マリーンズ戦記2026 4月10日 ライオンズ戦(県営大宮公園野球場) 連敗ストップ
二回だ。待望の先制点が生まれる。グレゴリー・ポランコ外野手が左翼フェンス直撃の二塁打で出塁すると一死二塁から寺地隆成捕手が粘りに粘って、最後はコンパクトに中前に運んだ。チーム待望の適時打。実に4月5日のホークス戦(ZOZOマリンスタジアム)以来、37イニングぶりのタイムリーだった。寺地は一塁ベース上でベンチに向かって拳を高々と掲げると雄叫びをあげた。
「元の寺地に戻ってきたように思います。あの1本目のタイムリーでみんな楽になった。勇気付けてくれるヒットだったと思います」。試合前から積極的にコミュニケーションをとり様々なアドバイスを送っていたサブロー監督は嬉しそうに振り返った。四回にも左前適時打。前夜までのタイムリー欠乏症が嘘のように序盤から試合を優位に進めていった。
先発の河村説人投手も初回から緩急自在の丁寧な投球でライオンズ打線から凡打の山を築く。しかし野球とはなにが起こるかわからない。本当にわからない。静かだったゲームは終盤に入り、突如、怪物と化したように激しく動き出した。それは八回のライオンズの攻撃から。二死走者ナシ。ゲームがまるで思いもよらぬ方向へとスピードを上げて向かっていくような感覚だった。集中打を浴び、3失点。まさかの逆転を許した。しかしこれで終わりではなかった。本当のドラマはマリーンズ最終回の攻撃にこそあった。ベンチにいる誰も諦めていなかった。二死満塁。一打逆転の状況で小川龍成内野手が打席に入った。
「あそこは小川に賭けました」と指揮官。打球はショートに転がった。万事休す。と思われたがここで想像もしていなかった結末が待っていた。相手遊撃手がファンブル。拾い上げて慌てて一塁に送球するが小川の全力疾走が勝り、セーフ。その間に三塁走者に続いて、二塁走者の髙部瑛斗外野手も生還した。九回二死。敵失から逆転。小川は前に飛ばせば、なにかが起こるかもしれないと全力で一塁を駆け抜けた。髙部は打球が前に転がった時点で猛烈なダッシュでホームだけを目指していた。決勝の1点を執念でもぎとった。これぞマリーンズが目指す野球。前日のバファローズ戦(京セラドーム大阪)では絶好のチャンスで三盗を試みて失敗。悔しい思いをしていただけにこの場面の走塁にすべてを注いでいた。もちろん、サブロー監督も背番号「0」の熱い想いが伝わっている。「彼も昨日、反省をして今日は素晴らしい走塁をしてくれたと思います」と称えることを忘れなかった。
そして指揮官が手応えを感じたのが失策を呼び込んだベンチの誰も諦めていない雰囲気。そして声。それぞれがしっかりと行ってくれた準備だった。「勝てればなんでもいい。特に今のような状況の時は。みんな誰も諦めずに声を出してくれていた。雰囲気はとてもよかった」と素直に喜んだ。そして「まさかの展開。あの名手がミスをするとは思わなかった。やっぱり土のグラウンド。地方球場というところもあったと思う。そこに今日は付け込めたというのが一番。逆に、うちはミスがなかった。こういう試合をしていかないと取れるものも取れない」と振り返った。
二軍から昇格した先発の河村。そして昇格即3番で起用した上田 希由翔内野手の1打席目でいきなり二塁打を記録した活躍も嬉しい。「ファームから上がってくる選手が期待することをやってくれた。こういうのがチームの活性化に繋がる。元気がない時に流れを変えてくれる存在。今日はファームから上がってきた選手に助けられた試合でした」と目を細めた。河村には試合後、監督室に呼んだ。「勝ちをつけてやりたかった。申し訳ないとさっき呼んで謝った。でも、また次がある。うまく調整してもらう」とした。
連敗は5で止まった。ちょうど1週間ぶりの勝利である。ペナントレースは長い。まだ13試合を消化したに過ぎない。あと130試合、戦いは残されている。この勝利を手に入れるまでの成功への様々なプロセスを大事にしながら、連敗を喫した日々の反省を生かし、サブローマリーンズは強くたくましくなっていく。大宮の夜空にスタンドのファンによるサブローマリーンズのコールが心地よく響き渡っていた。そこには試合前に心配されていた雨雲はもうどこにもなかった。
文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原 紀章
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