【ソフトボール】攻守の穴埋め着々と、豊田織機が西の単独首位に JDリーグ

ホンダ戦で先制2ランを放った久野日奈多(中央右)(2026年6月7日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【©JD.LEAGUE】

女子ソフトボールのニトリJDリーグ2026は6月6~8日、4会場で交流戦シリーズ16試合が行われ、那須塩原ラウンドでは6日に西地区首位タイの豊田自動織機が、東地区単独首位の戸田中央を8-5で押し切った。翌日もホンダを4-2で下し、西地区の単独首位に。攻守にできた穴を埋めようと奮闘する選手たちが、このヤマ場でも成長した姿を見せている。

戸田中央戦でリーグ初本塁打を放つ野上あすか(2026年6月6日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【撮影:若林哲治】

4年目・野上、うれしいリーグ初本塁打

一回、マケナ・スミスが戸田中央の新人・大島萌々子(日本体育大)に9試合ぶりの一発を見舞って2点を先制すると、三回には主将の沢柚妃がリリーフ・増田侑希の代わりばなに2号2ランを浴びせた。

さらに四回、敵失を足場にチャンスをつくり、9番の野上あすかが左越えに大飛球を放つ。左翼手の橋爪ひかりがよく追いついてグラブに当てながら、フェンスごと倒れ込んでボールがこぼれ、3点本塁打に。距離はぎりぎりだったが、終わってみるとこれが「大きい」一打になった。

沢から「インコースを思い切って振っていけ」とアドバイスをもらい、張っていた初球をたたいた。日本体育大から入って4年目で、うれしい初本塁打に。今季は本塁打を打つことを目標の一つに立て、一発を狙うのでなく「ホームランを打てるような練習をしてきました」。
4月に左膝前十字靭帯に重傷を負った山本星のあとを埋めようと、必死に戦う若手の一人。手術を受けてチームを離れている山本からは、配信を見ながらアドバイスをもらっているそうだ。

「欠けている選手のために1勝挙げようという織機はすばらしいチームだと思うので、所属できてうれしいです」「これからも自分自身に期待して、ワクワクしながらやりたいと思います」

マケナ・スミス(右)に抱っこされる野上あすか。本塁打が出た時のパフォーマンス(2026年6月6日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【撮影:若林哲治】

須藤の代役、19歳・久野も連日の殊勲打

戸田中央戦で適時打を放つ久野日奈多(2026年6月6日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【撮影:若林哲治】

レクシー・キルフォイルが岩月優衣の2ランなどで3点を返されたあと、六回には8番・久野日奈多の適時打で突き放し、キルフォイルの完投を助けた。この日は、須藤志歩が5月中ごろから痛めている右ひじの治療で欠場し、代わって二塁に入っていたのが2年目の19歳・久野だった。

永吉監督は「須藤は日本代表もあるので無理させたくないのもあって、少し休ませながらと思って。他の選手はチャンスだし、久野も1本出たので、いろいろ回しながら使ってみます」と、しのぎと底上げの両にらみで手綱をさばく。

翌7日のホンダ戦は、その久野が二回にアリー・カーダから先制の2号2ランを放つ。竹中真海に自己最多となる5号が出たあと、3-2と迫られてから六回に貴重な追加点を挙げたのは、野上の適時打だった。

強いところを全力で

戸田中央戦に完投して5勝目を挙げたレクシー・キルフォイル(2026年6月6日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【撮影:若林哲治】

選手たちは「東のチームとは1回限りなので、すべての力を出し切って勝利に導こうと話している」(野上)という。

それは投手の組み立てにも表れている。捕手の池上桃花は、戸田中央戦のキルフォイルの投球をこう話した。「最初から持っているものを全部出していこうと。こちらの強いボールが相手打者の強いところになる可能性もあるけど、投げきれることを信じて」

特に外国人投手の強い球は、ともすれば強打者のポイントと重なり、この日は後半に疲れもあって2発を浴びたが、池上は「他の球をうまく振らせておいて、強いところ同士がぶつかっても相手のバットが出にくいような組み立て」も工夫したそうだ。

背負ったものを乗り越えた山下

ホンダ戦に粘って完投勝ちした山下千世(2026年6月7日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【©JD.LEAGUE】

ホンダ戦も山下千世が投げ切った。先頭打者への死球あり、2死からの連続四球あり、四球のあとの一発ありと9四死球を出して147球を要したが、踏ん張った。これで今季6度目の完投。継投が当たり前の時代にあって、チームはこれで9試合続けて先発が完投した。

昨季の後半から成長を続ける山下は、池上にどう映っているか。「去年と違って、今年は初め、背負いすぎてしまうところがあった」という。長年頼ってきたダラス・エスコべドが抜けた重圧は、計り知れないものがあったはずだ。

「そこを乗り越えて今があると思います。フォアボールやデッドボールを与えても、そんなに気にせずどんどん投げてくれるので、2人で攻め続ける気持ちを忘れずにできているかなと」。ホンダ戦も、四死球の次の打者にボール球が続くことなく、少なくとも2球目にはストライクを取っていた。

ベンチでデビー・シュナイダーコーチ(左)、レクシー・キルフォイル(手前)と話す池上桃花(2026年6月6日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【撮影:若林哲治】

堀脇千晴、浅井茉琳も投げたいだろう。「4人の投手はタイプも性格も違うので、配球だけじゃなく一つ一つのボールや、ジェスチャー、動作を見逃さないように、少しでも変化があれば声かけを意識して、攻めたボールを投げられるように心がけています」と池上。

先制点に表れる集中力

JDリーグ5年目で「絶滅」しつつあるWOWポーズも豊田織機では健在。左から野上あすか、マケナ・スミス、沢柚妃(2026年6月6日、石川スポーツグラウンドくろいそ野球場) 【©JD.LEAGUE】

7日には沖縄ラウンドでトヨタがデンソーに0-6で敗れたため、西地区の単独首位に立った。ここまで18試合中15試合で先制しているように、「最初から全力で」という集中力が打線にも感じられる。

永吉監督はこれまでも、「うちはたまたま」と謙遜しつつ、「上にいることが大事」と引き締めてきた。野上、久野、新人・岡柚月(城西大)ら若手とスミス、竹中、沢、大平あい、池上ら実績組がさらにかみ合った形で、前半戦の残り交流戦4試合を戦いたいところだ。

若林哲治(元時事通信記者)
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