【第17節レビュー】プレーオフ進出決定翌日の福島決戦。コリジョンで劣勢に立ち苦しい展開に
頼れる男・FLマクカランブロディがクラブ50キャップを達成
ここまでケガなどの影響もあり出場機会が巡ってきていなかったHOニック・スーチョンが先発。PR三竹康太もリザーブに入り、後半に出場し初キャップを掴んだ。リーグワンの規定でプレーオフへの出場にはリーグ戦での1試合以上の出場が求められることもあり、対応も図られた面もあったようだ。そこにカテゴリー枠に合わせた調整、負傷者の出たポジションのやりくりやプレータイムの調整などが発生し、これまでから大きくメンバーを入れ替えての一戦となった。
「自分たちのコリジョン(衝突)というのは最初の1分からよくなかったです。ラグビーはコリジョンのスポーツなので、コリジョンをしっかりやれないと戦えない」(タンバイ・マットソンヘッドコーチ)
「僕らも(ポイントは)フィジカルバトルだとわかっていたんですけど、そこを示すこともできなかった」(FL松橋周平)
前半のペナルティは10を数え、それが立て続けにスコアに繋がった。ペナルティの多くはフィジカルが影響する場面で後手に回ったことが発端となっていた。ただ反則を3つに留めた後半は、一定の修正が図れたようにも映った。
「(ハーフタイムは)選手たちとの約束や選手の責任、選手たちがやろうとしていたことをリマインドしただけ」(マットソンHC)
「スコアは気にせず、目の前の仕事をやろうって話をした。そこは少しだけできたのかなとは」(PR笹川大五)
14フェーズを重ねて奪った6分のトライに象徴される我慢強いアタックは、おそらくやろうとしていたものの1つではあるだろう。S東京ベイのディフェンスは80分を通して堅く狙い通りにゲインできたケースは少なく、結果的に1トライに終わったこともあって手応えを語る声は限られていたが、後半に見せたエフォートには選手たちの意地、これまでのゲームで見せてきたものとの一貫性はうかがえた。ここを足がかりに修正し、最終節の東京サントリーサンゴリアス(東京SG)戦でカムバックできるか。
マットソンHCは、同じ東京をホームとするライバルチームとの対戦であることや4位を懸けたゲームであることの重さを認めつつも、今こそシンプルに、いいプレーをすることに集中することが大事だと語る。
「プレーオフに行けるか行けないか、そこが気になってしまっていたのですが、そこに惑わされるんじゃなくて、毎週自分たちのチャンスを掴み続ける。いい準備をし続ける。そこにフォーカスしなければいけない」
昨年12月からの半年にわたる激戦はいったんの節目を迎える。多くの観客動員が予想される会場での、ライバルとの対戦でのフィナーレ。目の前のワンプレーに最善を尽くす80分にできるかがカギとなる。
なお、このゲームでFLマクカランブロディがクラブ50キャップを達成。後半から登場し、この日もビッグタックルでチームのピンチを救った。ワークレート、的確な判断力を強みとし、ここ一番のディフェンスで高い精度を見せるまさに替えの効かない存在。まだまだキャップを重ねていってくれるはずだ。
試合経過
コイントスで勝ったBR東京が南側(メインスタンドから見て右)の陣地を選択。S東京ベイのSOバーナード・フォーリーのキックオフで試合開始。
前半2分[BR東京]
S東京ベイがラインアウトから展開。FL松橋周平が鋭く飛び出しボールを奪いとる。しかし直後の後方へのパスが乱れ、セービングしたところに手が伸びスティールされる。
前半6分[BR東京]
BR東京陣でのディフェンス。NO8リアム・ギルがパスをインターセプト。CTBラメカ・ポイヒピがキックを蹴りトライゾーンで止まりトライラインドロップアウトに。
前半9分[BR東京]
S東京ベイ陣22m内に入りフェーズを重ねるとS東京ベイにノットロールアウェイ。正面やや左、15m付近のPGをWTBメイン平が成功させて3-0と先制。
前半12分[BR東京]
BR東京はリスタートキックを確保するが、直後のラックでスティールを狙われ反則。PKで前進され、S東京ベイがモールでトライを狙う。押し込まれる中、オフサイドポジションから密集に加わったとして、映像確認を経てSH高橋敏也にイエローカードが出る。
前半15分[S東京ベイ]
BR東京陣22m内のスクラムから左を攻め、エッジを破ったWTB木田晴斗がトライ。SOバーナード・フォーリーのCVも成功し3-7。
前半18分[S東京ベイ]
BR東京はリスタートキックをチェイスしプレッシャーをかけるが反則。ハーフウェイ付近のラインアウトから左エッジをWTB木田晴斗が突破。NO8マキシファウルアにトライ。CVも成功し3-14。
前半22分[S東京ベイ]
BR東京のリスタートキックがデッドボールラインを割る。S東京ベイはセンタースクラムから右に出し、裏へキック。処理するも右サイドの5mスクラムに。広いサイドに出してWTBハラトア・ヴァイレアがトライ。CVも成功し3-21。
前半24分[BR東京]
一時退出していたSH高橋敏也がピッチに戻る。
前半26分[S東京ベイ]
BR東京はS東京ベイ陣浅めでアタックするがスティールを許す。BR東京陣浅め左サイドのラインアウトは、走り込んだSH岡田一平に渡し抜けるとエッジのHO江良颯に繋ぎトライ。WTB西川大輔がプレッシャーをかけたCVは左ポストに当たる。また30秒も超過しており不成功。3-26。
前半29分[S東京ベイ]
BR東京はS東京ベイ陣22m内右のラインアウトから攻めるが、クリーンアウトで反則。S東京ベイはハーフウェイ左のラインアウトから展開し、中央のギャップをFLメルヴェ・オリヴィエが抜ける。CTBリカス・プレトリアスに繋いで左中間にトライ。CVも成功し3-33。
前半31分[BR東京]
SH高橋敏也がS東京ベイ陣10m付近左中間からキック。ゴール前で弾みタッチを割る好プレー。だがS東京ベイは一瞬の間を空けてクイックスローイン。蹴り返されエリアを戻される。
前半40分
S東京ベイはBR東京陣10m右のラインアウトから展開。左サイドを走り前に出るが、トライライン間際でノックフォワード。ホーン後、BR東京はスクラムをキープしてタッチに出す。3-33で前半は終了。
後半0分[BR東京]
BR東京のキックオフで後半開始。FLフィリックス・カラプをマクカランブロディ、CTBラズロー・ソードを栗原由太、PR津村大志を西和磨に入替。
後半2分[BR東京]
ハーフウェイ付近のS東京ベイのスクラムにプレッシャー。1番側から崩し反則を奪う。
後半6分[BR東京]
S東京ベイ陣でアタック。さらにオフサイドを誘い22m内に侵入。ワイドにボールを動かし14フェーズを重ねると右サイドにFBアイザック・ルーカスがトライ。CVは不成功も8-33とする。
後半9分[BR東京]
BR東京は自陣で相手のラインアウトを奪いアタック。SO伊藤耕太郎の仕掛けから攻めるがノックフォワード。
後半12分[BR東京]
HO大内真をニック・スーチョンに入替。
後半14分[BR東京]
ハーフウェイ付近のアタックでパスが乱れターンオーバー。WTBハラトア・ヴァイレアに走られたが、この日クラブ50キャップを迎えたFLマクカランブロディが倒しノックフォワードを誘う。
後半17分[S東京ベイ]
BR東京は自陣でSH岡田一平の球出しにプレッシャーをかけたがオフサイド。左ゴール前ラインアウトにされ、モールでNO8タイラー・ポールにトライを許す。CVも成功し8-40。
後半18分[BR東京]
PR笹川大五を三竹康太に入替。
後半24分[S東京ベイ]
BR東京陣22m、右中間のスクラムから右展開。エッジを破り右隅にWTBハラトア・ヴァイレアがこの日2本目のトライ。CVも成功し8-47。BR東京はLO山本嶺二郎を山本秀に入替。
後半26分[BR東京]
ハーフウェイ付近でキックと大胆なランで相手を動かしワイドにアタック。いいテンポをつくるがブレイクには至らず。
後半28分[BR東京]
SH高橋敏也をTJ・ペレナラに、WTBメイン平を中楠一期に入替。中楠がSOに、SO伊藤耕太郎がWTBに。
後半29分[BR東京]
BR東京は自陣ディフェンス。HOニック・スーチョンがタックル後、相手を乗り越えサポートを排除しターンオーバー。オフサイドも誘う。
後半39分[S東京ベイ]
S東京ベイはBR東京陣中盤左のラインアウトから順目にアタック。折り返して左サイドの山田響に繋ぎトライ。CVは不成功も8-52。
後半40分[BR東京]
PR三竹康太が脳しんとうの確認のため一時退出。笹川大五が再びピッチに入る。S東京ベイ陣10m付近、右中間のスクラムから攻め、SO中楠一期が左中間をブレイクし22m内へ。FLマクカランブロディが右中間トライラインに迫ったが倒され、S東京ベイのHOマルコム・マークスがスティール。タッチに出しノーサイド。
会見
スコアボードはひどいものでした。スコアボード通りのパフォーマンスだったと思います。クボタさん(S東京ベイ)のようなトップチームと戦うとき、3%でも自分たちらしさを欠いていると戦うのがすごく難しくなる。ほとんどのエリアで、いろいろな要素で負けていたかなと。残念ながら、自分たちのコリジョンというのは最初の1分からよくなかったです。ラグビーはコリジョンのスポーツなので、コリジョンをしっかりやれないと戦えない。本当に残念なパフォーマンスでした。サントリー(東京SG)さんと戦うまで7日間ありますので、そこにフォーカスして。ほかにもたくさんやることがあると思いますが、向かっていきたいと思います。
また今日は(FLマクカラン)ブロディが今日50試合目でした。50キャップ。クラブにとっても、彼にとっても、すごく大事なマイルストーンだったと思います。その点には触れておきたいと思います。ありがとうございました。
FL松橋周平
今日はありがとうございました。福島の地でのホストゲームに多くの方々に来ていただいたこと、いろいろなサポートしてくださった方々に感謝します。試合はヘッドコーチが言った通りひどかったので、言い訳はできません。僕らも(ポイントは)フィジカルバトルだとわかっていたんですけど、そこを示すこともできなかったですし、自分たちより順位で上の相手に対して精度だったりディシプリンだったり、自分の仕事する意識っていう部分が欠けてしまうとネガティブなことが続いてしまう。僕らはポジティブなことをスタックしていかなきゃいけないんですけど、相手のプレッシャーを受けたり、自分の仕事ができなかったり、フィジカルにいけなかったりすると、こういう試合になってしまう。いい学びだったと思っています。来週、修正するチャンスがあるので、自分たちのパフォーマンスをもっと示して、精度を上げて、どんな相手にも自分たちのラグビーを一貫してできるように。リーダーとして引っ張っていきたいと思います。
——ハーフ団を今シーズン初めて入れ替えた。狙いと彼ら2人の出来について
マットソンHC:よくプレーしてくれたと思います。今日はHOニック・スーチョンがプレーオフに出場する資格を得るための対応などがありました。SH TJ(・ペレナラ)はレジリエンスを見せて毎試合出てくれていますが、ナンバー2の(SH高橋)敏也が長い時間のプレーができていないということもあり、その機会をつくることも大事だと考えました。よくやってくれたと思います。(SO伊藤)耕太郎もそういう立場だったので、同じですね。
——どのようにゲームをコントロールしようとしていたか
松橋:プランとしては風上だったので、しっかりキックを蹴って、相手がランしてくるのに対して自分たちのディフェンスをするというのと、自分たちがボール持ったときは正しいエリアでプレーするというのがあったんですけど、風上だったんですけど自陣にいた感覚があって。ペナルティが続いて自陣になってしまったり。SHも欠けてしまい、なかなか自分たちのラグビーをやるのは難しくなってしまった。
——試合前にプレーオフ進出が決定した
マットソンHC:クラブとして初めてプレーオフに進出するということで、とても誇りに思っています。ただ、プレーオフでいいプレーがしたいというのがもちろんあるので。今日、トップチームを相手にいいプレーをするには、改善しないといけないことがたくさんあると証明されました。自分たちにとっては大きなチャレンジだと思います。来週も同じ東京のチームとの大事なゲームです。サントリー(東京SG)さんは大事なライバルだと思っているので。4位になるチャンスもあります。
ただ、そういうことより重要なのは、いいプレーを見せるチャンスだということ。最近、いいプレーができていませんが、それがちゃんとできるかがすごく重要になってくるかなと。プレーオフにいけるかいけないか、そこが気になってしまっていたのですが、そこに惑わされるんじゃなくて、毎週自分たちのチャンスを掴み続ける。いい準備をし続ける。そこにフォーカスしなければいけない。その点で先週、今週のパフォーマンスというのは残念だったかなと思います。16試合くらい一貫性を見せてきただけに。そういう意味でも、サントリー戦はすごく大事だと思ってます。
——疲れが溜まっている時期かと思うが、準備をしていて違和感などは
マットソンHC:みんな同じだと思うので。ここ3試合ぐらいは怪我人もすごく増えていて、来週のセレクションにも影響はあるのかなと思っています。まあ、それもどこでも同じですよね。でも、今が1年で最もエキサイティング。1つの勝ち、1つの負けが結果を大きく左右しますから。
——後半の入りに少しチームが勢いを取り戻した。ハーフタイムには厳しい言葉も?
マットソンHC:そんなことはないかな。普通? そのもう1個上ぐらい。選手たちとの約束や選手の責任、選手たちがやろうとしていたことをリマインドするのはヘッドコーチとしての仕事。それをしただけです。(松橋に)大丈夫?
松橋:そうです。
次節案内
「今が1年で最もエキサイティング。1つの勝ち、1つの負けが結果を大きく左右しますから」(マットソンHC)
指揮官もクライマックスを前に気合い十分だ。期待を背負い、プレッシャーを感じ、多くの人々の前でラグビーができること。その感謝と誇りを胸に。BR東京は自分たちの歴史を変える戦いに突入する。
文:秋山 健一郎、リコーブラックラムズ東京
写真:川本 聖哉、リコーブラックラムズ東京
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ