「企業×まち×人」で広がるラグビーの輪――「うめきた」で生まれた新たな観戦体験
うめきたで実現した、企業とスポーツの連携
大阪駅の北側に広がる再開発エリア「うめきた」。その中心に誕生したのが、公園と都市機能が一体となった空間「グラングリーン大阪」である。
会場となったのは、その一角にある「ロートハートスクエアうめきた」。芝生が広がるこの空間で、クボタスピアーズ船橋・東京ベイのパブリックビューイングイベントが行われた。
かつてこの地は、JRの操車場だった。“空白”だった土地は、20年の歳月をかけて、人が集う場所へと生まれ変わった。
そして、この場所を開発し、街として機能させているのが三菱地所。同社が推進しているのが、「人・企業・地域がつながるまちづくり」だ。
その“企業”のひとつとして、クボタがこの場所に関わることになった。そして今回、そこに持ち込まれたのが、クボタのスポーツコンテンツであるラグビーである。
「企業×まち×人」というコンセプトを体現するように、このイベントは成立していた。三菱地所株式会社関西支店の中井彩氏は、この取り組みについてこう話す。
「クボタ様が5月に本社を移転されることもあり、社員の皆様の機運を高める意味も含めて、うめきた公園とスピアーズさんでコラボレーションしたイベントを開催しました。スポーツには、ファンの方も含めて街を盛り上げる力がありますし、公園との親和性も非常に高いと感じています。パブリックビューイングのように一緒に応援することで人が集まり、街が活気づく。そうした価値を、スポーツを通じて広げていきたいと考えています。今回のイベントは、その意味でも非常に良い機会になりました」
関西とスピアーズ、その距離を埋める
クボタの本社は大阪にある。長年、難波の地を拠点としてきた同社は、2026年5月7日、うめきたへの移転を控えている。
だが、クボタスピアーズ船橋・東京ベイの活動の中心は関東だ。そのため、関西のオレンジアーミーが公式戦をスタジアムで観戦できる機会は限られている。特に今シーズンは関西でのホストゲームは開催されず、関西エリアでの公式戦は開幕戦のコベルコ神戸スティーラーズ戦のみ。
そのような現状を踏まえ、株式会社クボタエグゼクティブオフィサーKESG推進ユニット長、習田勝之氏は今回のイベントの意義を次のように語った。
「大阪は阪神タイガースをはじめ、サッカーも含めてスポーツが非常に盛んな地域です。そうした中で、スポーツが人に与える影響や感動の大きさはすでに根付いていると思いますし、その中でラグビーももう少し関西で活性化できればと感じています。高校ラグビーは関西が強い一方で、大学になると東京へ進む選手が多い現状もあります。スピアーズにも関西出身の選手は多く、本人たちにとっても関西でプレーすることには大きな意味があります。こうしたイベントを通じて、どれだけ波及できるかは分かりませんが、少しでも興味を持っていただければ。実際に今日は初めて来てくださった方もいて、それは非常に大きなことだと感じています」
さらには、バレーボールチーム「クボタスピアーズ大阪」が2025-26 V.LEAGUE MEN西地区レギュラーシーズンを制覇。4月11、12日には北海道札幌市で開催されたプレーオフトーナメントも制し、V.LEAGUE MENで初優勝を果たしている。ラグビーのスピアーズもこのイベント開催時点でレギュラーシーズン1位。すでにプレーオフトーナメントへの進出を決め、バレーボール、ラグビーともに好調を維持している。また、おりしもこの日はスピアーズのマスコット、スッピー君の誕生日。まさに絶好のタイミングでの開催となった。
「こうした流れの中で実現できたことは、本当に意義深いと感じています。私自身もサッカーをやってきましたが、スポーツには人の心を動かす力があると思っています。本来であれば関西での試合をもっと増やせればいいのですが、チーム事情もあります。だからこそ、関西でのこうした企画や、パブリックビューイングの取り組みも並行して続けていきたいと考えています」(習田氏)
もう一つのスタジアムが生まれた瞬間
それでも、終盤にオペティ・ヘルがトライを決めると、会場の空気は一変した。約400人が集ったオレンジの輪が、一斉に揺れる。遠く離れたピッチと、この場所が、確かにつながった。試合会場ではない。だが、この日確かに“もう一つのスタジアム”が生まれていた。
そして、イベントの価値は、「観る」ことだけにとどまらない。選手と直接触れ合える機会が、ここにはあった。
今シーズンは秩父宮ラグビー場まで遠征して東芝ブレイブルーパス東京戦を観戦したという大阪在住の筋金入りのオレンジアーミー、田中直人さんと架守未さん夫妻は、「すごく貴重な機会」と言葉を寄せる。
「大阪ではなかなかこういうイベントがないので、もっとやってほしいです。試合もそうですし、こういう形で選手やチームを身近に感じられる機会が増えたらうれしいですね。今のディビジョン1には、ワールドクラスの選手たちも活躍しています。テレビだけではなく、日本で実際にプレーしている選手を現地で見られるのは、すごく価値があることと思います」(架守未さん)
「関西ではスピアーズの試合やイベントの機会が限られているので、こういう場は本当にありがたいです。神戸や鈴鹿、秩父宮まで足を運んでいますが、やっぱりもっと近くで見られる機会が増えてほしいですね」(直人さん)
「ラグビーのパブリックビューイング自体がまだ多くない中で、僕の地元でもある大阪でこうして開催され、皆さんと一緒に試合観戦できたのはすごくポジティブなことだと感じています。大阪に本社があるチームでもありますし、選手としても、今後もっと大阪で試合ができたらという思いはあります。こうしたイベントが増えていけば、オレンジアーミーの輪もさらに広がっていくと思いますし、今回のイベントはその意味でも非常に良い機会だったと思います」
ファンと同じ空間で、同じ時間を共有する。それは、チームを“遠い存在”から“身近な存在”へと変えていく。“まち”という日常の中に、ラグビーが入り込む。この日、ロートハートスクエアうめきたで生まれたのは、単なる観戦体験ではない。それは、“まち”と“人”と“ラグビー”がひとつにつながる時間だった。
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