合同アイスショーで集大成の演技を披露「THE ICE UNION:日本大学×東洋大学」を初開催
(取材:2026年3月8日)
苦労を乗り越え、初めてのアイスショー開催へ
しかし昨年4月、大学時代に全日本選手権へ2度出場しているOBの日下匡力氏がフィギュア部門の監督に就任すると、旧知の野上由樹絵氏が監督を務める東洋大からアイスショーの合同開催の打診があったという。
「とても良い企画だし、『卒業生を称える場としても、こういう機会があったほうがいいよね』ということで開催することになりました」と話す日下監督。「大学の枠を超えて同じリンクに立つことは、選手たちにとって大きな刺激になります。日々積み重ねてきた努力や想いを込めた演技の披露を通じ、卒業生には敬意と感謝を表すとともに、現役部員にとっては成長した姿を見ていただける機会として企画しました」
プロジェクトは両校の学生たちが主体となって準備を進めてきた。しかし、初めての試みゆえにスムーズにいかないことも多かった。
卒業生が個人演技を行う合間に、両校の各学年で披露するグループナンバーは、学生たちが意見を出し合い音楽を決めるところからスタートしたが、「東洋大学の選手の中にはこれまで会ったことがない人もたくさんいましたし、意見がまとまらない時もあって、そこが一番大変でした」と、副主将の宮本藍里(スポーツ科4・北海)は振り返った。
「音楽や衣装をはじめ、すべてのことでたくさん話し合いをしてきて、みんなの同意のもとで決めたかったのですが、上手く同意が取れなかったり、イメージしていたような衣装が届かずに買い直したりと、時間がない中で苦労したことも多かったです」
振付けはフィギュアスケートの第一線で活躍する日大OB・OGたちの協力により仕上がったが、ふだんは練習拠点が個人個人で違うため、「合同練習を行うスケート場に移動してくるのがすごく大変な人もいて、全員が集まるのもなかなか難しかった」(日下監督)。メンバーが揃わない中でも練習を重ね、参加できない選手には動画を共有するなどしてイメージの連携を図り、この日に向けてクオリティを高めていった。
演者にも観客にも、笑顔があふれて
初々しい演技を見せた1年生によるグループナンバーに続いて、いよいよ卒業生によるソロ演技が3グループに分かれてスタート。選手が登場するたびに、リンク上のスクリーンに担当コーチからのビデオメッセージが流れるという演出があり、労いと激励の言葉に背中を押され、選手たちはラストダンスに挑んでいく。
水上彩弥(商4・杉並学院)、青木実保(経済4・千葉経済大学附属)ら第1グループ4人が笑顔とともに滑り終えると、2年生によるグループナンバー「La La Land」が始まった。1年生のグループナンバーに続き、振付けは、1月の四大陸選手権(北京)のフリーで同曲を滑り、初出場初優勝を飾ったOGの青木祐奈さん(2024年・スポーツ科学部卒)が担当。映画の世界観を表現する躍動感あふれる演技と、観客からの手拍子が一体となり、会場は大いに盛り上がった。
整氷をはさんでの後半は、OBの唐川常人さん(2021年・スポーツ科学部卒)と佐藤由基さん(2024年・スポーツ科学部卒)が振付けをした3年生のグループナンバー「Break Free」から。結束力がある3年生たちがスケートの楽しさを存分に表現して観客を湧かせ、再び会場の雰囲気が盛り上がってきた。
最終滑走の東洋大・大中惟吹選手が休む間もなく始まった卒業生のグループナンバーは、唐川さん・佐藤さんが「それぞれの道に進み、希望や不安を抱える彼らに、ありのままの姿で大丈夫という意味合いで振付けを考えた」という「Let It Be」。今日の日が大学4年間の最後というだけではなく、競技者としての最後、あるいは子どもの頃からのスケート人生の集大成とする選手もいて、それぞれ万感の思いを胸に氷上を舞った。
さらにフィナーレは、順番に全員が登場して「Seasons of Love」を熱演。フィニッシュと同時に、会場には喝采の拍手が一際大きく鳴り響き、手を振ってそれに応える選手たちの誰しもが、充実感に満ちあふれた表情を浮かべていた。
アイスショーに向け団結力が深まっていった
宮本副主将も「第1回ということで不安な点もたくさんありましたが、大勢の方々に見守っていただき、温かい声援もいただきました。その中で、大好きな同期のみんなと一緒に滑ることができて、本当に幸せな気持ちです」と、喜びを噛み締めた。2人とも競技は一区切りとし、今後はアイスショーへの出演を目指しチャレンジしていくという。
現役続行を決めていた北村は、後日、シングルからアイスダンスに転向することを表明した。
約10ヶ月をかけて準備してきた初めてのアイスショーの成功に、日下監督は「伝統ある、日本大学と東洋大学の両校が一緒に協力してここまで来られたことをものすごくうれしく、誇りに思います」と語りながら、その視線はもう次に向けていた。
「今回やってきた中で、いろいろ課題も見えてきました。それを生かして、第2回、第3回と今後も東洋大学さんと組んで、一緒にやっていきたいと思います。また、今回の梶本選手のようにゲストスケーターを迎えて、アイスショーをもっと盛り上げていけるような展開ができたらいいなと思っています」
また日下監督は、「アイスショーに向けて、チームの団結力が深まっていった」とも言う。「各個人の競技でありながら、1つのチームとして全員を応援する形が生まれ、それが演技向上にもつながっていると思います。アイスショーに向かっていく学生たちの姿勢を見ていて、それぞれの成長を感じました」とうなずいた。
アイスショーの経験を通じて、卒業生・現役生それぞれに得たものがある。それをこれからの道、これからの活動、これからのパフォーマンスにおける糧として、さらに成長していくことを期待して止まない。
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