【桜花賞】「馬のリズムで行けば負けない」スターアニスが示した圧巻の強さ、絶対女王への第一歩に
スターアニスは今回の勝利でJRA通算5戦3勝、重賞は2025年GI阪神ジュベナイルフィリーズに続き2勝目。松山騎手は2020年デアリングタクト以来の桜花賞2勝目、高野調教師は嬉しいクラシック初勝利となった。
なお、2馬身半差の2着には西村淳也騎手騎乗の5番人気ギャラボーグ(牝3=栗東・杉山晴紀厩舎)、さらに3/4馬身差の3着には北村友一騎手騎乗の12番人気ジッピーチューン(牝3=美浦・林徹厩舎)が入った。
「負けられない戦いだと思っていました」
「2歳女王ということで、自分の中では本当に負けられない戦いだと思っていましたし、絶対に勝つんだという気持ちでした」
レース前の心境をそう明かした松山騎手。道中は好スタートから自然な流れで中団のポジションを確保した。
「今日の馬場傾向を見ても、あまり外からというよりは前で粘り強い競馬もしていたので、そうしたところも意識していました。ただ、馬のリズムを一番に考えていたので、馬を信じて、馬のリズムで行けば負けないと思っていました」
スタートをしっかり決めて、リズムよく脚を溜めることができればいい脚を使える――松山騎手はこの桜花賞を「自分との戦い」と捉えていたという。ただ、スタートしてすぐの向こう正面で外から被せられて手綱を引っ張る場面もあった。それは松山騎手が一番大事にしていた「馬のリズム」が崩れかけたシーンでもあっただろうし、「自分との戦い」に敗れることに繋がっていたかもしれない。しかし、すぐに立て直し、何事もなかったように自分のリズムとペースを取り戻すことができた。ここに、高野調教師はスターアニスの強さを感じたという。
「決して全てがスムーズではなく、リズムを崩しかけているように見えるところもありました。ですが、そこからリズムを取り戻して、最後の直線ではすごいアクションを見せてくれた。自分で管理している馬でありながらも、本当に強いなと思いましたね」
手応えが違い過ぎた直線、一気に17頭を突き放す
「スタートした後に被せられて少し難しい部分はあったのですが、馬が人間の言うことをしっかりと理解してくれるので、上手くコントロールできましたし、しっかりと我慢してくれた。このことが最後の末脚に繋がったと思います」
その最後の末脚がまた、素晴らしかった。4コーナーから最後の直線、他の17頭とは見るからにスターアニスの手応えが違い過ぎた。
「直線に向いた時も手応えが十分で、追い出しを我慢する余裕もありました。抜けてからは本当に力強い走りで後ろを離してくれて、本当に強い勝ち方だったなと改めて思いました」
前を行く馬たちを瞬く間にとらえて先頭に立つと、あとは返す刀で後続を突き放す一方。2歳女王から桜の女王へと――桜の花びらが舞う仁川のターフは、スターアニスの鮮やかな進化をお披露目する独り舞台と化していた。
阪神JFから直行、レース間隔の長さを成長の時間に
「阪神JFの後はすぐに直行と決めたわけではなくて、馬の状態を見ながらにしましょうと牧場とは打ち合わせしていました。少し日にちが経ってからも回復しきっていない感じがしたので、前哨戦を使うよりはエネルギーを充満させた状態で、フレッシュさをもとに調整した方が良い仕上がりになるなという判断をさせていただきました」
その結果、2歳時よりも馬体のハリが増し、背中・後肢などつくべきところに筋肉がついてパワーアップ。しかしながら、それでもなお指揮官は「まだまだ成長しそうな予感がありますね」と力を込める。
母はスプリンター、次走はオークスかそれとも……
「現時点で次走をどうするかは決めていないですし、オーナーともまだ話していません。このパフォーマンスを受けて、馬の状態と照らし合わせて、ジョッキーのコメントも交えつつ、相談していきたいと思います」と高野調教師。
血統の字面だけを見れば、2400mはいかにも長そうではあるが、この時期の3歳牝馬は絶対的な能力の高さで距離を克服する。そんな歴史を何度も繰り返して見てきた。トレーナー自身、スターアニスの長所を「能力。そして、その能力を出し切るメンタル。この2点です」と挙げている。そして松山騎手は「一冠目という意味もあって」と、人差し指を天に向けて立てていた。
これは全く個人的な意見なのだが、血統を超越した二冠の夢をオークスで見てみたい。スターアニスにはその可能性と能力がきっとあるはずだ。(取材・文:森永淳洋)
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