【ソフトボール】日立連敗、見せるか「PIECE」の復元力 JDリーグ開幕

ホンダ戦の先発マウンドへ長谷川鈴夏(左)を送り出す日立ナイン(2026年4月12日、宇津木スタジアム) 【©JD.LEAGUE】

女子ソフトボールのニトリJDリーグ2026は10日に開幕し、13日まで4会場で第1節の東西地区シリーズ20試合が行われた。群馬県高崎市の宇津木スタジアムに集まった昨季の東地区上位4チームは戸田中央が2勝、ホンダが2勝1敗、ビックカメラ高崎は1勝2敗。2024年の東地区制覇から昨季は4位に甘んじ、日本一へ再挑戦のシーズンとなる日立は、2連敗のスタートとなった。

2ラン、ソロ、ソロ、3ラン

開幕戦の先発マウンドに立った坂本実桜(2026年4月11日、宇津木スタジアム) 【©JD.LEAGUE】

11日にビックと顔が合った開幕戦は、坂本実桜とカーリー・フーバーの先発で始まった。坂本は二回に炭谷遥香の2ランで先制を許したあとは三、四回を3人ずつで片付ける。0-2で進み、よくある「次の1点をどちらが取るか」という展開になった。
その1点を、五回先頭の新人・加減夢華(佐賀女子高)のリーグ初本塁打で与えた。加減は1月の日本代表長崎合宿に、日本ソフトボール協会が十代のホープとして特別参加させている。姉の愛華も日立におり、パワーを間近で感じていた坂本だが、カウント3-1からものおじしない思い切りにやられた。
六回にも2番手の2年目・奥野心が炭谷にこの試合2発目を浴び、なお2死一、二塁として降板。ここで登板した新人・小澤奏音(厚木王子高)が代打・井手久美に3ランを打たれ、ダメ押し点を与えた。

次戦につながった七回の粘り

ビック戦の七回表、女鹿田千紘が2ランを放つ(2026年4月11日、宇津木スタジアム) 【撮影:若林哲治】

七回、疲れの見えたフーバーから女鹿田千紘の2ラン、唐牛彩名と杉本梨緒の連続二塁打で3点を返したが、いつも何かが起こるこのカードでも、さすがに7点差は重く、3-7で落とした。
村山修次監督は「もう少しうまい継投ができればわからなかった。私の継投かな」と敗因を背負ったが、「打線はつなぐ、つなぐということをしてきたので、最終回だけでも出たかな」と成果も感じていた。
翌日のホンダ戦は、その続きのような打撃で新外国人・エミリー・ケネディの立ち上がりを攻めた。デジャ・ムリポラの先制打、4番に入った保谷蓮の二塁打、戸田中央から移籍加入した三輪玲奈の二塁打などで一挙5点を先取すると、二回にもムリポラの2ランでケネディをKOした。

7点リードからの暗転

ホンダ戦の五回、5点を失ってうつむく長谷川鈴夏(2026年4月12日、宇津木スタジアム) 【撮影・若林哲治】

だが、よもやの暗転が待っていた。先発・長谷川鈴夏が堀内香瑚にソロ、山口未葵に満塁本塁打を浴びて一挙5失点。五回にはリリーフした坂本が山口に3ランを打たれて逆転されてしまった。
打線も負けじと唐牛、杉本の一発で再逆転してくれたが、2点差を守れず延長タイブレークに。八回、再登板した長谷川が、開幕から前の打席まで安打のない秋豆朱音に2点二塁打を打たれ、10-12で競り負けた。

ホンダ戦の五回、再逆転の2ランを放った唐牛彩名(2026年4月12日、宇津木スタジアム) 【撮影:若林哲治】

ビックには昨季2敗1分け、ホンダには3戦3敗だっただけに、最初の対戦でたたいておきたいところだった。坂本は被本塁打5本のうち3本をホンダ戦で、1本をビック戦で打たれており、警戒はしていたが、宇津木スタジアムは本塁打が出やすく風が強くて、狙ってきた打者もいる。
高崎ラウンドでは勝股美咲をけがで欠くビック、ジェイリン・フォードが移籍で抜けたホンダも大量失点の敗戦があった。見方によっては、坂本と長谷川の2本柱が打たれた日立のほうがダメージは大きいと見る関係者もいる。

坂本「一つになって1球を追えば」

ホンダ戦ではリリーフに立った坂本実桜(中央)と日立ナイン(2026年4月12日、宇津木スタジアム) 【©JD.LEAGUE】

だが、坂本と長谷川には実績と経験がある。坂本は「スタートが大事な中で2敗は大きいですけど、下を向いていては何も与えられないと思いますし、修正して、チームがもっと一つになって1球を追えば絶対、勝ちがついてくると思うので」と話した。
3年間、投手で主将を務めた。今季から笠原朱里が主将になり、二重の責任からは解放されたが、「あまり変わっていないと言えば変わっていないし、やるべきことは変わらないので」という。むしろ「自分のことを考える時間ができているので、その分しっかり結果を出さないと意味がない」と受け止めている。
投手陣は田内愛絵里(現伊予銀行)、ドンテイシャ・ゴーボーンが抜けたあと、昨季新人賞の奥野をはじめ3年目の後藤実緒、新人・小澤の若手が、どこまで今季のチームスローガンである「PIECE」になっていけるかどうかが大きなポイントだろう。

山内が移籍し、藤森が負傷した打撃陣

4番に起用された保谷蓮(2026年4月11日、宇津木スタジアム) 【撮影:若林哲治】

それでも「やるべきこと」が決まっている投手陣に比べ、課題は野手陣のほうが多いかもしれない。不動の4番だった山内早織がビックへ移籍し、さらに藤森捺未が開幕前の試合中に左膝前十字靭帯断裂の大けがを負った。
少なくとも前半戦は出られないが、すでに再建手術を受け、ギプスを着けて同行しており、村山監督は「もちろん悔しいと思うんですけど、ベンチでチームを鼓舞することで戦力になってくれている」という。本人の表情も思ったより明るかった。
4番はこの2試合、粘り強い打撃をする保谷を起用し、8打数3安打2打点とまずまずの滑り出しを見せた。村山監督は「つなぐ打線だと思うので、状態のいい選手が入ってくるのかなと思います」と柔軟に起用する考えだ。開幕前に話を聞いた笠原主将も、山内のあとを「誰かが(埋めよう)とはみんな思っていません」と話していた。

「答え合わせ」の整理と修正

1番を打った杉本梨緒、ホンダ戦で今季1号(2026年4月12日、宇津木スタジアム) 【撮影:若林哲治】

藤森不在の間は、この2試合でムリポラを左翼守備に就けたように、守りを含めてパズルのパターンが増えそうだ。他チームを上回る選手層の厚さを活かす力が、昨季以上に試されるシーズンになる。
どのチームも今は、オフの準備と開幕当初の結果との「答え合わせ」の時期。対戦相手には昨季までのデータと違う選手や初対戦の選手がいたりして、この時期の敗戦にはそうした戸惑いも絡んでいる。
それらをいかに整理して修正に反映させ、一人ひとりが今季のチームにはまる「PIECE」になっていくか。坂本は「見失ってはいけないこともあると思うので、そこは大切にして、次の3連戦をしっかり勝ち切る準備をしたいと思います」と表情を引き締めた。

若林哲治(元時事通信記者)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

女子ソフトボール新リーグ JD.LEAGUE(JDリーグ)の公式情報をお届けします。世界最高峰のプレーと、選手たちの魅力を発信していきます。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント