【柏レイソルアカデミー】世界から柏へ!U-12国際大会開催協力でめざすもの
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この大会の事務局長である小杉恵太氏と、柏レイソルアカデミー部門を統括するダイレクター・渡辺毅が、この柏で小学生による国際大会開催に至った経緯や、大会を通して実現したい思いを語った。
【取材・文】鈴木潤(柏レイソルオフィシャルライター)
小杉 大会の大きなコンセプトとしては、U-12の育成型の国際サッカー大会というところで、ただ強いチームを集めるというわけではなく、真剣勝負と国際交流を通して子どもたちの成長を促していくことが趣旨の大会となっています。
――この大会を立ち上げる経緯は?
小杉 私自身がスポーカル六本木SCという東京のクラブチームでコーチを務めており、今年で15年目になるのですが、六本木という国際的な土地柄ということもあり、クラブとしても海外との接点を作ってきました。その海外遠征を繰り返していく中で、さまざまな人とのつながりから、逆に海外のチームを日本に呼んで大会ができないかというお話がありまして、柏レイソルアカデミーダイレクターの渡辺毅さんにご連絡をさせていただきました。レイソル内での検討を経て、日立台でぜひ開催しましょうとご快諾いただき、開催に至りました。
――柏レイソルがこの大会に関わるというのは、どのような思いがあったのですか?
渡辺 今回は2回目の大会なのですが、その前にも名前は違いますが国際大会を日立台で開催しており、その時の反響や、選手達の変化から、こういう大会を毎年開催できたらいいなという思いがありました。そうした中で小杉さんからお話をいただきました。海外のクラブを呼び、国内のクラブも招いて、子どもの成長のために良い機会を提供したいという小杉さんの強い思いと柏愛を感じました。レイソルとしても、日立台で開催するメリットがありますし、山崎和伸社長をはじめ、クラブ全体が「ぜひやろう」と、全員が同じ方向を向いて進んでいきました。
――柏という街には、レイソルアカデミーをはじめ、多くのクラブチームが活動し、育成に力を注いでいます。育成の文化が根付いているからこそ、柏で開催する意義があったのでしょうか?
小杉 私も柏のサッカー文化の中で育てていただきました。その中心の一つに柏レイソルという大きなクラブがあり、そのクラブが育成に対してオープンマインドな考えを持っていることがとても大きいと感じています。そういう環境の中で育ったからこそ、自分たちの経験をまた柏の地で還元したいという思いがあります。今のレイソルアカデミーのコーチの方々も、トップチームで活躍された選手、アカデミーに所属していた選手、あるいはこの地域で育った方々がまた柏に戻ってきており、とても良い循環になっていると思います。
――JFF柏は今回で2回目の開催になります。これからどういう役割を持つ大会になっていってほしいですか?
小杉 先ほどのお話にもあったとおり、柏市の環境であったり、レイソルさんが作り上げてきた文化であったり、柏だからこそできるようなものとして、大きく広げるのではなく、まずは中身の濃い大会を作っていきたいと考えています。世界に触れ、国内外のいろいろな地域のチームと対峙することで、プレーする子どもたちはもちろんですが、観戦する子どもたちも世界に触れて刺激を受けることを期待しています。「世界はすごいけれど届かないわけではない」というところでモチベーションが上がったり、指導者の方々にとっても普段なかなか接点がない海外クラブの指導者の方々も柏に集まるので、日本とは違った指導スタイルを目撃し、自クラブでの活動に広がるようなきっかけを作ることも役割でありたいと考え、目指しています。
――小杉さんご自身も14歳のときにアルゼンチン遠征を経験されました。その時の経験が大きかったのでしょうか?
小杉 とても大きかったと思います。当時はテレビで見る世界だったものが、現地に行き、その国特有の文化や環境に触れたことで、自分の中でハッとする部分がありました。ただ、目指せない距離ではないとも感じて、視座が高まり視野が広がったと思います。
渡辺 柏レイソルアライアンスグループという形で、12クラブと提携し、指導者の方々と交流を深めながら、共にレベルアップを図るという目的のもと、相互協力して活動しています。そのほかでも、ホームタウンを中心とした地域の選抜チームを対象にサッカースクールを実施し、レイソルに触れてもらいながら、上を目指してもらう強化の部分と、サッカーを楽しんでもらう普及の部分を兼ねて交流をしています。
あとは、こうした大会を開催する義務がレイソルアカデミーとしても、クラブとしてもあります。「自分たちが強くなればいい」ではなく、レイソルは育成に力を注いでいるクラブですが、レイソルアカデミーにいる130人の選手が上に行くことだけが重要なのではなく、もっと視野を広げて、大会に参加するみんなが成長できる環境を提供したいと考えています。選手としてだけではなく、その子の将来に必ず生かされてくる、そういうきっかけを作れると思っています。レイソルだけが強くなるのではなく、今回の大会に参加する他のクラブの子どもたちも成長してほしいと思います。海外遠征だと単独で海外に行き、そのチームだけが海外チームとの対戦を経験しますが、JFF柏に参加する全チームが海外チームとの対戦を経験できます。勝っても負けてもプロセスを大切にし、選手達が成長するきっかけを掴める大会になれば幸いです。
――JFF柏はU-12の大会ですが、別の年代にすることもできたと思います。U-12に設定したのは、どのような理由があったのでしょうか?
小杉 日本サッカー界では、年代が上がれば上がるほど海外遠征の機会が増えていきます。中学生以降の年代だと、Jクラブだけでなくても、街クラブでも海外遠征を実施して強化しているクラブがあります。ただ、ジュニア年代で見ると、海外に行けるクラブは限られています。私自身も中学生の頃にアルゼンチンに遠征をして、とても刺激的な経験にはなったのですが、その前の年代でさまざまなものをより純粋に吸収できるタイミングで世界を知ることにすごく価値があるのではないかと思っていました。
その中で、前回大会ではレイソルU-12が準決勝でベルギーのKRCゲンクに勝ち、決勝はオランダのNECナイメヘンに勝って優勝しました。柏レイソルU-12の選手たちが、海外のチームが相手ということにもまったく恐れておらず、堂々とプレーをしていて、当たり前の基準がどんどん上がっていくというのは、やはり吸収力が高い小学生年代だからこその良さだと思います。これは良いことしかないと思い描いていたものが、昨年の大会でより確信に近づいたというのがあります。あとは国際交流の場でも、日本人特有のシャイさはあるものの、過度に消極的にならず積極的に交流を図れるという部分もとても良いと感じました。最初は恥ずかしくて話しかけられなかった子も、みんな身振り手振りを使いながら積極的に話し始めたので、こういう交流の場があることはやはり重要だと思いました。
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小杉 前回大会は勢いのままスタートを切り、レイソルさんの環境や体制、バックアップに助けられて、いろいろな人の協力があったからこそ開催できたのですが、これは本当に長続きするものなのかなという思いと、それでも長続きさせたいという葛藤がありました。思いが集まっていることは肌で感じたのですが、どうやったら持続的に、より良くしていけるものにできるのかという点について、ただその場しのぎではなく、大会としてしっかりと形にしていきたいと感じました。
――継続させていくためには、レイソルのサポートも欠かせないと思いますが?
渡辺 第一回大会が終わった直後に、第二回大会に向けて反省会と、来年はどうしていくかというミーティングを月1回のペースで行ってきました。それがうまく進んでいると思いますし、これからも継続してやっていきたいと考えています。そこにはいろいろなハードルが出てきますが、常にコミュニケーションを取りながら進めることができているので、継続が大事だなと思います。
――育成と交流以外で、大切にしている部分はありますか?
小杉 まず、主役は子どもたちであるということは、ぶらしてはいけない部分です。もうひとつは、柏のサッカー熱をいろいろな方々とともに作り上げていきたいという点です。特に2回目ということでアクションも起こしています。もともとレイソルさんがオープンなクラブで、柏の中でそういう良い環境を作り、外からも受け入れて、「柏から世界へ」というコピーがありますが、我々はそこに「世界から柏へ」というキャッチコピーを加えさせていただきました。柏の良い環境を作り上げ、そこで海外のチームを招き、先ほど渡辺さんのお話にもありましたが、どの子もそこで成長する機会があって、上がっていくというイメージを持っています。あとは柏市のブランドスローガンで「つづくを、つなぐ。」というコンセプトがあり、柏の葉は新しい葉が生えそろうまで古い葉が落ちない、つまり継承していくという特長があり、そういう街でありたいという考えにも大会として共感しましたし、大会として体現していきたいと思いました。
小杉 ものすごく特別な経験だと思います。私も中学生のときに二回ほどスタジアムでプレーさせていただき、その時の興奮は今でも覚えています。
――ただスタジアムでプレーするだけではなく、より多くの観客の中でプレーすることも、子どもたちにとっては良い経験になりそうですね。
渡辺 間違いないですね。普段はできるプレーが緊張してできないこともあれば、逆にゾーンに入ってすごいプレーをする可能性もありますし、非日常がそこで提供されるので、とても良い経験になると思います。
小杉 本当にいろいろな人に見に来ていただける環境の中でプレーするということは、子どもたちにとってすごく特別な経験になると思います。
――今回の第2回大会では、どのような進化を目指していますか?
小杉 先ほどの話と重複する部分もありますが、ひとつは子どもたちがそこで良い経験ができる場を用意するという点で、2回目ではさらに進化させたいと考えています。今年は国際交流のゲームをより多く取り入れて、仲良くなり、次の日にはお互いに相手の名前が分かった状態で試合をするといったことも考えています。また進化している点としては、昨年はタイのチームが出場しましたが、今年は東南アジア予選を行い、「Road to KASHIWA」という形でライブ配信付きで実施していただき、そのチャンピオンチームが参加します。決勝が終わった後、勝ったチームはユニフォームを脱いで喜んでいました。すでに1回目の反響でそうした盛り上がりが生まれているので、さらに積み上がっていくのではないかと思います。
――それは本当に「世界から柏へ」ですね。
小杉 そうですね。まずはその形が少しできてきました。それがまた別の地域でも行われるようになると、我々としては育成型のクラブワールドカップを目指しているので、レイソルもFIFAクラブワールドカップでの戦績はクラブの歴史の中でも非常に大きなものだったと思いますし、そういう意味でもさまざまな地域のクラブが集まり、それが柏で開催できればいいなと思っています。
――それもあって、大会規模を大きくしすぎないという考えがあるわけですね?
小杉 はい。ここで大きくしすぎてしまうことで、体験の価値や内容が薄まってしまうこともあると思います。例えば出場していても、海外チームと対戦できなかったり、試合を観ることはできても触れる機会が減ってしまいます。そういった点は、これまでレイソルさんが大事にしてきた育成の哲学から考えても、少し違うと感じました。やはり規模を大きくしすぎず、中身をまずは濃くしていくことが重要だと考えています。今回は10チームから12チームに増やしましたが、今後もそこから大きくチーム数を増やすことは特に考えていません。体験の濃さを大事にしたいと思っています。
――10年後、JFF柏に出場した子どもたちが、この大会を振り返ったときに、どんな大会だったと言ってほしいですか?
小杉 その子たちがサッカー選手になっているかもしれませんし、まったく違う仕事に就いているかもしれませんが、あの時の体験によって自分の意識が変わり、目標を持ち、向上心が高まった、そのきっかけがJ F F柏だったと言ってもらえたら最高ですね。それが、もしかしたらレイソルがクラブワールドカップに出場して、その当時いた子たちが相手の海外チームに所属していて、そこで対戦できたら最高だと思います。もちろん、ワールドカップで国の代表として、JFF柏に出場した選手がいるといったこともあれば素晴らしいと思いますし、クラブとしても、代表としても、この大会に出場した子どもたちが世界の舞台で戦える日が来たら本当に最高だと思います。
――最後に、JFF柏の告知をお願いします。
小杉 決勝戦(4月4日土曜15時キックオフ予定)は日立柏サッカー場で観戦できますので、そこで世界に触れる機会をぜひ地域の皆さまに見に来ていただきたいです。また、大会として大事にしていることは先ほどお伝えしたとおりで、「つづくを、つなぐ。」という考えのもと、思いや情熱をどんどん継承し、循環していく流れが、レイソルさんを中心に柏にはあるので、この大会もそういった形で続けていくことを大事にしていきたいと考えています。
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