水)アクトシティ浜松大会の最終公式戦では、ジェイク・リー選手と激突します。こちらは2.11大阪大会でIWGPヘビー級王座戦の再戦となりますね。

辻 ジェイクは最終公式戦の相手としては要注意人物だと思ってます。

――たしかに熾烈な星争いの最後に心理戦が得意なクセ者を相手にするというのは、注意が必要ですね。

辻 こっちがもう勝ったと思ったところで、何か奥の手を仕掛けてきそうですし。ジェイクはあの大阪の試合を機に、完全に“道化師”になりましたよね。大阪のときは前哨戦から言葉も含めて盛り上げることができたと思ってるんですけど、いざリングで実際に対峙したら、彼の心の奥に持っている闇みたいなものを感じたんですよね。

――それはどのあたりに?

辻 リングの一番近くでジェイクを観ていた俺だからわかるんですけど、試合の中でスイッチが入った瞬間の彼の顔の怖さが、とにかく印象的で。チョークスラムに入るときに、それをすごく感じましたね。 いまフェイスペイントもするようになってますけど、あの仮面の下にはまだ黒いものが眠っていそうな気がします。

■ウルフアロンは、『G1』では初対決の選手ばかりの中、どんなプロレスを見せていくのか、非常に見ものだと思ってます。とくに上村戦やHENARE戦が気になりますね。

【新日本プロレス】

――今回は各ブロックの上位2選手が決勝トーナメントに進出し、8.15両国で準決勝戦、8.16両国で決勝戦が行われます。辻選手が対抗のBブロックで気になる選手は?

辻 やっぱり、期待を込めて海野翔太かなって思います。

――辻選手は以前から、同世代の選手のキーパーソンとして海野選手の名前を挙げていますね。

辻 上村(優也)もそうですけど、俺と海野は切っても切り離せない縁があると思っているので。実際、俺は彼とのプロレスがすごく好きですし。

――最近の海野選手に関して何か変化を感じる部分はありますか?

辻 まず、IWGP GLOBALのベルトが似合うなって思いました。このベルトが似合うっていうのは、レスラーにとって一番大事な資質かもしれないですね。だから、海野翔太はチャンピオンであるべき人間なんだろうなと思ってます。あとは、ゲイブ・キッドにもちょっと注目していますね。

――この取材後になりますが、ゲイブ選手は7.6後楽園で海野選手のIWGP GLOBALのベルトに挑戦します。そもそもゲイブ選手は最初、5.3福岡大会で当時IWGP GLOBAL王者だった辻選手に挑戦予定でしたが、ゲイブ選手が右肩を負傷したため試合が流れています。

【新日本プロレス】

辻 ゲイブからしたら、俺ではなくIWGP GLOBALに興味があったということなんでしょうね。彼にとっても思い入れのあるベルトでしょうし、IWGPヘビーよりもIWGP GLOBALを狙ってきたっていうのは、そういうことだと思います。

――とはいえ一度発表されていた試合ですし、ゲイブ選手とはどこかで戦いたいという思いは?

辻 それはありますね。彼は一緒に道場でトレーニングした仲間であり、少しのあいだですけど共闘もしましたし、闘魂を持っている選手の一人だと思うんですよ。だから、いまの彼がどんなものなのか、リングで確かめてみたいっていうのはあります。

――かつて新日本愛を全面に出していたゲイブ選手が、いまでは逆に憎しみをぶつけるようになったことについて思うことは?

辻 それに関しては、俺はべつにいいと思ってます。 だって、人の考えというのはその状況や立場によって変わってくるものであり、それを闇雲に「オマエは昔、こうだったのに」と言っていたら、人の変化や成長を認めないことになってしまうと思うので。

――ゲイブ選手の考え自体は否定しないと。

辻 はい。大前提として俺は新日本が一番だと思ってますし、新日本を心から盛り上げたいと思ってます。 ただ、これは俺が新日本の選手だからっていうところもあるわけで。 仮に AEW の選手だったら、それは AEW が一番だって言うでしょうし、だからいまのゲイブの姿はごく自然なことだとは捉えています。単純に考えかたや立場の変わったゲイブとリングで戦うことができたら、それはそれで一つの楽しみだなと思いますね。

――あと、注目の初出場を果たすNEVER無差別級王者のウルフアロン選手についても伺えれば。

【新日本プロレス】

辻 この前のYOSHI-HASHIさんとの出場者決定戦(6.23後楽園大会)はすごかったですね。これまでウルフはシングルでHOUSE OF TORTUREとしかやってなかったので新鮮な部分もありましたし、『G1』では初対決の選手ばかりの中、どんなプロレスを見せていくのか、非常に見ものだと思ってます。とくに上村戦やHENARE戦が気になりますね。

――辻選手はウルフ選手とは何かしらの接点は?

辻 まったくないです。ただ、去年の1.4東京ドームで俺がデビッド・フィンレーと対戦したときに、プロレスに転向する前のウルフが解説で入ってたんですよ。そのときに後藤洋央紀も解説でいて、フィンレーについて「彼のパワーは日本人離れしてますね」ってコメントをしたら、ウルフが即座に「日本人じゃないですからね」ってツッコミを入れていて、この人は頭の回転が早いなって思いました(笑)。

――鮮やかなツッコミで一本取ったと(笑)。まだデビューして半年あまりですが、やはりレスラーとしてのポテンシャルを感じますか?

辻 とてつもないと思いますよ。だって、俺がデビュー半年の頃に何してたって言ったら、やっと坊主を卒業したぐらいなので(笑)。デビュー戦でベルトを獲って、ここまでの過程というのはすごいことだと思いますし、まさに金メダリストここにありって感じですね。

――今回の『G1』全体の印象も伺いたいのですが、20~30代の選手が中心で新局面に突入したというか。

辻 俺としては、新日本プロレスはこれからすごくおもしろくなっていくと確信してますし、その足掛かりになるのがこの『G1』だと思ってます。いいスタートダッシュを切るのが、これからの新日本プロレスにとって大事なことですし、そこに関しては敵味方関係なく、みんな同じ方向を向いていく必要があると思いますね。

【新日本プロレス】

――棚橋弘至社長をはじめ、一時代を築いた選手たちが現役生活にピリオドを打つ中、現世代の選手の中で誰が飛び出すのか、観る側も注目しているというか。

辻 そうですね。俺もチャンピオンとはいえ、まだ横一線で見られているところは少なくないと思うので。これは“令和闘魂三銃士”として括られた弊害なのかもしれないですけど(笑)。

――3年前の『G1』開幕直前に辻選手、海野選手、成田選手の3人を“令和闘魂三銃士”と命名すると会社が発表するも、当の選手たちが反発し物議を醸しましたね。

辻 それを忘れさせるくらい、突出しないとダメかなって。しかも俺はIWGPヘビー級チャンピオンなので、この『G1』でもしっかりチャンピオンとしてのプロレスをしていきたいと思います。

――最後に活躍を期待するファンにメッセージをいただければ。

辻 さっきも言ったように、新日本プロレスはここからすごくおもしろくなっていくでしょうし、この『G1』は変換期の最初の 1ページになると思うので、見逃すことなくしっかりとその目に焼き付けてほしいですね。そして、最後はIWGPヘビー級チャンピオンであるこの俺が、必ず優勝してみせます。(了)

【新日本プロレス】

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著者プロフィール

1972年3月6日に創業者のアントニオ猪木が旗揚げ。「キング・オブ・スポーツ」を旗頭にストロングスタイルを掲げ、1980年代-1990年代と一大ブームを巻き起こして、数多くの名選手を輩出した。2010年代以降は、棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカらの台頭で再び隆盛を迎えて、現在は日本だけでなく海外からも多くのファンの支持を集めている。

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