【選手がレポート!猿レポ】NTTリーグワン2025-26 D2 第14節 対日野レッドドルフィンズ戦

チーム・協会
初めましての人もこんにちは。
試合後レポート(猿レポ)を担当させていただきます、プロップの猿渡です。

5月9日(土)、NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26 ディビジョン2第14節、 日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD )との試合が宮崎県にある“KUROKIRI STADIUM”で行われました。

【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

リーグワン開幕の12月から、今回の最終戦となる5月まで全力で走り抜いてきました。
厳しい寒さの冬を越え、季節は春へ。
桜も散り、初夏の空気を感じる頃となりました。
ヴォルテクスのホストゲーム最終戦の舞台は、昨シーズンと同じく宮崎県・KUROKIRI STADIUM。
ヴォルテクスにとって負けなしを誇る特別な場所。
泣いても笑っても、今のメンバーで戦えるのはこの試合が最後。
だからこそ、最後の一秒まで全力で戦い抜き、その先の来シーズンへ繋げたい。
ここまで共に戦い、支え続けてくれたChargerの皆さん、そしてチームに関わってくださった全ての方々へ感謝を伝えるために。
そして今シーズンをもってチームを去る仲間たちへ、感謝と“勝利”という最高の花を添えるためにも負けられない一戦です。

日野RD戦の試合メンバー 【©Kyuden Voltex】

《試合内容・結果》

ーー 昂る。ーー
最終戦。
負けられない。負けたくない。
勝ちたい。絶対に勝つ。
両チームの熱い想い、意地、覚悟。
その全てがぶつかり合い、会場の空気を震わせていく。
ヴォルテクスの想いはただ一つ。
全員で「躍動」する。
そして、勝つ。
積み重ねてきた全てを懸けて。
仲間と、応援してくれる人たちと共に。
今シーズン最後の試合開始を告げる笛が、力強く鳴り響いた。

試合開始早々、長いインプレーが続く中で一気に日野RD陣深くまで攻め込み、先制トライのチャンスが訪れるものの、日野RDの勢いあるディフェンスの前にあと一歩のところで取り切ることができず。
それでも約10分間もの間、相手陣でアタックを継続し続けたヴォルテクス。
日野RD陣ゴール前ラインアウトからのサインプレーで、ウイングのぺぺサナ・パタフィロ選手にパスが渡ると、迫るディフェンスを引きずりながらそのまま先制トライ。スコアを5-0とします。

ウイングのぺぺサナ・パタフィロ選手 【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

そこからさらに連続トライを奪うべくアタックのギアを上げ、展開を加速させていくヴォルテクス。
しかし、あとほんの少しのところで息が噛み合わず、なかなかアタックを繋げ切ることができない。

日野RDの素早いアップディフェンスにプレッシャーを受けながらも、常にチャンスを狙い続けた前半38分。
ハーフライン付近のラインアウトからBKへ大きくボールを展開し、グラウンドを広く使ったアタックを仕掛ける。
広く、狭くを使い分けることで相手ディフェンスに緊張と緩和をもたらす中、その乱れを見逃さなかったのがスクラムハーフの神田悠作選手。
大きく空いたスペースへ一気に仕掛けてラインブレイクすると、サポートについていたスタンドオフの上里貴一選手へパス。
そのまま走り切ってトライを決め、スコアを12-5とします。
トライ後も感情を爆発させすぎることなく、クールな表情を見せる姿が印象的でした。

このまま前半終了かと思われましたが、終了間際に日野RDにトライを返され、12-5で前半を折り返します。

プロップの鎌田慎平選手 【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

後半開始直後、先にスコアを動かしたのは日野RD。
後半4分、ラインアウトを起点にじわじわと前進を許し、最後は大外でラインブレイクをされてトライ。スコアを12-10とされ、リードを縮められます。

それでも後半9分。
日野RDが高く蹴り上げたボールを競り合う中、地面に転がったボールをヴォルテクスがうまく再獲得。
ボールが転々とすることで密集し、乱れたディフェンスの隙を突いてカウンターを仕掛けます。
前半は似たような場面、あとわずかなところでミスが続き、チャンスを逃す場面も多くありました。
しかしここから細かいパスが繋がり始める。

1人1人が明確なコミュニケーションを取りながらサポートに入り、相手ディフェンスをかわすようにテンポよくパスを繋いで前進を繰り返す。
そして最後はぺぺサナ・パタフィロ選手が勢いそのまま走り切り、この日2本目となるトライ。スコアを19-10とします。

フルバックの竹下拓巳選手 【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

続く後半18分。
日野RDの猛攻を受け、トライラインまで残り1mというところまで攻め込まれるも、ヴォルテクスは懸命なディフェンスでギリギリのところでボールを奪い返すことに成功。
セオリー通りであれば、エリア回復のためにキックで外へ蹴り出す選択もあったかもしれません。
しかし、常に相手の状況を見て判断していたヴォルテクスの選択は違いました。
乱れた相手の立ち位置を見逃さず、逆サイドに大きく空いたスペースを確認。
自陣トライゾーン付近というプレッシャーのかかる状況の中、見事なパスワークでボールを繋ぐと、最後はセンターの吉田輝雅選手へ。
迫るタックルを振り切って一気に加速すると、ついさっきまで長時間ディフェンスをしていたとは思えないスピードで一気に駆け上がる。
さらに追ってくるディフェンスを引きつけながら、スペースとサポートを確認しつつ丁寧なキック。
一度は日野RDにカバーされるも、孤立した相手へ全力で走り込んだヴォルテクスがすぐさまボールを奪い返します。
そして勢いよくサポートに走り込んできたフッカーの村川浩喜選手がパスを受け、そのまま相手タックルを弾き飛ばしながら豪快なトライ。
スコアを24-10とし、リードを広げます。

フッカーの村川浩喜選手 【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

その後、日野RDに1本返されるも後半31分。
ヴォルテクスが連続攻撃を仕掛ける中、スクラムハーフの竹ノ内駿太選手が繰り出したトリックパスに、タイミングよく走り込んだフランカーのコルビー・ファインガア選手が反応。
そのまま一気にラインブレイクすると、しっかりと相手ディフェンスを引きつけながら、サポートについていたプロップの上杉太郎選手へラストパス。
そのまま走り切ってトライを決め、スコアを31-15とします。
個人的には、プロップのトライ。一際嬉しい。

プロップの上杉太郎選手 【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

このままさらに追加点を重ねたいところでしたが、最後まで互いの意地がぶつかり合う展開に。
試合終盤には2連続でトライを奪われるも、最後までリードを守り切り、最終スコア31-25で勝利。

今シーズン最終戦を勝利で締めくくることができ、シーズンを通しての戦績は7勝7敗。
順位も5位という結果でシーズンを終えることができました。

POTM(プレーヤー・オブ・ザ・マッチ)を獲得したぺぺサナ・パタフィロ選手 【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

《個人的見解と来シーズンに向けて》

今シーズン最終戦。
この試合のターニングポイントは、やはり後半の自陣から繋いだあのトライだったように感じます。
長い時間ディフェンスを続け、疲労も溜まる中で、それでも足を止めずにアタックへ切り替え続けた選手たち。

自陣インゴール付近から吉田輝雅選手が一気にビッグゲインを見せ、そこに何人もの選手がサポートで走り続ける。
そして最後は、100m近くを走ってサポートについてきた村川浩喜選手がパスを受け、相手WTBを弾き飛ばしてトライ。
あの場面には、今シーズン積み重ねてきた“サポートの質と厚さ”が詰まっていたと思います。

フランカーのコルビーファインガア選手 【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

さらにこの日は、メンバー外を含め多くのチーム関係者が会場へ駆けつけてくれていました。
その想いも含め、チーム全体の気合いや一体感がいつも以上にプレーへ表れていたように感じます。
苦しい時間も多かったシーズンでしたが、最後にこうして全員で勝ち切れたことは本当に大きい。
この試合、この空気感、この一体感を来シーズンにも繋げて、もっと強いヴォルテクスになれるようにまた積み重ねていきたいと思います。

《今週の裏ストーリー》

今シーズンのヴォルテクスの登録選手は58名。
そこに監督やコーチ陣を含むチームスタッフ26名、さらにフロントスタッフや運営事業部、アカデミースタッフまで加えると、チーム関係者は総勢100名を超える大所帯となる。
その全員の力で今シーズンも走り抜いてきました。

そして58人中の23人。
公式ジャージに袖を通せるのは、その中から選ばれた23名だけ。

中には、シーズン中、一度もそのジャージを着ることなくグラウンドを去る選手もいる。
今シーズン、1stキャップを掴んだ選手もいれば、今シーズン限りでジャージを脱ぐ決断をした選手もいる。
ジャージを着る選手には、このチームを代表する自覚と覚悟が求められる。
たとえ試合メンバーに選ばれたとしても、より良い結果を掴むために、日々ハードワークを積み重ね続ける責任がある。
たとえ試合メンバーに選ばれなかったとしても、一人ひとりの成長は確実にチーム全体のレベルアップへと繋がっていく。
チャンスはいつ巡ってくるかは誰にもわからない。
だからこそ、その瞬間を最大限に活かすために、日々最大限の準備を積み重ね続ける。
今シーズンも、自分たちは長い期間にわたってハードワークを繰り返し、自らを追い込み続けてきた。
努力を積み重ね、コンディション管理にも常に気を配り続けた。
もちろん、思い描いた結果に辿り着けない時もあった。
それでも確実に前へ進んできた。
その積み重ねを、毎週、毎週繰り返してきた。
トレーニングの強度も上がった。
ラグビーへの理解も深まった。
グラウンドでぶつかり合うフィジカリティも、確実に増していった。
あらゆる部分で、このチームは成長し、躍動してきた。
その積み重ねは結果として表れ、今シーズンの戦績は7勝7敗。
ディヴィジョン2昇格後、初めて勝率五分でシーズンを終えた。
さらに、8チーム編成となったディヴィジョン2で5位という結果を残した。
当初掲げていた「ベスト3」という目標には届かなかった。
それでも、年々確実に勝利数を積み上げ、このチームは前進し続けている。

チーム全員が最後まで努力を積み重ね続けたからこそ、掴み取ることができた結果だと思う。
今シーズンを通して得た経験と積み重ねを来シーズンへ繋げ、活かし、新たな目標に向かってさらに成長し続けていく。

プロップのファイアラガ・望・サムエル選手 【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

《グランド外の一コマ》


5月9日の最終戦をもって今シーズンの全日程を終え、九州電力キューデンヴォルテクスとしての2025-26シーズンが終了しました。
それは同時に、“今のこのチーム”で戦う時間の終わりを意味します。

すでに引退を発表している高井迪郎選手。
そして退団を発表している山田章仁選手。
さらに、今後チームを離れる選手たちの発表もあるかもしれません。
だからこそ、まずはこの場を借りて伝えたいです。
本当にお疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。

【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

高井選手は長年キャプテンとして、そしてチームのリーダーとして、見えるところでも見えないところでも常にチームを支え続けてくれました。
ヴォルテクスがディヴィジョン3からディヴィジョン2へ昇格した試合で大怪我を負い、そこから長い長いリハビリ期間を乗り越えての復活。
その姿は、多くの選手に勇気を与えてくれたと思います。
そして迎えた最終戦。
実に3年ぶりとなる先発出場でしたが、ブランクを感じさせない堂々たるプレーで、持ち前のアクティブなアタックと鋭いボール争奪戦を存分に見せてくれました。
残念ながら最後に一緒に試合へ出ることはできませんでしたが、その姿に胸を打たれ、試合後のインタビューでは思わずもらい泣きしてしまったことは、ここだけの秘密にしておきます。

【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

山田選手は、なんと言っても“ドキドキワクワクする選手”でした。
ボールを持てば「何かしてくれるんじゃないか」、そんな期待を自然と抱かせ、その期待を何度も超えるプレーで魅せ続けてくれました。
プライベートでも食事に誘っていただくなど、ラグビーの内外で本当に良くしていただきました。
テレビ越しに憧れて見ていた選手と、こうして同じチームでプレーできたことは、自分にとって本当に特別な時間でした。
そして、通算トライ記録を積み重ねていく瞬間を、同じグラウンドで一緒に喜び合えたこと。
その一つひとつが本当に特別で、自分のことのように嬉しかったです。
日本通算記録に並ぶ109トライを、今シーズン最後の博多の森で決め切る姿。
本当にすごかったですし、最後までたくさんのドキドキとワクワクを与えてもらいました。
来シーズンはチームを離れることになりますが、さらに記録を更新していく姿を見られることを、今からとても楽しみにしています。

そして、お二人をはじめ、これからチームを離れていく選手たちへ。
正直、とても寂しいです。
それでも、一緒にラグビーができた時間は本当に楽しく、かけがえのないものでした。
離れ離れになったとしても、共に汗を流し、身体をぶつけ合い、同じ勝利を目指して戦った“仲間”であることに変わりはありません。
チームが変わっても、場所が変わっても、一緒にラグビーをやってきた仲間という事実は、この先もずっと残り続けます。
この想いはこれから先も絶対に忘れることはありません。
きっと、それは自分だけではなく、チームメイト全員が同じように感じていることだと思います。
本当にありがとうございました。
そして改めて、お疲れ様でした。


《最後に》

今回で2025-26シーズン最後の猿レポになります。
今シーズンからは掲載先も、これまでの九州電力グループのメルマガ限定公開から「Sports Navi」というWEBサイトへと広がり、より多くの方にお届けできる機会をいただきました。
さらに、ヴォルテクスの“公式コラム”として取り扱っていただけたことも本当に光栄で、年を重ねるごとに少しずつでもレベルアップできているのかなと、勝手に前向きに捉えています。笑

そして何より、
「いつも猿レポ読んでるよ」
「次の猿レポも楽しみにしてます」
「猿レポをきっかけにヴォルテクスをもっと知れた」
そんな言葉を本当にたくさんいただきました。
試合会場で、SNSで、街中で。
その一言一言がとても嬉しくて、「書いててよかったな」と毎回感じさせてもらっていました。
どんなことを書けばヴォルテクスにもっと興味を持ってもらえるのか。
どうすれば「次は試合を観に行ってみようかな」に繋がるのか。
そんなことを日々考えながら書き続けたこの時間は、自分にとっても大きな財産です。
シーズンを通して一度も休載することなく書き切れたこと。
それは大きな達成感でもありますし、常に周囲へアンテナを張り、何かを感じ取り、伝えようとする“観察力”も少しは鍛えられた気がしています。
…まぁ、選手として身体を張りながら、締切とも戦っていたので、気付けば“もう一つのリーグ戦”を戦っていた感覚もありますが。笑

一方で私自身はシーズン終盤で怪我による離脱もあり、悔しさの残る時間もありました。
それでも、猿レポだけは最後まで走り切れたことは、自分の中でもひとつの救いであり、誇れることだったと思っています。
そしてここまで続けてこられたのは、本当にたくさんのサポートがあったからです。
このような素晴らしい機会をいただけたこと、関わってくださったすべての方に心から感謝しています。
これからもヴォルテクスの成長を、熱さを、そしてチームの人間味を、一緒に感じていただけたら幸いです。
今シーズンも、本当にありがとうございました。

【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

来シーズンもぜひ会場にて引き続き皆様の熱い応援の程、宜しくお願い致します!
またお会いしましょう!



『猿渡 康雄ってどんな人?』
と思われる方もいらっしゃるかと思いますのでこの場を借りて私のInstagramのURLを貼らせて頂きたいと思います。
興味のある方はぜひチェック&フォローをお願いします!
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著者プロフィール

国内最高峰のラグビーリーグ「リーグワン」に所属するラグビーチーム。九州全域(全県)をフレンドリーエリアとし活動しています。

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