【ソフトボール】7点差を逆転したホンダ、勝ち越しに見えた投打のコントラスト JDリーグ開幕
秋豆、みんなが回してくれた4番の仕事
八回の場面設定は無死二塁。川畑瞳の安打などで2死二、三塁として残ったチャンスで、決着をつけたのは4番秋豆朱音だった。再登板した日立・長谷川鈴夏の外角球を右中間へ打ち返し、2点を勝ち越す。その裏は3人目のアリー・カーダが進塁すら許さず、2時間55分の激闘を終わらせた。
秋豆は投手から外野手登録になって2年目の昨季、ブレイクして後半から4番に座ったが、開幕から4番で迎える今季はまた別の思いや重圧があっただろう。オフには苦手なコース、球種の克服に取り組んだとはいえ、すぐに結果が出るものでもない。前の打席まで3試合で8打数無安打1犠打1四球。11打席目の今季初安打だった。
八回の打席へ入った時の心境を尋ねると、目にうっすら光るものが浮かび、少し言葉に詰まった。「ずっと打ててなかったので…。あの状況をつくってくれたのは、みんながつなげてくれて。最後のチャンスだなぐらいの気持ちで打とうと」
山口2発7打点、怒涛の逆転
その重い空気が、三回表に変わった。長谷川鈴夏から9番堀内香瑚がソロ本塁打を放つと、なお2死満塁から5番山口未葵が右越えにライナーで今季1号を打ち込んだ。これまで右中間本塁打はあったが、正味の右越えは初めて。
内角を強気に引っ張り、ファウルでカウントを稼がれてから外角球に泳がされるパターンが多かった。今オフはその課題克服に取り組み、「外角に対する苦手意識がなくなったので、それが結果に出たのはよかった」という。
その裏、唐牛彩名に2ラン、杉本梨緒にソロを浴びて再逆転を許し、また2点差を追う形勢になったが、諦めない。六回に川畑の二塁打で1点。七回には山口の安打を足場に、2死一、二塁から2年目の代打・田中愛乃が食らいついて二塁内野安打とし、追いついた。
ビックに雪辱した開幕戦
中でもホンダはビックとの開幕戦の前、打撃練習で各打者が鋭いスイングで低いライナーを連発するのが目を引いた。新主将の大川茉由は「オフの間に、低重心で下半身を使って打とうと取り組んできたので」という。
雨上がりの人工芝対策でもあったが、上野由岐子からの4安打はいずれも低い打球で先取点を奪った。2年目の岡野武志監督は「この試合のためにやってきたことが出た」と手応えを口にした。先制打を放った20歳の堀内は、今季も勝負強さとしぶとさが期待できそうで、「ハイ、9番バッター頑張ります!」と元気がいい。
3-2のまま進んだ試合は、七回裏2死満塁のピンチを、塚本のダイビングキャッチで守り切った。ホンダは野手の主力に大きな変動がなく、安定のうえにプラスを目指せるオフを過ごした数少ないチームでもある。昨季3戦3敗で、プレーオフでも勝てなかったビックを倒したという意味でも、好スタートになった。
若手投手陣、2戦連続大量失点
4年目の松下華菜、3年目の新宮怜美、新外国人ケネディ、新人・下村彩葉(日本体育大)の4人の力を合わせることになる。開幕戦をカーダの完投でものにしたあと、岡野監督は「全員が、あした誰が投げるかわからないくらいの競争をしているので、楽しみ。アリー頼みじゃないチームだというところをお見せできれば」と話していたが、厳しい結果になった。
打たれただけでなく、カーダを含め3試合とも9四死球を出して傷口を広げたことが反省として残る。同時に、若手投手たちが自分の能力、可能性、重ねてきた努力をこの程度で見失わないでほしいと思う。
いつの時代も打撃は水もの。岡野監督は打線のつながりで開幕節に勝ち越したことを評価しつつ、「失点を少なくするチームとしてスタートした中では、優勝を狙ううえで、大きな課題が出た1節ですね」と、目指すべき形を再確認した。
若林哲治(元時事通信記者)
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