生き残りへ。課されたミッションは「3トライ差」

静岡ブルーレヴズ
チーム・協会
ジキルとハイド、という言葉が頭をよぎった。

「やっぱりレヴズは強いぞ!」というワクワク感と、「うーん…」という不安のドキドキ感。

24日、秩父宮ラグビー場で行われたナイトゲームの浦安D-Rocks戦で、ブルーレヴズはふたつの顔を見せながら、勝点5で勝ち切ってみせた。

この日、レヴズに課されたミッションは「勝点5を取る」。

前節の敗戦で自力での6位確保が消え、あとは上位チームの敗戦を待ちながら、勝点5で勝ち続けるしかない。できることは、前節の試合後の会見で藤井監督が口にした「トライをたくさん取って勝つことだけ」。レヴズ戦士はそれを理解していた。

そして最高のスタートを切った。

序盤の自陣ゴール前、浦安の猛攻を集中したディフェンスで耐え、敵陣深くに攻め込む。

9分、相手ゴール前スクラムでプレッシャーをかけ、アドバンテージを得てボールを動かしNo8マルジーン・イラウアがトライ。

17分には左ラインアウトから鮮やかな右オープン展開→内返しで6試合ぶり先発のCTB岡﨑 颯馬が抜け出してトライ。

22分にはスクラムからFWが次々と縦突破を繰り返し、7次攻撃でLOジャスティン・サングスターがトライラインをこじ開けた。
これで相手にトライ3差。この差をキープしていけば勝点5は取れる。

大事なのは安心せずに攻め続けること。

この夜のレヴズは緩めなかった。

29分、再び相手ゴール前へ攻め込む。いったん落球、相手が大きくキッククリアしてハーフウェー付近までボールを戻されるが、必死に戻った岡﨑 颯馬が何とかボールを拾い、相手プレッシャーを受けながらWTB山口 楓斗へ、さらにマロ・ツイタマとボールを繋ぐ。

そこでパスを受けたのがSO奥村 翔だった。

司令塔の背番号10をつけてはいるが、本来のポジションは「走り屋」のWTB/FB。その走力がいきなり炸裂した。止めに来た二人のタックルの真ん中を豪快に突破すると、最後のタックラーをスピードで振り切ってゴールポスト真下にトライ。自らコンバージョンも決め、28-0とリードを広げた。

ディフェンス二人を見事に抜き去った奥村 翔のトライ 【Photo by SHIZUOKA BlueRevs/Yuuri Tanimoto】

「今週は良い準備ができた。夜のキックオフに合わせてナイター練習もしたし、試合前のウォームアップもすごく良かった。すごくエナジーを感じたよ」とゲームキャプテンのピウタウは胸を張った。

この日先発予定だったクワッガ・スミス主将は二日前の練習で足首をひねり、大事を取って欠場。だが闘将の不在という不安要素は逆に、危機感としてチームを締めた。通常よりも試合間隔が一日短いショートウィーク、遠征先でキックオフまでの長い時間を過ごさなければならないビジターでのナイター試合……難しい要素が多く重なったことも、むしろ集中力を高めるファクターとして作用した。

「ホテルで過ごす時間が長くなってしまうけれど、そこはみんなで集まってコーヒーを飲んだり、起きる時間を遅くしたりして、うまく時間を使えた。チャーリー(ピウタウ)が言ったように、ウォームアップは今シーズンで一番良かった。コーヒーを飲むのがいいのかな(笑)」と藤井監督は試合後に笑ってみせた。

試合後の藤井 雄一郎監督 【Photo by SHIZUOKA BlueRevs/Yuuri Tanimoto】

理想的な展開は後半に入っても続いた。

折り返した後半4分。相手ゴール前ラインアウトからのアタックで、岡﨑に代わってピッチに入ったばかりのセミ・ラドラドラが後方から閃光のスピードで走り込んでディフェンスを切り裂きゴールポスト下にトライ。35-0とリードを広げる。トライ数は5差。ボーナスポイントには「2」の貯金ができた。

だが、隙のない戦いを見せたのはここまでだった。

次のキックオフから攻め込まれ、6分に初トライを許すと19分にもトライを許し、その後も自陣に攻め込まれる時間が続く。

31分には自陣ゴール前で何とか相手の攻撃をしのいだと思ったら、スクラムでまさかのコラプシングを取られ、速攻でトライを献上。

トライ差は2となりボーナスポイントが消滅した。

手中にしたかに見えたボーナスポイントが一時消えた 【Photo by SHIZUOKA BlueRevs/Yuuri Tanimoto】

前半から後半早々までの攻撃力、集中力がどこかへ行ってしまったような展開。

今季の第3節、同じ浦安を相手にまさかの黒星を喫したヤマスタでの悪夢が頭をよぎる。

ここでボーナス点を逃したら、たとえ勝てたとしてもプレーオフに届く可能性はほぼなくなってしまう…。

しかし、レヴズはそこからよみがえった。

「ベンチから来たメンバーが良いエナジーを運んできてくれた」とピウタウ。

後半34分、途中出場のリッチモンド・トンガタマ―ラドラドラと繋いだパスを受けたこちらも途中出場のWTB杉本 海斗がパスダミーで相手をかわし、後方からのタックルを弾き飛ばして左中間へ、ボーナスポイント復活のトライ。

4試合目の出場となる杉本 海斗が値千金のトライ 【Photo by SHIZUOKA BlueRevs/Yuuri Tanimoto】

「点差のことは気にしないで、自分のやるべきこと、タックルと運動量だけを意識しました」

プレッシャーを考えず、ゲーム全体のデザインを気にせずがむしゃらにプレーする選手の存在が、崩れかけたチームに芯を取り戻させたのかもしれない。

レヴズはさらに4分後、奥村の好キックで相手ゴール前ラインアウトに持ち込み、ラインアウトからの展開でWTBツイタマがトライ。
タイムアップのホーンと同時に浦安にもう1トライを返されたが、最終的にトライ数は7-4。レヴズは3差で逃げ切り、ボーナス点つきの勝点5を獲得した。

「今日は5ポイントを必ず取らないといけない。最後はバタバタしたけれど、5ポイント取ることが大事。前半は良くて、後半は悪かったけど、次へもう一歩進むことはできた。また1週間頑張って、練習していきたい」と藤井監督は言った。

見ているのは前だけだ。

試合中に見せた二面性は反省材料と承知しているが、この日のミッションは「5ポイント」がすべてなのだから、達成だ。

プレーオフへの可能性を繋ぐためのノルマは果たした。

一週間後に再び秩父宮へ。プレーオフへの挑戦権はまだ持ったままだ 【Photo by SHIZUOKA BlueRevs/Yuuri Tanimoto】

ただし、プレーオフ進出を見据えているのはレヴズだけではない。

レヴズがD-Rocksを破った翌25日は、イーグルスがブレイブルーパスに50-26で大勝。勝点を26に伸ばし、入替戦圏脱出ばかりか、プレーオフへの可能性も繋いだ。

さらに26日には、ヴェルブリッツがブラックラムズを40-28で破り、同33として再びレヴズを抜き返した。

残り2節、プレーオフ進出を決めているのはまだ上位の3チームだけ。残り3枠を、4位のブラックラムズから5位サンゴリアス、6位ブレイブルーパス、7位ヴェルブリッツ、8位ブルーレヴズ、9位ヒート、10位イーグルスまで、実に7チームが争っている。いまだ、あらゆる可能性が残っていると言っても大袈裟ではないだろう。

レヴズから見れば、イーグルスがブレイブルーパスを勝点ゼロに封じて勝ってくれたおかげで、ブレイブルーパスを抜ける可能性が出てきた。その恩返しのためにも、次節はレヴズもブレイブルーパスを勝ち点ゼロに封じて勝ち、最終節、イーグルスとの決戦に繋げたい。

いずれにせよ、取れるだけトライを取って勝つだけ。崖っぷちに追い込まれているのは承知の上。

トライアウト。度重なる骨折。炭鉱労働。トラック配送業……平坦ではない道のりを歩んできた選手が並ぶレヴズは、追い込まれたときに強いはずだ。

あと2戦、後のない、ヒリヒリする戦いを楽しもう。

(大友信彦|静岡ブルーレヴズ公式ライター)

【(C)SHIZUOKA BlueRevs】

  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

JAPAN RUGBY LEAGUE ONEに参戦している静岡ブルーレヴズ(旧:ヤマハ発動機ジュビロ)の公式アカウントです。 「静岡ブルーレヴズ/SHIZUOKA BlueRevs 」というチーム名には、変わらない為に変わり続ける、伝統を受け継ぎ、なお「革新」を恐れない精神を象徴する “Blue” と、困難な目標にワクワクして挑み、高ぶる「情熱」を象徴する “Revs”が、一体として込められています。また、ホストエリアとなる「静岡」に貢献し、愛されるチームとなるべくその名を冠しています。 いままでヤマハ発動機ジュビロとして築き上げてきた伝統や技を活かしながらも、新たな挑戦とともに静岡から、心躍る最高の感動を世界へと届けていきます。 静岡ブルーレヴズの活躍にぜひご注目ください。

当サイトには一部アフィリエイトリンクが含まれています。

リンクから商品・サービスをご購入いただいた場合、スポーツナビに収益が発生することがあります。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント