【ソフトボール】打撃でも「PIECE」に 日立の杉浦、連敗止めるサヨナラ打 JDリーグ第2節

大垣ミナモ戦の八回裏、サヨナラ打を放つ日立の杉浦穂華(2026年4月18日、UDトラックス上尾スタジアム) 【撮影:若林哲治】

女子ソフトボールのニトリJDリーグは17~19日に第2節の東西地区シリーズ計19試合が行われ、東地区の上尾ラウンドでは18日に日立が大垣ミナモを延長八回5-4のサヨナラで下し、開幕からの連敗を3で止めた。殊勲打を放った杉浦穂華は、守備と走塁の人から打撃でもチームの「PIECE」になろうと、6年目のシーズンに臨んでいる。

日立で初の4番、小島が逆転3ラン

一回裏、逆転3ランを放つ小島あみ(2026年4月18日、UDトラックス上尾スタジアム) 【撮影:若林哲治】

第1節でビックカメラ高崎とホンダに連敗した日立は、今節も17日の戸田中央戦を0-5で落としている。ともに3連敗で迎えたこの試合、先発・奥野心が立ち上がりに1点を失った。
しかしその裏、日立に来て初めて4番に入った小島あみがエヴァ・フォールトマンから中越えに3ランを打ち込み、逆転する。初球が高く外れたあと、低めを強振してファウル。3球目も続いた低めを、しなやかに運んだ一発だった。「ライズ系がボールになっていたので、低く来るかなと。ファーストストライクを振りにいけたのがよかったです」と小島。
不動の4番だった山内早織が抜けた打線にあって、有力な4番候補だ。「準備はしてきたつもりなので、ようやく回ってきたと思いました。でも、誰が出ても一人ひとりがその時に応じた仕事をすれば、きょうみたいな試合ができると改めて思いました」

3ランを放ち、第1節で4番を打った保谷蓮(右)と抱き合う小島あみ(2026年4月18日、UDトラックス上尾スタジアム) 【撮影:若林哲治】

長谷川、勝利につなぐ好救援

同点の五回からリリーフに出た長谷川鈴夏(右から2人目)(2026年4月18日、UDトラックス上尾スタジアム) 【撮影:若林哲治】

二回にも堀口佳乃の適時打で4点目が入った。これでモヤモヤが晴れ、押せ押せの日立が見られるかと思ったが、三回に奥野が現役復帰した近本和加子に3ランを浴び、同点に。ここから両チームのリリーフが粘り、4-4のまま延長に入った。
タイブレークの八回表。日立は五回から登板した長谷川鈴夏がバントで1死三塁とされたあと、井上美樹から欲しいところで三振を奪い、フォールトマンは三ゴロに打ち取った。長谷川は「勝ち越される試合、均衡していてもあと一歩で負けてしまう試合が多かったので、同点でいかせてもらって、絶対1点を与えない強い気持ちで投げました」という。
第1節のホンダ戦ではタイブレークで決勝点を許していた。「ちょっと頭をよぎったんですけど、その壁を越えないとだめだったので、いいマインドでマウンドに立てたと思います」

杉浦、悔しさ胸に打撃強化

サヨナラ打を放ち、ベンチへ戻った杉浦穂華(中央)(2026年4月18日、UDトラックス上尾スタジアム) 【©JD.LEAGUE】

そしてその裏、三輪玲奈のニゴロで走者を進めた1死三塁で、打席に8番杉浦。エンドランがかかった初球、バットを短く持って外角よりの球を鋭く転がすと、打球は測ったように前進守備の三遊間を抜き、その瞬間にベンチからナインが飛び出した。もみくちゃにされた杉浦は「自分が決めるしかないと強い気持ちで1本出しました」と童顔をほころばせた。
千葉経済大附属高から俊足の遊撃手として2021年に日立入り。ハンナ・フリッペンが抜けた2024年から先発出場が増え、昨季は2年目・北原花菜絵との併用で競う形になった。
だが、打撃が非力だった。日立は選手層が厚くなり、杉浦は先発しても第1打席で代打を送られ、再出場で守備につき、次の打席でも代打を出され、そのあとは北原が守るといったこともあった。遊撃手は2人目のFPのようだった。
代走だけの試合もあり、試合数25に対して打席33、安打6、盗塁4が使われ方を物語っている。「悔しかったと思いますけど」と向けると「はい」とうなずいた杉浦に、オフの取り組みを聞いた。
「外角の球は得意だったんですけど、内角を攻められることが多くて、内角をどう打つかということと、しっかり振ることを意識しました。チームバッティングも大事ですけど、強いスイングをかけようと」

出番と居場所を求めて

第2節は二塁で先発出場した杉浦穂華(2026年4月19日、UDトラックス上尾スタジアム) 【©JD.LEAGUE】

そんなオフに、戸田中央の遊撃手・三輪玲奈が移籍してきた。一方、二塁はベテラン杉本梨緒が開幕前から足を痛めており、杉浦は「2、3年目に少し守ったことがあって、練習でも守ってはいたんですが…」という二塁手の準備をして開幕を迎えた。
第1節は杉本が出て本塁打も打ったが、今節はベンチから外れ、杉浦が先発した。この試合も前の打席では森山遥菜を代打に送られながら、再出場で回ってきた打席で出た一打だった。
昨季ともに遊撃を守った北原も、藤森捺未をけがで欠く外野へ回り、奮闘している。新戦力とは、新人・新加入の選手だけではない。新たな出番と居場所を求めてよじ登る選手もチームにとっては新戦力になり、日立の今季のスローガンである「PIECE」になる。杉浦の打撃にオフの成果が見られるか。「ここからだなと思います」と力をこめた。

5試合13被本塁打の投手陣

戸田中央戦で坂本実桜⑱の周りに集まる内野陣(2026年4月17日、UDトラックス上尾スタジアム) 【撮影:若林哲治】

そうして劇的初勝利を挙げ、吹っ切れるかと思われた日立だが、翌19日は太陽誘電に0-5で完敗した。2年目の勝山美桜にノーヒットノーランを許し、早くも今季2度目の零封負け。開幕からの3連敗以上に、内容も厳しい敗戦だった。
藤森、杉本を欠く打線もさることながら、投手陣の被本塁打が多い。この試合も小松優月に先頭打者本塁打を含む2発、髙橋舞里にも1発を浴びてリードを広げられた。これで5試合13被本塁打、平均2.6本。昨季は29試合25本、平均0.86本だから3倍以上のペースだ。ちなみに昨季の東地区最多はミナモの42本だった。
ホンダも第1節で戸田中央に若手投手が打ち込まれ、1試合7本塁打のリーグ・タイ記録を許したが、他の4試合は計4本で済んでいるから、日立の深刻さが際立つ。

吸い込まれるように

太陽誘電戦で長谷川鈴夏(中央)に声をかける内野陣(2026年4月19日、UDトラックス上尾スタジアム) 【©JD.LEAGUE】

投手別では坂本実桜が6本、長谷川が4本、奥野が2本、新人・小澤奏音(厚木王子高)が1本。捕手別では女鹿田千紘が9本、デジャ・ムリポラが4本と、まんべんなく打たれている。負の連鎖反応などという古典的・心理的な理由か、それとも何か共通する要因があるのだろうか。
カウント別では初球が1本、ストライク先行は0-2、0-1が各1本だけで、フルカウント2本、3-1、2-0、2-1などおおむねストライクが欲しいカウントだった。あれが入るかという打球も中にはあったが、多くはしっかり振られている。
村山修次監督が「なんか吸い込まれるように…」と言ったように、悪い夢を見ている感じさえする第1、2節だった。本来の姿を取り戻すか、それとも…。ここからの日立の足取りは、東地区の展開を大きく左右しそうだ。

若林哲治(元時事通信記者)
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