不登校35万人時代 泉佐野市の支援施設を大阪体育大学生がメンタルフレンドとして支える 「『学校に行くことが正しい、不登校は間違い』ではない。一人ひとりの個性や良さを発揮できるかどうかが大切」
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学生メンタルフレンドの6割以上が大体大生
メンバーでいずれも小林ゼミ(体育科教育コース)の李泰然(い・てよん)さん(大阪・建国高校)、中村東暖(とうあ)さん(京都・洛南高校)、小作優貴(こさく・ゆき)さん(大阪・渋谷高校)、冨士本美咲さん(大阪・堺西高校)=いずれも体育学部4年=に活動の様子を聞いた。
ゼミの先輩である桒原その子さん(2025年度卒業)から紹介を受けて興味を持ち、4人でボランティアを始めました。ゼミ活動でも小中学生と関わる機会が多いことや、自分たちが不登校を経験していないので、教育現場の現実を経験しておきたいとの気持ちもありました。
――どのような施設か
泉佐野市教育支援センターは様々な理由から不登校となっている小中学生にやすらぎの場を提供していて、「さわやかルーム」「シャイン」の2つの施設で活動しています。14人の子どもたちが通っていて元教員の方がセンター長となり、できるだけ小中学校と同じような環境で過ごせるように工夫されています。ただし、施設に通うことは小中学校への出席として扱われるので、勉強もしっかりやります。
学習をサポートし一緒にゲーム 社会見学、卒業式も担当
学習や運動サポート、行事の企画・運営です。平日の午前は学習面のサポートですが、学校や塾からもらった宿題を一緒にやることが多いです。学校に通っていても教室には入らず、別室で宿題をもらって帰る子もいるので、子どもによって宿題は違います。
午後からはグラウンドや体育館で身体を動かしたり、カードゲームなどで遊んだりすることもあります。学校の行事にあるような社会見学、デイキャンプ、マラソン大会、ハイキングなど、子どもが喜ぶようにレクリエーション要素を交えた内容にしながら企画・運営しています。施設の卒業式もメンタルフレンドで担当し、当日は教育長や指導主事の方も来られます。
子どもを一人にしない
不登校になっている子どもは個々に事情が違いますし、初めは信頼関係がないところから作り上げていくので距離感を大切にしています。ボランティアスタッフで子どもたちの連絡ノートを共有していて、自分たちも子どもたちの様子を書いていきますが、不登校になった背景なども分かってくるので、必ず毎回読んで子どもの状況を頭に入れておくことは重要です。「大人数が苦手」「外で遊ぶことが苦手」「周囲に気を使いすぎて疲れてしまう」など、不登校になる理由は様々なので、その気持ちも尊重しながら活動します。慣れてくると子どもたちは自分から遊びに誘ってくれるので、他の子どもと遊んでいる時は他のメンタルフレンドとも相談しながら臨機応変に動きます。施設の方針でもあるのですが、何よりも大切なことは、子どもを一人にしないことです。
――活動していてうれしいことは
入ってきたばかりの子どもは緊張しているのかうまく話せないことも多く、尋ねたことに返事をするだけのことも多いです。話すこと自体が苦手な子もいますが、自分たちが子どもの頃を考えると大人相手にそんなに話せませんでしたし、普通のことだと感じます。様々な子どもたちがいますが、「不登校の子ども」と聞いて感じるマイナスのイメージはなく、本当に普通の子どもたちばかりです。慣れてくると笑顔も増えてきて、どんどん話してくれるようになり、楽しく遊んでいる様子を見ているとこちらもうれしいです。
教育現場で考えればクラス単位ではなく、どれだけ生徒個人を見ていくかだと思います。子どもたちと話していると、一度のきっかけよりも、いくつもの蓄積で不登校になることが多いように感じます。難しいことだとは思いますが、早い段階でそれに気付ければ不登校を防ぐことができると思います。
それでも不登校を完全に防ぐことは難しいですし、なったとしてもだめなことではありません。学校復帰を希望する子どもなら、教室以外にも居場所を作りカウンセラーを配置するなど、教室に入れなくてもまずは学校に行ける状況を作ることが大切だと思います。
また、教育支援センターには、子どもたちの学校の担任が来て、一緒に活動することもあります。子どもたちにとって「学校はちゃんと見てるよ」「見捨てないよ」というメッセージにもなっていると思います。
学校復帰を希望しない子どもも、ここに来ることで学校の出席としてカウントされるので、勉強もできますし、学校と同じように社会見学などの行事も経験できます。規則正しく生活することは大切な習慣なので、学校に行かなくてもそれに替わるような環境を大人が整えることが大切だと思います。
教員志望者にもそうでない学生にも将来に活きる実体験
小林ゼミ内では教員志望者が多いですが、実際に教育現場を経験し、個人としっかり向き合うことの大切さを学べました。それと同時に不登校問題はなかなか答えの出ない課題だと思いますが、活動を通して実際に体験し深く考えたことは、将来教員を目指す私たちにとって大切な実体験になります。また、教員志望者でなくても様々な環境の子どもと話し彼らと向き合った経験は、社会人になった時、自分が親になった時の大きな財産になると思っています。
センター長「子どもにとって自分を認めてくれる大切な存在」
当センターはメンタルフレンドが学習支援、卓球やカードゲームなどの活動を通して子どもたちを支えています。メンタルフレンドと卓球をプレーするうちに100回を超えたラリーが続くようになり、それが自信なることもありました。また防災学習の一環として、大阪体育大学生による能登半島地震の被災地でボランティア活動をした体験談や、東日本大震災時の避難生活の話を聴く機会もあります。子どもたちにとってメンタルフレンドは、自分を認めてくれる大切な存在。過去5年間で100名以上の大学生メンタルフレンドのうち6割以上が大阪体育大学生です。今後も多くの学生の皆さんがボランティアに参加してくだされば、うれしいです。
小林准教授「未来の自分への先行投資として行動を」
ゼミ生には普段から「授業やクラブ活動以外の空き時間をどのように過ごすのかが重要」と話していて、時間を無駄にせず未来の自分への先行投資の気持ちで行動してほしいと思っています。今回のボランティアについても、学生らが自主的に取り組んでいる活動です。これからも先輩・後輩・同期のつながりを大切に、地域の子どもたちと関わってほしいと思います。
<キーワード> 不登校支援 教育支援センター メンタルフレンド 学生ボランティア 大阪体育大学
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