【ソフトボール】苦戦の中でも忘れないこと 東海理化、日立に快勝 JDリーグ

日立に勝って喜び合う東海理化の藤本捺希(右端)ら(2026年6月13日、等々力球場) 【撮影:若林哲治】

女子ソフトボール・ニトリJDリーグ2026第9節は6月13、14日、4会場で交流戦シリーズ16試合が行われ、川崎ラウンド第1日では東海理化が日立に5-4で競り勝ち、連敗を6で止めた。プレーオフ進出(4位以内)が遠のく状況でも、目的意識と闘志が感じられる戦いぶりだった。

序盤をしのいだ併殺網

一回裏、先発左腕の藤本捺希が2番・笠原朱里の2ランで先制点を許したあと、続くデジャ・ムリポラにも三遊間を破られた。一気にたたみかけられそうな空気が漂う。だが、4番・保谷蓮の中前に抜けそうなゴロを二塁手・遠藤澪が逆シングルで捕ると、二塁ベースに足からスライディングして素早く一塁へ転送し、併殺に。

三回裏、遊撃手からの送球を受けて一塁へ転送し併殺を完成させる遠藤澪。走者・笠原朱里(2026年6月13日、等々力球場) 【©JD.LEAGUE】

ひと息ついた藤本を、さらに野手がもり立てる。二回裏には捕手・元川環が盗塁を刺し、三回表、松葉寧々の2号2ランで逆転。その裏の1死一、三塁ではまたムリポラを遊ゴロ併殺に仕留めた。

藤本は「抜けるかなと思う打球を遠藤さんが止めてくれたり…。きょうも本当に助けてもらいました」というが、序盤は内野ゴロを多く打たせた成果でもあった。「打力のあるチームなので、最小失点に抑えることを目標に、イメージしていた打球を打たせられたのかなと思います」

井上の1発、藤本の1球

五回表、勝ち越し2ランを放つ井上瑞樹(2026年6月13日、等々力球場) 【撮影:若林哲治】

五回には主将・井上瑞樹に勝ち越し2ランが飛び出した。日本文理大から入って4年目でうれしいリーグ初本塁打。フルカウントから「ベース上に来た球を思い切り打つ意識」でいたところへ、「たぶん上がりきらなかったライズ」が来たという。

3勝目を挙げた藤本捺希。完投は今季3度目(2026年6月13日、等々力球場) 【©JD.LEAGUE】

最大のヤマ場はその裏にやってきた。藤本が安打と2四死球などで1死満塁とされ、打撃復調した笠原への押し出し四球、ムリポラの犠飛で追いつかれた。なお2死二、三塁で保谷を迎える。

ここを踏ん張った。低めの変化球をファウルさせて2-2と並行カウントに持ち込み、左腕から左打者の外角低めをかすめるストレートを空振りさせ、同点止まりに。バッテリーが「一番得意にしているボールで三振を取れた」と口をそろえる1球だった。

中西あかね監督も「走者をためると、自分らしくなく投げちゃうところが今年の課題だったんですけど、気持ちが入っていたのかな」と、「らしさ」を活かした投球を評価した。

「相棒」元川のあと押し

七回表、決勝本塁打を放った元川環(2026年6月13日、等々力球場) 【撮影:若林哲治】

粘りに応えるように、七回表に元川が2番手・長谷川鈴夏から中越えに勝ち越し2号ソロを打ち込む。回が押し詰まって同点、先頭打者、フルカウント。「狙ってました」と満面の笑みを振りまいた。

捕手としても、五回を終えたあと、ベンチで藤本に「ちゃんと自分の投球をして」と声をかけたという。藤本も保谷への1球で自分を取り戻し、六、七回を3人ずつで終わらせたのが、終盤の勝因になった。

喜び合う藤本捺希(左)、元川環のバッテリー(2026年6月13日、等々力球場) 【©JD.LEAGUE】

「ここでどれだけやり切れるか」

東海理化は前節を終えて3勝15敗の8位、前の試合まで6連敗しており、多くが大敗だった。プレーオフ進出(4位以内)は非常に厳しい状況に立たされていたが、中西監督は言う。

「負けているからと崩れても駄目だし、自分たちがやるべきことは何か、こういう時にどれだけやり切れるかということを大事にしないと、来季につながらない。その意味ではみんな気持ちを切り替え、集中してゲームに入ってくれている」

ビックカメラ高崎戦に臨む東海理化ナイン(2026年6月14日、等々力球場) 【©JD.LEAGUE】

ミーティングでは選手たちが考え、話し合うことを見守っているという。前節までミスが多かった守備も「自分たちで併殺を取りにいくポジショニングをしてくれたし、どうしなきゃいけないのか考えてくれていた」。

前夜は野球部が、都市対抗野球大会東海地区2次予選第3代表決定戦で、ジェイプロジェクトに3-4でリードされて迎えた九回裏、逆転サヨナラ勝ちで2年ぶりの出場を決めた。「遅くまで見ていた子もいるんじゃないかな。そういう、あきらめない姿を知っていますから」

ナインを支えるモチベーション

14日はビックカメラ高崎のカーリー・フーバーから吉田菜々、繁田幸奈の連打などで先手を取った。先発・永谷真衣が藤田倭ら歴戦の打者たちに反撃され、1-4で敗れたが、リリーフした藤本が3回を無安打無失点に抑え、守備陣も俊敏な動きを見せた。

井上は「苦しい試合が続いていて、落ち込んだところでまた次の試合もあるし、切り替えが難しいんですが、会社やファン、保護者の方たちが変わらず応援してくださるので、ここで沈んではいけないと。自分たちのやってきたソフトボールを続けることで、いい結果につながるんじゃないかと、総力で戦おうと言っています」と話す。

ビックカメラ高崎戦の二回、先制点につながる安打を放つ吉田菜々(2026年6月14日、等々力球場) 【撮影:若林哲治】

神奈川は日立の地元で、ビックは人気チーム。劣勢かと思われたスタンドで、東海理化の応援団やファンも負けじと声援を送った。

藤本は「その人たちの前で思い切りプレーして勝って、喜んでいただける姿が私たち自身の力にもなるので、そこを一番の目標にしてやっています」と、今のモチベーションを語る。

この2日間でやってみせた試合、見てもらえたプレーを、残る日程の中でどれだけ再現、継続できるか。どのチームにも、どんな状況でも、忘れてはいないものがある。

若林哲治(元時事通信記者)
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