青少年の未来を拓くサンバーズアカデミーの活動。ユニフォームのロゴが子供たちのエネルギーに

サントリーサンバーズ大阪
チーム・協会

(左)シックスウェイ株式会社 CEO 廣中芳範氏(右)サントリーサンバーズ大阪 U15ヘッドコーチ 松崎廣光氏 【サントリーサンバーズ大阪】

 「中学生の指導はすごく面白くて、ここから抜けられないんですよ」
 サンバーズアカデミー・U15のヘッドコーチを務める松崎廣光さんは目を輝かせながら言った。自身は学生時代、全日本ユース、全日本ジュニアの中心選手として国際大会を経験し、東亜大学卒業後にサントリーサンバーズ(現サントリーサンバーズ大阪)に入団。2016年に現役を引退したあとは、アナリストや広報を務めながら、アカデミーの指導に携わってきた。

【サントリーサンバーズ大阪】

 「僕はもともとサンバーズのトップチームのコーチをやりたかったんです。そのためにコーチ資格も取得し、実績を積むためにアカデミーの指導をしようと思っていました。でも中学生年代を指導し始めると、本当に面白くて。中学に上がったばかりの子たちはまだ小さくて小学生みたいなんですけど、中3になるともう大人と同じような体格になる。体の変化に合わせて技術も大きく変わり、成長の度合いが一番大きい世代なんじゃないかと感じます。こちらが熱意を持って、時間をかけてしっかりと指導すれば、その分吸収してくれるので、入団してからの『これだけ変わるのか』というその変化を見るのがすごく面白いし、3年生になると『よく育ったなー』とウルッとくるんです(笑)」
 天職を見つけたかのように楽しそうに語る。

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 サントリーのアカデミーが発足したのは2013年。最初はチームの練習拠点がある大阪府箕面市のバレーボール協会に運営を委託し、サントリーのスタッフや選手が手伝うという形式だった。その後、チームが事業化を目指す課程で、アカデミーも2021年にサントリーが運営することとなり、松崎さんがヘッドコーチに就任した。
 発足当初は30人程度で練習していたが、現在は会員数が約240人にまで拡大し、2025年4月発足したサンバーズ大阪U15にはアカデミー生の中から選出された約30人が所属している。
「我々がこのアカデミーをやる意図としては大きく二つ、“普及”と“強化”があります。まずはバレーボールをやる人を増やしたい。競技人口を増やさなければいい選手も出てきませんから。そしてU15ができたことで、将来的にSVリーガーになるような、しっかりとした技術を持った選手を育てるというところを目指してやっています」
 アカデミーの練習は基本的に週1回。参加者のほとんどが中学校のバレー部に所属しており、アカデミーはいわば塾的な役割を果たしてきた。限られた時間の中で子供たちを最大限に伸ばすために、松崎ヘッドコーチが重視しているのは、「一緒にいない時間にどういう生活をさせるか」ということだ。
「細かな技術は会った時に伝えられますが、1日の中で練習しているのは3時間ぐらいで、残りの21時間は目の届かないところで生活しているわけですから、その時間をどういう意識で生活させるかが大事だと思っています。中学生ってまだ子供なので、ある程度コントロールしなきゃいけない。今日言ったことはもう明後日には忘れちゃっていますから(苦笑)。だから、髙橋藍選手や小野寺太志選手を例に出したりして、『一流になれる選手はこういう考え方でいるよ』というのを常日頃から伝えています。
 よく言うのは体のケアや食べるものに関することですね。特に食事はすごく大事。身長が伸びる時期なので、怪我をしにくい体を作るためにも食事の摂り方は重要です。運動したあと1時間以内にタンパク質などの栄養を摂らないと、筋肉がどんどん細くなってしまうので、バナナやプロテインバーなどを持ってきて摂るように伝えています。基本的に今食べたものは3ヶ月から半年後の自分の体になっていく。つまり今の体は3ヶ月前に食べたもので出来上がっているので、お菓子ばかり食べていたら、ブチブチ切れやすい筋肉になるよ、だからしっかりと良質な食事を摂らないといけないよ、といった話はよくしますね」

【サントリーサンバーズ大阪】

 そうした意識を我慢強く植え付け、丹精込めて育てた選手たちが、公式戦と同じように楽しみにしているのがエキシビジョンマッチだ。
 エキシビジョンマッチは今シーズン3度行われた。昨年12月27日には、おおきにアリーナ舞洲で、SVリーグのサントリーサンバーズ大阪対大阪ブルテオン戦の後、両チームのU15同士が対戦した。トップチームと同じユニフォーム、同じコートで、音響演出もほぼ同じ。中学生にとっては普段味わうことのできない経験だ。
 3セットマッチで行われた真剣勝負は、互いにセットを取り合い、最終第3セットはサンバーズ大阪U15が先にマッチポイントを握る。しかしそこから逆転され、デュースの末に24-26で惜敗した。
 選手たちは悔しそうに一瞬、天を仰いだが、胸を張り、背筋を伸ばして整列した。各選手のユニフォームの背番号の上には『sixway』のロゴが。SVリーグのトップチームのユニフォームにスポンサーロゴが入っているのはもう当たり前になったが、U15のユニフォームにスポンサーロゴが入るのはまだ珍しい。

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U15のユニフォームにスポンサーロゴ 「プロ選手みたい!」

 高速道路交通規制専門警備会社であるシックスウェイ株式会社は今シーズン、サントリーサンバーズ大阪とオフィシャルパートナー契約を締結し、U15のユニフォームやスタッフシャツ、チームマスコットへのロゴ掲出を行なっている。現在U15のユニフォームに入っている唯一のロゴだ。
「ロゴが入ったユニフォームを最初に生徒たちに見せた時、『すげえ!プロの選手みたい!』とみんなめちゃくちゃテンションが上がっていました」と松崎ヘッドコーチ。
 それを聞いたシックスウェイの廣中芳範CEOは、「嬉しいですね。パートナーになってよかったです」と頬を緩ませた。

松崎ヘッドコーチからアカデミー生の話を聞いて頬を緩ませる廣中CEO 【サントリーサンバーズ大阪】

「うちの社名には『six』が入っていて、バレーボールに繋がる名前ですし、このロゴがカッコいいという自信があるので、子供たちに喜んでもらえるやろうなと思っていました」
 パートナー契約に至った経緯を、廣中CEOは率直に明かす。
「企業活動の一環で、青少年育成活動に寄与したいという思いはずっとあったんです。私は30年前から、子供たちが『ああいう大人になりたい』と思うようなカッコいい仕事がしたいという思いを、まず企業活動の一番の目標にしてきましたし、社員にも『子供たちが見て憧れるような仕事をしなさい』という話をしてきました。制服も、子供が目を見張るようなカッコいいものをと常に意識しています。
 それだけでなく、直接的に何か子供たちを応援できるようなことができればいいなと思っていたんですが、実際にどのような形で寄与できるかがなかなかわからなかった。実はたまたま妻がサンバーズの大ファンだったので、じゃあスポンサーになるか、と最初はそういう軽いノリから入ったんですが(笑)、こうしてサンバーズのU15を応援できるようになって、非常に満足しています。
 社員にとっても、自社に対する誇りやモチベーションに繋がれば、企業活動の利益にも連動してくるのではないかと。社内には阪神タイガースのファンが多いので、『タイガースの年間シートを取って欲しい』という声もありましたが(苦笑)、企業のCSRの一環として地域貢献と青少年育成に寄与するには、こっちかなと。それに野球やサッカーは競技人口が多いと思いますので、それよりバレーボールの競技人口を増やしてバレーを盛り上げていくほうが、新しいというか、一つのスポーツを成長させていく実感も得られるかなと考えました」

想いのこもったロゴや企業理念について紹介される廣中CEO 【【サントリーサンバーズ大阪】】

 ユニフォームのロゴが子供たちのモチベーションを上げるだけでなく、U15への支援は強化費に充てられ、活動の幅を広げることにも繋がる。
「遠征に行く際など費用はかなりかかるので、どうしようかなと思っていたところでした。本当にありがたいです」と松崎ヘッドコーチは感謝する。
 中学校の部活の地域移行が進み、箕面市では2027年に完全に部活動がなくなるため、サンバーズ大阪U15の重要性はますます大きくなっていく。

 サントリーホールディングス株式会社は、サントリーサンバーズ大阪の運営法人となる「サントリースポーツ株式会社」を設立し、今年4月1日から事業を開始した。それをきっかけに、サンバーズアカデミーの活動もさらに拡大。 まずは4月、他チームに先駆けてU18を発足させた。元日本代表選手で、中央大学や東山高校で指揮を執り日本一に導いた松永理生さんを監督として招聘し、箕面自由学園高校の男子バレーボール部として、サンバーズ大阪U18を新設した。

サントリーサンバーズ大阪 栗原圭介ゼネラルマネージャー 【サントリーサンバーズ大阪】

 サントリーサンバーズ大阪の栗原圭介ゼネラルマネージャーは、今後のビジョンをこう語る。

「サントリーとしても、以前から次世代の育成は会社の大きなテーマとして掲げられていました。その部分を担うのは、スポーツが手っ取り早いというか、やはり若い世代と接点を持ちやすい分、我々がそうした繋がりを持たなければと思っています。もともとはバレーボールの裾野を広げよう、バレー人口を増やそうという目的でサンバーズアカデミーをスタートしましたが、今後は強化の面にさらに力を入れていきます。特にU18に関しては、そこからサンバーズのトップチームのプレーヤーを輩出できるような形にしていきたい。その元年が、この2026年です。

 それと同時に、欲張りではありますが、事業として収益を挙げていくことも必要になります。これまで会社の一部署だったものが法人化するわけなので、事業面は我々の重要なミッションになりますから、より質の高いサービスを提供していかなければ」

 中学校の部活動廃止に伴う受け皿を構築するために、U15の分校を作るプランもあるという。

「それに伴って、指導者も増やさなければいけない。今SVリーグはプロ選手が増えていて、うちでも以前は3割ほどだったのが、今は約5割がプロ選手になっていますので、中長期的に見て、彼らのセカンドキャリアの場にもなっていけば理想的かなと考えています」

 子供たちをバレーボールにいざない、トップレベルに育て、やがてその選手が指導者となり、新たな才能を育む。そんな究極のサイクルを理想に掲げ、サントリーサンバーズ大阪は走り続ける。
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著者プロフィール

1973年4月創部。SUNBIRDSの「SUN」はSUNTORYのSUN、そして太陽のSUN。「燦然と輝く太陽に向って羽ばたく、不死鳥のように」との思いから、SUNBIRDSと名付けられました。国内リーグ戦優勝10回、黒鷲旗優勝10回、天皇杯優勝1回、アジアクラブ選手権優勝1回・準優勝1回、世界クラブ選手権3位(銅メダル)1回。

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