可能性がわずかでもある限り

静岡ブルーレヴズ
チーム・協会
プレーオフ進出へは、残りすべて勝つしかない――追い込まれて迎えるラスト4節のサバイバルシリーズ。

その覚悟は、レヴニスタにも共有されていたのだろう。

快晴に恵まれた4月真ん中の土曜日、エコパスタジアムには、リーグワンになって5シーズンのエコパ開催で最多の9,042人が詰めかけた。

サバイバルを賭けた一戦でも声を枯らした9,042人 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

追い込まれたときにこそ、チームは真の力を発揮するはず――

そんなレヴズへの期待と信頼、そして、ともに戦おうという覚悟が、スタンドに充満した熱気から伝わってきた。

レヴズのフィフティーンはそんな、自分たちの立場を理解し、キックオフからその覚悟を示した。

首位を走るワイルドナイツを相手に試合開始のキックオフから相手ゴール前に攻め込み、最初のスクラムでいきなりペナルティーを獲得。ゴール前ラインアウトに持ち込むと、モールを一気に押し切り3試合ぶりに復帰したHO日野 剛志が先制トライ。

いったん同点に追いつかれるが、23分にCTBチャールズ・ピウタウのオフロードパスからマロ・ツイタマが、32分にはラインアウトモールから再び日野が、連続トライ。

「これぞレヴズ」というようなモールからのトライ 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

SO奥村 翔は左右タッチ際の難しい角度からすべてのコンバージョンを鮮やかに蹴り込み、首位ワイルドナイツを相手に21-7までリードを広げた。

「今日は本当に大事な試合で、バイウィークをはさんで選手も良い準備をしてきたし、終始自分たちの形を出しながら試合を進められた」

試合後の会見で、藤井 雄一郎監督はそう切り出した。

この試合、レヴズは前節のダイナボアーズ戦から先発二人を変更。

復帰した日野 剛志が先発HOに戻り、2試合に先発した作田 駿介がリザーブへ。リザーブだった山口 楓斗がWTB14に上がり、前節は欠場したセミ・ラドラドラがリザーブに入った。両FLは前節に続きヴェティ・トゥポウとダニエル・マイアヴァ。

アタックが持ち味の選手で固めた――そんな印象さえ受ける、思い切りアタックに振り切った布陣。

「ダニエル(・マイアヴァ)はラインアウトが上手なので、彼を使うと(ヴェティ・)トゥポウを外に出せるし、二人ともボールを運ぶのが上手い。二人が揃って出ることで、ラインアウトと最初のキャリーの両方にモメンタムを出せる」

実際、前半の3トライはすべてラインアウトが起点だった。とりわけ23分の2本目は、ラインアウトをマイアヴァが捕り、ヴェティのキャリーによるディフェンス突破から攻撃を継続し、7フェイズでマロ・ツイタマが決めたもの。

藤井監督が明かしたイメージをそのまま体現したようなトライだった。

この日の3トライはラインアウトから生まれた 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

しかし相手はトップリーグ時代から「堅守速攻」を看板に掲げ、試合中の修正力の高さを誇り、首位を走るワイルドナイツだ。

ハーフタイムを挟んで3つのトライを奪い、後半14分には逆転する。奪われたトライはどれも抜け目ない、効果的な、相手ながら惚れ惚れとするトライだった。

経験値の高い選手が揃い、確率されたチームカルチャーのもとで、ゲーム理解力を高めながら成功体験を重ね、シーズンを通じてチーム力を高めている。

残念だが、今のレヴズはその域には届いていない。

だが、それが現実だとしても、負けを受け入れる理由にはならない。レヴズは劣勢に追い込まれても最後まで戦い続けた。

同点にされた後半12分にマイアヴァとマフーザに替えてFLマルジーン・イラウアとCTBラドラドラを投入。逆転された後の19分にはFW第1列トリオを総入れ替え。フレッシュレッグスを惜しみなくピッチへ送り込み、攻撃の再加速を図った。

後半に一気に投入された若きフロントロー 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

後半の40分間は地域獲得で完全に押し込まれ(Jスポーツのスタッツから換算すると、レヴズの後半の地域獲得率はわずか24%だった)得意のスクラムでボールを奪われる場面も目立ったが、10点差で粘り、終了直前には正面45mで得たPKでショットを選択。

PGが成功すれば7点差となり勝点1が入る――

だが奥村の右足から放たれたボールはゴールポストを直撃。跳ね返ったボールをクワッガ・スミスが捕ってゴールラインに迫る。
…が、次のボールに走り込んだヴェティ・トゥポウがトライライン上で痛恨の落球。



試合は24-34の10点差のまま、勝点ゼロで終わった。

藤井監督は選手を責めなかった。

「後半は自分たちに風が吹かなかった。1位と9位の戦いだと、レフリーにはそう見えてしまう、これは批判でも何でもなく、仕方ないことで、そこに自分たちがアジャストできなかった。ただ、それでも選手は最後まで1ポイントを取りに狙って行って、最後は取れそうだった……結局取れなかったんですが、そこはしょうがない」

クワッガ・スミス主将は試合中も試合後も、レフリーに何度も確認を求めるなどコミュニケーションに苦慮していたように見えたが、ネガティブなことは口にしなかった。

「小さなペナルティやミスがあったけど、今日の頑張りとプレーの質は悪くなかったし、そういう自分たちの頑張りは次の試合にも持っていきます」

最後まで諦めない姿勢を誰よりも示したクワッガ・スミス 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

15節を終えて勝点は25で足踏み。6位ブレイブルーパスとの勝点差は10に開いた。

直接対決が残っているとはいえ、自力での逆転は消滅。他力も働かなければ2年連続のプレーオフ進出はない。

それでも、可能性が完全消滅したわけではない。

「切羽詰まってるのは、もうだいぶ前からなんですけど…次の試合も全力でポイントを取りに行きます。他のチームの星数を気にしてもしょうがないんで、とにかく自分たちは1試合1試合に勝って、たくさんトライを取ることにフォーカスしていきたい」

諦めたわけではないが、自力で何とかできないことを気にしても仕方ない。

自分たちにできることに集中する。ノルマがシンプルになっただけ、開き直って戦えるはずだ。

第16節の浦安戦は、レヴズにとって2年ぶりとなる秩父宮ナイトゲーム。

レヴニスタはきっとまた駆けつける。
夜空の下で、今シーズンのベストゲームを見せてもらおう。

(大友信彦|静岡ブルーレヴズ公式ライター)

【(C)SHIZUOKA BlueRevs】

大友 信彦(おおとも のぶひこ)
1962年宮城県気仙沼市生まれ。早大第二文学部卒。1985年からフリーランスのスポーツライターとして活動。『東京中日スポーツ』『Number』『ラグビーマガジン』などで取材・執筆。WEBマガジン『RUGBYJapan365』スーパーバイザー。ラグビーは1985年から、ワールドカップは1991年大会から2019年大会まで8大会連続全期間を取材。ヤマハ発動機については創部間もない1990年から全国社会人大会、トップリーグ、リーグワンの静岡ブルーレヴズを通じて取材。ヤマハ発動機ジュビロのレジェンドを紹介した『奇跡のラグビーマン村田亙』『五郎丸歩・不動の魂』の著作がある。主な著書は他に『釜石の夢~被災地でワールドカップを~』『オールブラックスが強い理由』(講談社文庫)、『読むラグビー』(実業之日本社)、『エディー・ジョーンズの日本ラグビー改造戦記』(東邦出版)など。
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著者プロフィール

JAPAN RUGBY LEAGUE ONEに参戦している静岡ブルーレヴズ(旧:ヤマハ発動機ジュビロ)の公式アカウントです。 「静岡ブルーレヴズ/SHIZUOKA BlueRevs 」というチーム名には、変わらない為に変わり続ける、伝統を受け継ぎ、なお「革新」を恐れない精神を象徴する “Blue” と、困難な目標にワクワクして挑み、高ぶる「情熱」を象徴する “Revs”が、一体として込められています。また、ホストエリアとなる「静岡」に貢献し、愛されるチームとなるべくその名を冠しています。 いままでヤマハ発動機ジュビロとして築き上げてきた伝統や技を活かしながらも、新たな挑戦とともに静岡から、心躍る最高の感動を世界へと届けていきます。 静岡ブルーレヴズの活躍にぜひご注目ください。

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