なぜ大阪体育大学広報室はニュース記事の発信に力を入れるのか―大学広報から大学メディアへ

大阪体育大学
チーム・協会
 大阪体育大学広報室は、ニュース記事の発信に力を入れています。大学HPの他、3年前から日本最大級のスポーツ総合サイト「スポーツナビ」に記事を掲載し、合計900本超、この1年間で約480本掲載しました。ニュースを重視するのは、自学の魅力や情報を発信することだけでなく、大学の研究や教育の成果を社会に広く伝え、読者の疑問や社会課題の解決に役立つメディアでありたいと考えるからです。

【大阪体育大学】

記事年480本、SNS、学内新聞で発信

 広報室では、広報室長の私と室員2人でスポーツナビや大学HPに掲載する記事の取材・執筆の他、インスタグラム、X、フェイスブックなどのSNSへの投稿、ユーチューブに掲載する動画の作成、HPの管理・運用のほか、学内新聞OUHSスポーツ(8ページ、年2回)、学内誌OUHSジャーナル(年3回)の取材・編集などにあたっています。インスタグラムは本学卒業生の動画クリエイターと業務提携し、フォロワーを2023年3月の約500から8000超まで増やすことができました。
 広報室は2020年4月にそれまでの入試・広報部から分離するかたちでスタートしました。2019年に毎日新聞社を退職した私が室長を務め、デスク兼ライターとしてこの1年間で約380本の記事を書きました。

大学は社会課題の解決に役立つ知の宝庫

 学内を取材して実感したのは、大学には社会課題の解決につながる研究成果や実践、教員の専門的な知見が無数と言っていいほどあるということです。しかし、論文や学会発表だけでは、一般の人の目に触れる機会は決して多くありません。だからこそ、広報室には、専門知を分かりやすく社会へ届ける義務があると考えています。
 例えば、現在、部活動改革は、国が中学校の運動部活動を地域展開する方針を示すなど大きな社会テーマとなっています。広報室では、部活動改革研究の第一人者であるスポーツ科学部・中尾豊喜(とよき)教授の研究成果や実践活動に加え、本学独自の部活動指導者養成プログラムや、中学校で実際に部活動指導に携わる学生を継続的に取材することで、より良い改革に役立つ記事を少しでも多く提供するように努めています。
 また、日本のスポーツ界を挙げてスポーツハラスメント(スポハラ)根絶を目指した活動が展開されていますが、活動の先頭に立つスポーツ科学部・土屋裕睦(ひろのぶ)教授の研究や実践も積極的に取材しています。

※リンク先は外部サイトの場合があります

 一方、大学の知見は社会で起きている出来事を読み解く力にもなります。例えば、ミラノ冬季オリンピックで国際オリンピック委員会(IOC)が追悼ヘルメットを着用したウクライナ選手を失格としたことの是非や、日本オリンピック委員会(JOC)の橋本聖子会長が昨年、広島、長崎両市で「原爆の日」平和式典に参列した意義については、オリンピック史を専門とするスポーツ科学部・中房敏朗教授に解説してもらいました。また、サッカー・ワールドカップで本田圭佑さんの解説が多くの共感を集めた理由については、スポーツマーケティングの視点からスポーツ科学部・藤本淳也教授に分析を依頼して一晩で書いてもらい、第3戦のスウェーデン戦前日に掲載しました。

テレビ局から取材を受ける中尾豊喜教授 【大阪体育大学】

クラブニュースで選手の成長、学びを発信

 本学では約50のクラブに全学生の約7割が所属し、クラブ活動に関するニュース取材は広報業務のうち大きな割合を占めています。本学にとって、クラブ活動とは学びと切り離されたものではなく、日々の授業で学んだスポーツ科学や教育学などの知識を実践し、実践で得た疑問や課題を再び学びにつなげる、教育活動の場として位置づけています。
 そのため広報室では、試合結果や勝敗を伝えるだけではなく、選手の成長や挑戦、授業での学びや知見がいかに競技に役立ったか、競技を通じて得られた学びなど、勝敗の背景にある教育的な価値を可能な限り取材することを心がけています。

編集方針は「主人公は学生」

 記事にできる「ネタ」探しや取材では、「主人公は学生」を編集方針にしています。クラブでは主力選手だけでなくマネージャーやアナリスト、ボランティアや勉学に打ち込む学生。先日始めたゼミ紹介の企画では、教員ではなく学生にゼミの特色、魅力を語ってもらいました。
 大学が社会に提供する最も大きな価値は、社会を支え、活躍する人材の育成だと考えるからです。
 東日本大震災の翌年から毎年、福島県南相馬市で実施する「体育大学だからこそできる」健康支援・レクリエーション活動に参加した学生や、不登校の子どもを受け入れる大阪府内の施設で「メンタルフレンド」として子どもに寄り添う学生の思いを読者に知っていただくことは、ささやかでも社会課題の解決につながるとともに、学生のさらなる成長にも寄与するのではないかと考えています。

東日本大震災復興支援「サンライズキャンプ」に参加した学生ら 【大阪体育大学】

なぜ大学はメディアであるべきか

 大学の広報にとって「学生募集」は極めて重要で、私たちも高校生や父母、高校の教員に大学の魅力や特徴を知ってもらえるよう全力で取り組んでいます。一方で学生募集の目的を越えて、大学の知を社会へ届ける責任が広報室にはあると考えています。
 社会に役立つニュースの発信を積み重ねることは、広告や宣伝以上に、大学の価値や信頼を高めるブランディングにつながると考えています。
 大学にはニュースがありすぎます。大きなニュースはメディア各社にFAXやメールでプレスリリースをしますがそれでは追いつかず、広報室員が自ら日々、精力的に書かねばなりません。SNSは拡散力の強い有力なツールですが、研究成果や学生の思い、成長ストーリー、試合で繰り広げられたドラマを詳しく深く書くことには適していません。
 メディアとは自ら編集方針を持ち、自ら責任を持って取材・編集し、社会に継続的に情報を発信する組織や仕組みだと考えます。
 近年は、企業が自らメディアを持ち、社会へ直接情報を発信する例が増えています。大学もまた、教育・研究成果や学生の成長を社会に伝えるメディアとしての役割を果たす時代になったのではないでしょうか。

AI時代、大学の活動を未来へ残す

 メディアにとって、AIという新たな「読者」が登場しました。AIはウェブ上に公開された膨大な情報をもとに知識を整理し、人はAIから情報を得る時代になりました。大学が教育・研究成果や学生の活動を一次情報としてウェブ上に残すことは、AI時代における大学の新しい社会的責任と言えます。
 SNSは、情報を素早く広く届ける力に優れていますが、ウェブニュースは検索され、蓄積され、長く参照される知的資産です。このため、広報室ではウェブニュースの発信を重視しています。
 大学が教育や研究、学生の活動について発信しなければ、その価値は社会に十分伝わらず、未来に残りません。また、足や人脈を使って大学内外を巡り一次情報を集める「取材」は人にしかできず、AI時代、取材力はより重要になっています。
 
 大学には、社会に伝えるべき知と人の成長があります。広報室はその価値を信頼できる一次情報としてウェブ上に残し、読者の疑問や社会課題の解決に役立つ大学メディアでありたいと考えています。

大坪康巳(おおつぼ・やすみ)
 大阪体育大学広報室長。1965年4月生まれ。毎日新聞社で運動部編集委員、スポーツ事業部長、論説委員。高校野球、オリンピックなどを取材。2019年、大体大に入職。スポーツジャーナリズム論担当。選抜高校野球大会選考委員。
 (この記事はAIを利用し推敲を重ねました)
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著者プロフィール

日本を代表するスポーツの総合大学。体育系大学として西日本で初めて開設されました。スポーツ科学部は6領域を備えデジタルスポーツにも注力、教育学部は最大4つの教員免許が取れ、両学部生の96%が「満足」と卒業時アンケートに回答。6専用体育館・各種競技場・医師在勤の診療所・AT・S&Cルームが教室棟に隣接。学生の非認知能力の高さも特長です。

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