【ソフトボール】5季連続「秋の決戦」へ、ホンダと日立のサバイバル戦 JDリーグ

SGH戦で粘り強く投げた新宮怜美(中央⑰)とホンダの選手たち(2026年6月6日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【©JD.LEAGUE】

女子ソフトボールのニトリJDリーグ2026は交流戦の半分が終わった。ポストシーズンへ進める「4位以内」をめぐり、熾烈なサバイバル戦が佳境に入った。東地区ではJDリーグ元年以来のポストシーズン常連、ホンダと日立も息をつけない戦いを続けている。

ホンダの山口、2戦連続の千金アーチ

5号3ランを放ってホームベースを踏む山口未葵(2026年6月6日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【撮影:若林哲治】

ホンダは第7節を終えて9勝7敗の4位で西地区の首位を争うSGホールディングス、豊田自動織機との連戦へ。6日のSGH戦は鮮やかな先制攻撃と川畑瞳の攻守にわたるベテランの技、新宮怜美の粘り強い投球で競り合い、5-4で振り切った。

一回、相手の2年目・小川美沙希から大川茉由、川畑の連打と塚本蛍の内野安打で1点。続く山口未葵が中越えに3ランを放った。前のタカギ北九州戦で見せた2発4打点の続きのような一発だった。「ボールが真ん中に来てくれました」と山口。

川畑、貫禄の決勝打と好守

六回に決勝三塁打を放った川畑瞳(2026年6月6日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【撮影:若林哲治】

このあとは永井柚衣への継投にかわされて追加点を取れず、じわじわ反撃された。ついに追いつかれた直後の六回裏、1死から安打の大川を置いて川畑が一塁線を破る勝ち越し三塁打を放つ。「つなごうと必死でした」と、カウント0-1からファウルを4球続けたあと、低めをとらえた。

七回表の守備でもチームを助けた。無死一塁から遊ゴロを捕った田中愛乃が二塁封殺を狙う。打球が三遊間寄りだった分だけ急いだ送球を、一塁寄りに守っていた川畑がダッシュしながら受けて二塁ベースを駆け抜けた。並の二塁手ならどうだったか。川畑も「やばかったです」と胸をなでおろすタイミングだった。

打線に残った反省

三塁打を放った川畑瞳(中央)と岡野武志監督(左)(2026年6月6日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【撮影:若林哲治】

そのあともピンチが広がり、1死一、二塁で岡野監督はリリーフにアリー・カーダを送る。そのカーダも打たれて1死満塁と一打逆転サヨナラ負けの場面になったが、代打・小西陽菜を投ゴロ併殺に仕留め、なんとか逃げ切った。

山口は「永井に代わった時点でもっと追加点を取っておかないと、こういう展開になっちゃいますね」と、川畑も「相手は必死につないできたし、やっぱり強いチーム。見習うべきところがたくさんあって、自分も含めて対応力とかまだまだです」と反省が先に立ち、それだけに新宮の粘りをたたえた。

上位戦を託された新宮

七回表1死、アリー・カーダ(手前)にあとを託す新宮怜美(2026年6月6日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【©JD.LEAGUE】

新宮は毎回走者を出し、二回に1点、四回にベイリー・クリングラーの本塁打などで2点を返された。六回には無死満塁のピンチ。だが、ここも犠飛による同点止まりに抑え、勝ち越したあとの七回もマウンドに送り出された。

昨季までならもっと早く代えられていた。岡野武志監督は「これまで日本人投手は、成績のあまりよくないチーム相手にしかつぎ込めなかったけど、こうして上位相手にちゃんと試合をつくれるようになった」と評価する。

新宮自身は、先頭打者を多く出したこと、「一番マークしていた打者にホームランを打たれて流れが変わったので、攻める中でもいい打者にはしっかり広くいくこと」を反省点に挙げたが、次は上位相手にも最後まで「投げます」と力をこめた。

守備の引き締めが急務

豊田自動織機戦で戦況を見つめるホンダベンチ(2026年6月7日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【©JD.LEAGUE】

翌日の豊田織機戦は先発・カーダが2本塁打を喫して先手を取られ、打線は山下千世から川畑の2ランによる2点だけ。走者が出てもつなぎ切れず2-4で振り切られたが、西の上位3チームとの対戦を終えて4位をキープしている。

気になるのは、増えてきた守備のミス。膝を痛めている吉田彩夏と2年目・田中の遊撃守備範囲の差は目をつぶるとしても、他の野手がトンネルや送球・返球ミスなどで余計な得点や進塁を許している。

交流戦の残り4試合を勝ち越して前半戦を終えるためには、打線の「あと1本」とともに、守備の再点検が欠かせない。

7位に後退していた日立

6日のSHIONOGI戦で完封した長谷川鈴夏(右)(2026年6月6日、宇津木スタジアム) 【©JD.LEAGUE】

日立は交流戦最初の第7節で豊田織機に勝ち、SGHに負けて6勝10敗の7位。あとがない状況で今節の高崎ラウンドを迎えた。

6日はSHIONOGIから小島あみの代打適時打と杉浦穂華の2号ソロで2点を挙げ、長谷川鈴夏が三輪さくらに投げ勝って完封。7日は、ビックカメラ高崎を倒して意気揚がる伊予銀行と、連勝を懸けて対戦した。

小島が満塁弾、代打で連日の殊勲

伊予銀行戦で満塁本塁打を放った小島あみ(2026年6月7日、宇津木スタジアム) 【撮影:若林哲治】

一回に笠原朱里と堀口佳乃の二塁打で2点を奪うと、1点差とされた直後の三回裏には無死満塁で代打・小島。「外の速い球」を左中間へ運び、満塁アーチをかけた。

カウント1-1後に同じような球をファウルして追い込まれていた。振り遅れに見えた左方向へのファウルを、小島自身は「引っ張りが多かったんですけど、なんか引き付けられている感じがして、スイングも嫌じゃなかったので、次も思い切って振ろうと思っていた」。バッテリーが1球外したあとの5球目が、そこへ来た。

代打で連日、貴重な1本を打った。本人は「代打はまだ全然慣れていないです」というが、村山修次監督は「先発でも代打でも信頼しかない。やっぱり大事なところで打ってくれます」と頼りにする。

そろいつつある打線の「顔」

第5節から1番DPに入っている杉本梨緒(2026年6月7日、宇津木スタジアム) 【©JD.LEAGUE】

日立打線は庄司奈々をKOしたあとも伊予銀行投手陣を攻め立て、杉本梨緒と堀口の本塁打などで12安打11得点。投手陣は坂本実桜、長谷川、奥野心がそれぞれに得点を許しながら、2時間42分かかって11―6で押し切った。

杉本がけがから回復してきて、DPで好調なのが大きい。「守備にもつけるようになるとDPがフレキシブルに使えて、小島を中軸に入れられる」と村山監督。

この日、開幕から苦しんできた笠原にも、今季初めて2安打が生まれた。村山監督は「笠原に調子が出てきたのが、打線では一番大きい」という。

手がかりつかんだ笠原

一回に左中間二塁打を放つ笠原朱里(2026年6月7日、宇津木スタジアム) 【撮影:若林哲治】

開幕当初は「打てる球を見てしまったり遅れてファウルになったり」。その後は「狙い球もなく全部打とうみたいに前へ前へ」迎えにいく内野ゴロが増えていた。

一般的に打者は振り遅れを嫌がるので、前に崩れだすと遅らせる勇気が持てず、復調に時間がかかりがちになる。前節まで6安打、打率.143だった。

一回に先制打を放って二塁へ滑り込んだ笠原朱里(2026年6月7日、宇津木スタジアム) 【撮影:若林哲治】

前日のSHIONOGI戦も無安打だったが、「いい当たりが多くてバットは振れているけど、ちょっと前にいっていると思ったので、うしろで我慢しようと思ったのが1打席目(の左中間二塁打)でした」という。

新主将の重圧はいつも否定するが、果たして心の内はどうか。「ちょっと遅くなりましたけど、大丈夫になった気がします」と、けなげに話した。

「ライン」を超えられるか

伊予銀行戦で1本塁打2二塁打の活躍だった堀口佳乃(2026年6月7日、宇津木スタジアム) 【撮影:若林哲治】

今季は何度も「あとがない」状況に立たされてきた日立。そのつど踏ん張りながら、浮上のはずみまではつけられないまま、レギュラーシーズンは3分の2近くまできた。昨季まで24勝8敗と、ビックカメラ高崎に引けを取らない強さを見せてきた交流戦があと4試合ある。8勝10敗の6位から5割ライン、4位ラインの上に顔を出せるか。

ここでは第8節で見たチームからホンダと日立をクローズアップしたが、全チームが激しい戦いを展開している。昨季の4位だったチームの最終成績は、東の日立が19勝9敗、西のSHIONOGIは15勝14敗だったのに対し、今季の現在4位は東のホンダが10勝8敗で、西のSHIONOGIは8勝10敗と勝率5割を切った。

各監督が「上位と下位の力の差がない」という状況でボーダーラインが下がりつつあり、あきらめる理由はどこにもない。し烈な争いが続きそうだ。

若林哲治(元時事通信記者)
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